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詩 『糸/音』

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音にすると 少し離れる。 たけど繋がっている。
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2023年11月の記事一覧

詩 赤い涙

詩 赤い涙

片道の燃料はあります
この飛行機を僕にくれるのです
こんな名誉なことがあるでせうか
出発は明日です
最後の夜です

僕を忘れないで  しあわせになってください
まだ死にたくない  花は散るもの

テロルをすべて憎むなら
若き特攻兵に涙してはいけません
彼らは戦争のきまりごとを破り
白人たちを恐怖の底に突き落とした

僕を忘れないで   来年も知覧の桜は
まだ死にたくない   僕がいなくても綺麗

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「戦争反対」

「戦争反対」

かたく目を閉じ 耳をおおいましょう
そこには静けさがある
なにもいうべき言葉はありません
ここは日が射し
八百万の神々がおもいおもいに暮らしている

かたく目を閉じ 耳を塞いでいるあいだに
乳児すら静かになる
かける言葉は見当たりません
そこは病院
瓦礫がまだ息のあるひとの墓石ともなる

神は祟るもの だから祀るもの
ネクタイをかたく結びあい訳知り顔を並べる人々が
自分の口を閉ざして後ろで手をとり

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