そういうことじゃない(2022/05/04)

三匹の子豚が外を出歩いていたのでとっ捕まえてオオカミのところに持って行った。オオカミの喜ぶ顔が見れるな、と私はワクワクしていた。

しかしオオカミは、「そういうことじゃないんだよね」と悲しい顔で言った。そして檻から三匹の子豚を出して、「さあ、作りかけの家をさっさと作りに戻りやがれ! さもないと食っちまうぞ!」と怒鳴った。三匹の子豚は涙を流しながらそれぞれの家に走っていった。「お前もさっさとどっかへ行け!」とオオカミに言われたので、私は渋々その場を去った。

三匹の子豚の家に行くと、彼らはオオカミに食べられないようにレンガの家を作っていた。そこで私は、3階建ての鉄筋コンクリート造の家を作ってあげた。しかし三匹の子豚は「そういうことじゃないんだよね」と悲しい顔で言った。彼らは自分たちで作ったレンガの家に立て籠もった。

しばらくしてオオカミがやってきて、レンガの家に向かって息を吹きかけ始めた。息で家を壊そうとしているのだ。私はダイナマイトをオオカミにプレゼントした。しかしオオカミは、それを受け取らなかった。「そういうことじゃないんだよね」

私はなんだかムカついてきたのでダイナマイトに火をつけてレンガの家に投げた。ダイナマイトは爆発し、レンガの家は粉々になった。三匹の子豚も丸焼きになった。良い香りがする豚の丸焼きをオオカミに差し出してあげると、オオカミは悲鳴をあげて逃げ去ってしまった。

そうこうしている内に日が暮れて、時刻は0時を回ろうとしていた。階段に腰掛けて豚の丸焼きを食べていると、綺麗なドレスを着たシンデレラが慌てた様子で階段を駆け上がっていた。すると彼女が履いていたガラスの靴が脱げた。私は彼女に、「靴が脱げましたよ」と教えてあげた。すると彼女は「うるさい! そのままにしておいて!」と言った。「でもそれだとあなたは靴が脱げたままだから足の裏が痛くなってしまうよ」と私は言った。すると彼女は「そういうことじゃないの!」と言ってどこかへ走って行ってしまった。

私は訳がわからずイライラしてしまったので、ガラスの靴を粉々に割ってしまった。後からやってきたイケメンの男がキョロキョロと誰かを探しているようだったので声をかけた。「ここに綺麗な女性が来ませんでしたか?」と彼は言った。

私はシンデレラが住んでいる屋敷がどこにあるのかを知っていたので、屋敷の地図を描いて教えてあげた。しかし彼は悲しそうな顔をして「そういうことじゃないんだよね」と言った。
「あなたが彼女の場所を知りたがったから教えてあげたんじゃないか。あ、ちなみに彼女はシンデレラという名前だよ」と私は言った。しかし彼は、全然嬉しそうではなかった。私を哀れな視線で見るばかりだった。何かがおかしいと私は思ったが、何がおかしいのかよくわからなかった。

ふと横を見ると、三脚に乗せられたカメラがあった。そういえばさっきからこのカメラが一部始終を撮影している。三匹の子豚がレンガの家を作っているときにもあったような気がする。

私は、なぜこんなところにカメラがあるのだろうと不思議に思い、カメラの前に立った。するとどこからともなく男が現れた。メガホンを持ち、ハンチング帽をかぶった男だった。「ちょっといま撮影中なので、そこどいてください」とその男は言った。

「何の撮影ですか?」と私が聞くと、「それは言えませんが、でも、このカメラで撮影した映像が世界中の子供たちに届くのです」と男は誇らしげな顔で言った。しかしすぐに怖い顔になり、「だから邪魔をしないでください」と言った。

私は彼の言っていることがよくわからなかったので、いくつか質問した。しかし彼は何も答えてはくれなかった。そればかりか彼は私に対して怒声を浴びせ始めた。お前は何もわかってないんだ。私も負けじと言い返した。じゃあちゃんと説明してくれればいいじゃないですか。

繰り返し言い争っているうちに、互いの身振り手振りも大きくなっていった。そして、彼が振り上げた腕が三脚の上のカメラに当たり、カメラが地面に落ちて壊れてしまった。

彼は頭を抱えた。そしてオウオウと泣きはじめた。「やっちまった・・・・・・もう・・・・・・とりかえしがつかない・・・・・・!」

私は、「そんなに大切なものだったのですね。お高かったのですか?」と彼に聞いた。

しかし彼は泣くばかりで何も答えてはくれなかった。

この現実はフィクションです日記

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