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ファシアの健康番組と刺絡治療

 先日( 2019年11月09日のブログより)、NHKの健康番組で「ファシア」が取り上げられていました。我々の勉強会では「ファッシア」と言っていますが、まあどちらも「筋膜」の訳なわけです。番組では美容をメインに展開されていましたが、それにとどまらない今後の展開が期待される重要な身体の考え方です。
これまで、筋肉や骨格、内臓などいわゆる「実」が話題となることばかりだったのですが、「それ以外」にだんだんと注目が移ってきているのでしょう。番組では、ファッシアに向けての「ハイドロリリース」の様子なども紹介されており、今後ますますこうした番組での取り上げられることが増えていくでしょう。

ファッシアに興味を持つのは、当院での治療のメインでもある「刺絡」や「ハイドロリリース」の理論的基盤になるからです。ハイドロリリースはまさにエコーを見ながら、ファッシアを狙うわけですからそのものズバリ、なわけです。
これに対して刺絡はどうしてなのでしょうか。これまではなんとなく、末梢の毛細血管での「瘀血」を対象にした鍼治療の一つというとらえ方をしていたのですが(それでもまちがいではないのですが)、なぜこれほどまでに即効性をもって疼痛などに効果があるのか、そしてそもそもどこから「瀉血」しているのか、などいざゆっくりと考えるとわからなくなってくる問題は少なくありません。
これに対して、ファッシアに含まれる毛細血管の停滞部(細絡)と考えると、その治療対象が明確になってきます。加えて、経絡の流れをアナトミートレインとして考えると、その流れはファッシアにテンションがかかったものそのものであるので、経絡上の瘀血と考えて矛盾しません。

ファッシアを中心にこれからの健康への考えを展開すると、まさに瘀血、刺絡、という概念がさらに重要になってくることでしょう。ただの結合組織としてのとらえ方から、統合医療全般を改めて再考させる重要な概念としてより注目していきたいと思います。
また慢性的な疼痛の方には、きわめて重要な考え方となっていくことでしょう。お困りの方は、このファッシアにおける瘀血という視点での治療が、大きな可能性をもたらすことは間違いないでしょう。

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