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ポリヴェーガル理論からもたらされるもの

 クリニック移転ということもあり、ずいぶん前の健康本やら代替医療本が出てくるので見直す機会が増えています。
 そこで感じるのは(まあ今でも同じようなことはよく聞きますが)冷たいもの(冷飲食)を控えることや、口呼吸の弊害などをなくすことで慢性炎症を解消し、さらなる健康状態へと導こうというもの。現在でも、その方向性に誤りはないのですが、そのプロセスを説明する「ツール」がずいぶんと充実してきた感があります。

 特にこのあたりは、有髄迷走神経(腹側迷走神経)の効果を考慮したポリヴェーガル理論の影響が特に大きいのではないでしょうか。
 この理論の展開として面白いのは、ファシア理論を介して従来のオステオパシーやカイロをはじめとした(特に頭頸部を用いた)徒手技法に接続する点です。これにより具体的なセルフケア技法としても落としこむことができるようになります。

 さらには、社会性の神経としての有髄迷走神経の面から「人間関係」「社会性」という観点が導入されたという点。とくにこの社会性の導入は、わが師アンドリュー・ワイルがセルフケアの最重要項目として「絆」を入れたことの説明にもなると思います。
 これまではなんとなく人間にとって必要だな、といういわば直観的に肯定できるものでしたが、この理論によってこれが、合理的理由を持って組み込まれたことになります。
 さらにこの迷走神経の効果は、オープンダイアローグやジャングルカンファレンスなどの臨床的効果の説明にもつながります。

 これらをまとめたものが、先日記載した「DFP」の概念です。これ自体が、ここで述べた理論展開によって一つの生理学上のまとまりを成すものとなるので、ウィルバーの四象限にまとめることが可能になるわけです。後日、移転業務の合間にでも、またこの辺りをまとめてみたいと思います。

「ポリヴェーガル理論」を読む
-からだ・こころ・社会-

津田 真人
星和書店 2019-06-03




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