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解剖生理に立ち返る (4)受容系

 今回からは動物性器官となります。植物性器官と比べると、臨床生理的な事柄はぐっと減りますが、植物性器官への動物性の介入という視点で言うと、まさに三木生命学の重要テーマとも言えるものです。動物性器官は、受容系・伝達系・実施系からなり、いわゆる神経・運動をカバーする極めて臨床的な領域といえるでしょう。


 感覚器としては、近接感覚(味覚・皮膚感覚)と遠隔感覚(嗅覚・視覚・聴覚)がある。味覚はのどから出た「手」と考えると近接であるし、遠隔の三感覚は全て体の先端にあたる顔に位置して情報を受容している。このほかに内部感覚の自己受容器として、平衡器、筋肉感覚器があり、外界に対しての身体の情報を感受している。

 体の先端にある「顔」は植物と動物の両方を象徴している部位であり、内外の変化を知ることができるため、ここに遠隔の感覚器は集中している。
 様々な機器の発達により、嗅覚や聴覚などへの依存が減り、感受性もそれに伴い低下する中で、現代文明での視覚への依存は極めて強い。人で特に発達した視覚は、目の発達による視覚の重視により、細かなものを見るようになり、文字の発明によって文化の形成が加速された。しかしその一方で、こうした目の酷使が多くの人間に、現代病とも言える近視をもたらす結果となるのである。

 情報の入り口ともいえる感覚器は、その情報の伝達系である神経系の発達へとつながっている。
 原初的な触覚と味覚を司る脊髄・延髄の上に、付け加わるようにして嗅覚・視覚・聴覚(遠隔感覚)がのり、それが大脳の発達につながる。そしてこれが近接感覚による運動と統合され、感覚過程(精神)と観得過程(心情)が生れてくるのである。

<感覚器>
・感覚の種類
特殊感覚(視覚・聴覚・嗅覚・平衡覚・味覚)、体性感覚(表在感覚(皮膚感覚)・深部感覚(固有感覚))、内臓感覚(内臓痛も含む)

・視覚
視覚伝導路、眼球運動、眼球に関する反射(対光反射・輻輳反射・角膜反射・瞬目反射)

・聴覚
耳の構造、聴覚伝導路

・平衡覚
内耳の構造、直線的加速と回転加速度

・嗅覚
嗅覚伝導路

・味覚
味蕾と五味、味覚伝導路

・皮膚感覚
痛覚・温度覚・触覚・圧覚、皮膚の感覚受容器<自由神経終末(痛・触)・メルケル小体(触)・マイスネル小体(触)・ファーターパチニ小体(圧)等)

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