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第93椀 山ごんぼ(菊牛蒡)たっぷり豚汁

初出:2021年12月6日

<お味噌汁> ひと椀がつむぐ大切なもの それは日本のたから

「お味噌汁復活委員会」は、味噌汁の大切さをあらためて発信していこうと、2014年夏にFacebookページにてスタートしました。世話人、お味噌汁復活ライター、一般読者が思い思いの味噌汁を投稿しています。
味噌汁の出汁・味噌・具材を、それぞれに深く楽しく考え広め、毎日の食卓に味噌汁をいただく習慣を復活させるべく、活動の場を広げています。
私コイタは第1期からお味噌汁復活ライターをさせていただいております。ここでは私の書いた記事をまとめて紹介しています。


初出:2021年12月6日

テーマ:お味噌汁で冬支度
『山ごんぼ(菊牛蒡)たっぷり豚汁』


早いもので二十四節気では大雪。大雪!?そうだ、山ごんぼを掘らねば。山ごんぼは霜が三回降りたら堀りごろと言われてまして、11月の終わりから12月が旬の野菜です。切り口の模様が菊みたいなので「菊牛蒡」とも呼ばれ、飛騨美濃伝統野菜の認証を受けていますが、我が家では昔から「山ごんぼ」と呼んでいます。もともとは山に自生するモリアザミ(キク科アザミ属)の根っこで、岐阜県東美濃あたりのお土産ものとしては味噌漬が有名です。写真の花がモリアザミですが、この蕾(とう)が立った根っこは筋張って固いので普通は食べません。

モリアザミ(左が董立ちしたところ)

アザミの全草や根は、生薬として利用できるために、昔から採取されてきたそうです。野菜としてのモリアザミの根っこは、実は原産地が恵那市だったりします。何でも1862年(文久2年)に三森山で根っこの太いモリアザミを見つけ、畑に持ち帰って栽培したのが始まりなのだそうです。野生のアザミの根っこも食べられますが、花が咲くとやはり固いです。畑で時期を遅めにして播種することで、花を咲かさずに冬を迎えられ、おいしい根っこが採れるんですね。

山ごんぼは香りの良さが身上で、柔らかいんですけど歯応えもあるので、味噌漬や醤油漬に最適です。漬物には指くらいの太さのものまでがおいしいのですが、それ以上太いものは普通にゴボウとして、煮物や味噌汁、すき焼きなどにも登場します。今回その太くなったようなのや、蕾が立ったけどまだいけそうなところをささがきにして豚汁を作ってみました。

まずこんにゃくをアク抜きと味が染みやすいようにカラ炒りします。今回玉こんにゃくを使いましたが、板こんにゃくならちぎって入れます。そこへゴマ油をちょいと足して、ささがきした山ごんぼをたっぷりと。香りとコクを出したところで昆布出汁を加え、豚肉(うちはいつも一番安い豚コマ切れ肉)と、斜めに刻んだ長ネギを加えます。煮立ったらアクをすくって弱火にします。山ごんぼがほどよく煮えたら、味噌を溶き入れ完成です。

ほとんど煮物のようになってますが、山ごんぼの鼻に抜ける香りがたまりません。たっぷり作って、翌日煮返したのもまたおいしいんですよねぇ。今月のテーマ『お味噌汁で冬支度』と言うより、『冬支度してお味噌汁』と言う感じになりましたね。

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『山ごんぼたっぷり豚汁』
出汁:昆布、ゴマ油
具材:山ごんぼ、豚肉、玉こんにゃく、長ネギ
味噌:手前味噌


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