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シャンパーニュが冷えていない時にどう対応するか

はじめに

ある年のソムリエコンクールの決勝課題。「9名様のゲストにこちらのマグナムボトルのシャンパーニュを食前酒としてサーヴしてください」すぐにサーヴをしようとボトルに手をふれると、なんと全く冷えていない。在庫は1本しかない。ゲストは最初の一杯目を待っている。はたしてこの場面どう対応するか?

これは以前、Twitterに投稿させていただいた文章。クイズ形式のツイートということで、たくさんの方々からのリアクションをいただきました。

こちらは実際のコンクールで出されたリアルな課題であり、私自身がその後、同ソムリエコンクール出場に踏みきるきっかけとなった課題でもありました。

この決勝戦の模様を動画で観たことで、「コンクールに挑戦してみたい」、「この優勝者のソムリエの方と一緒に働いてみたい」という衝動にかられ、その後それは全て現実化していきます。


優勝者はどう対応したのか

先のツイートの数時間後、模範的解答として、このようにツイートを続けました。

一つ荒技はある。デカンターをクーラーに入れた状態でのデカンタージュ。ある程度冷える速度を増すことはできるが、泡やワインの状態も変化すること等、懸念は多い。
「こちらの手違いでまだ冷えておりません。少しずつお注ぎして、冷やしながらサービスさせていただいてよろしいでしょうか」
優勝者は「申し訳ありません」と先に謝った後、そう応えた。つまり、「早く乾杯したい」というゲストの気持ちを、最大限優先するという判断。目線がワインにあれば、冷やすことに集中してしまうが、ゲストの気持ちに焦点を当てれば、まずはとにかく乾杯を優先するという発想になる。

レストランのサービスにおいて、答えは一つではありません。コンクールにおいても同様で、模範的解答はあるとしても完全なる正解が用意されているわけではなく、その時の対応によるホスピタリティと技術を純粋に評価することで得点が決まってきます。

大観衆を前にしてのファイナルステージという緊張の場面では、全くの誤魔化しはききません。サービス人としての、その人の全てがそこに現れると言っても過言ではないでしょう。


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