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南アフリカのスペシャルジン その魅力と楽しみ方

はじめに

先月オープンしたばかりの南アフリカワインと料理のペアリングをコンセプトにしたレストラン「ヘルマナス714」

店名は、南アフリカの実際の地名に、お店の住所である荒木町の7−14に由来。お店のロゴマークは、現地ヘルマナスで有名なホエールウォッチングにちなんで、クジラをモチーフにしたデザインとなっています。

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ワインと料理のペアリングが中心のお店ですが、ワイン以外の南アフリカ独自の飲み物にもしっかりと着目しています。ソフトドリンクは南アフリカの「アップルタイザー」を、食後にはコーヒーと紅茶のチョイスではなく、「ルイボスティー」を当然の顔をして供出するという徹底ぶり。

幅広く多くの方々の要求に答えようとしてしまうのではなく、飲食店は振り切ることが大事だと私は考えています。「どこでもできる」はイコール「そこでなくてもいい」になる。「そこに行かなくては体験できない」ことを提供できるかどうかが、存在し続けることができるかどうかにつながる。


その場所に存在するべき飲み物

これまでにレストランでソムリエを務めてきて、ワインペアリングコースを召し上がられた後、もう一杯最後に何か飲みたいというご要望も多くいただいてきました。

通常であれば、デザートに合わせて甘口のデザートワインをペアリングアイテムとしておすすめすることが王道と言えますが、私の場合は、しめのグラスシャンパーニュやオリジナルハイボールを提案させていただくこともよくあります。(個人的にはしめのビールも大好き)

それらの満足度は高いのですが、このヘルマナス714に関しては、今回ご紹介するジンもとてもおすすめ。このジンは私も今回のオープンに向けての準備期間に初めて教えていただいたものですが、色調、香り、味わい、そしてストーリーも含めて、お店のコンセプトにぴったりとはまっていて、感銘を受けました。

しかもデザートとのペアリングの相性も素晴らしい。そのお店に来たからこその体験と知見を得られるというのは、レストランにお越しいただく大きな理由となる。このような飲み物を用意しておくことは、飲食店を運営する上で、とても重要なことだと考えています。


南アフリカのジン その美味しさの秘密

ジンを紹介したいという想いだけで書き始めたのですが、ついつい前置きが長くなってしまいました。

【インドラブ シトラス ジン】

南アフリカのスペシャルジン。アフリカの現地語で象を意味する「インドラブ」夏の一時期のみ収穫可能な熟したマルーラ(柑橘)とオレンジを使用。クレームブリュレにとてもよく合います。オープンしたばかりの南アフリカワインレストラン「ヘルマナス714」でも大人気。

こちらは以前、ツイッターでつぶやかせていただいた文章ですが、その後、大きな反響をいただいています。

インドラブ シトラス ジンは、マルーラとオレンジを使った、シトラスの香り豊かなジン。販売利益の15%を野生動物、特に禁猟からゾウの保護活動を行う、アフリカ財団へ寄付が行われているということです。

マルーラは、古くから南アフリカやマダガスカルに分布し食料として利用されてきました。サバンナのような香りと、柑橘系の甘みと酸味を感じ、まろやかな味わいが楽しめる。日本ではあまり知られていない果物ですが、甘さと酸味のバランスが良く、オレンジの約8倍のビタミンCが含まれている。

サバンナでは、ゾウ、サイ、キリン、また猿などの中小型動物にも人気があり、これら野生動物にとられることが多く、人間の手にまで回りずらい貴重な果物。また南アフリカでは、現地の夏の一時期12月・1月の約2ケ月間しか収穫できません。

自然落下したマルーラは、アルコール発酵が始まり、南アフリカではマルーラを食べたゾウが、酔っぱらってフラフラになっている不思議な光景が見られたりするようです。

かつてマルーラ酒は「王の酒」と呼ばれ、一部は王へ貢納が義務化された程、大変美味しく貴重な物とされていました。


おすすめの飲み方

ストレートやロックでそのままの味わいをお楽しみいただくのももちろん良いのですが、ジンということでやはりアルコールはかなり高い。もしワインペアリングコースをお楽しみいただいた後ということでしたら、ここでストレートで飲むと、酔いが加速してしまう可能性があります。

最後まで心地よくお楽しみいただくためには、やはりカクテルとして、何かで割っていただくのがおすすめ。ジンベースのカクテルで最も定番的とも言えるジントニックでのご提供も考えましたが、このジンの特徴的な香りと味わいを最大限活かすためには、ソーダで割る「ジンリッキー」がベストだと考えました。

本来の特徴的な香りや味わいをそのままに、なおかつ身体への負担を軽減し、マンゴー等のフルーツを使用したデザートとのペアリングとの相性も楽しめる。ぜひ一度お試しいただければと思います。

最後までご覧いただき誠にありがとうございました。今後もさまざまなおすすめドリンクや料理とのペアリングをご紹介してまいります。また次回の記事でお会いできるのを楽しみにしています。


ワインディレクター 田邉 公一



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