ハチミツのお酒 「ミード」の楽しみ方
はじめに
日頃私がSNSで発信をしている「ワイン」とはまた違い、おそらく日本の多くの方がまだ飲んだ経験がないであろうハチミツのお酒「ミード」。
冒頭でご紹介した発信に対して、これまでのワイン系ツイートに勝るほどの反響があったことに驚くと同時に、これからの未知なる可能性を感じました。
個人的にもこのお酒は、今の時代によりマッチしてきていると考えています。
「フランス 美食の余韻」
フレンチガストロノミーの祭典 Food Experience 2022「フランス美食の余韻」がこの度、フランス大使公邸にて開催されました。
こちらは、伝統ブランドから若手の作り手が担う最新食材まで、フレンチフードの奥深い魅力を紹介するビッグイベント。
今回ご指名をいただき、初日の記者会見後のプレス向けデモンストレーションにて、先にご紹介したハチミツのお酒「BULLES DE RUCHE」のテイスティングコメントとフードペアリング、シチュエーションの提案等、解説を担当させていただきました。
今回は、それぞれのアイテムのテイスティングコメント共に、実際に相性の良い食材をご用意して、ハチミツ酒とフードとのペアリングを皆様に体験していただきました。
合わせた食材は、「菩提樹」に対して「ミニトマト」。「ラベンダー」には原料のラベンダーのハチミツが採取されたプロヴァンス地方の、シェーヴルチーズ「バノン」を。「ライチ」には「シャインマスカット」。ノンアルコールのsスパークリングハニーウォーターには焼きたての「マドレーヌ」をペアリング。
どれもそれぞれのアイテムの要素から連想した食材の中の一つで、単体の食材ではあったものの、「マリアージュ」の片鱗を体感いただけたのではないかと思います。
スパークリングミード「ブル・ド・リュッシュ」のテイスティングコメント
それではここからは、それぞれのタイプについてコメントしてまいります。
菩提樹
ライムやグレープフルーツ、菩提樹、花の蜜の香り。そしてタイム、ローズマリーを想わせるハーブの心地よい香りも感じられる。味わいはフレッシュな果実の印象と生き生きとした酸味が感じられ、スムースでエレガント。
よく冷やして冷製のオードヴルと共に。サーモンのカルパッチョ、ツナとトマトのサラダ、トマトのカッペリーニとの相性は抜群。細身のワイングラスをおすすめしたい。
ラベンダー
香りはとてもアロマティックで華やか。ラベンダー、アマレットリキュール、紅茶、アーモンドのようなニュアンスがあり、味わいは軽やかでありながら、コクのある旨味も感じられ、豊潤さがある。フローラルなアロマに癒されます。
チキンのシーザーサラダ、エビマヨ、海南鶏飯との相性も抜群です。やや大きめのワイングラスで香りを楽しみたい。
ライチ
ライチ、マスカット、青リンゴ、白いバラ、花の蜜、華やかな香りが広がる。味わいはまろやかな甘味、きめ細かい酸味、スムーズなテクスチャーで、余韻にもフルーティでフローラルなフレーヴァーが続いていく。
よく冷やしてアペリティフとして。桃のカプレーゼ、生ハムメロン、シャインマスカットと一緒に。暑い日にはロックスタイルやフルーツを入れてサングリアにするのもおすすめ。
ノンアルコールスパークリングハニーウォーター
先の3アイテムはアルコール度数4.5%で、通常のワインと比較するとかなり低アルコールと言えるのですが、実はさらにもう一アイテム、ノンアルコールバージョンも存在します。
ということで、最後にこちらのアイテムをご紹介したいと思います。
新鮮なレモン、レモンピールやハチミツの香り。清涼感があり、リフレッシュさせてくれる。レモンとハチミツのピュアな味わいがストレートに感じられ、余韻に綺麗な酸味とフレッシュな果実のフレーヴァーが続いていく。
ロングのタンブラーやワイングラス等、シチュエーションに合わせてグラスを選ぶ楽しさがある。
ツナのサンドイッチ、ボンゴレビアンコのパスタ、フライドチキンにもよく合う。ティータイムには、パンケーキやレモンタルトと一緒に。
ブームの可能性
これまでワインや日本酒、ビール等に関しては、セミナーやイベント、雑誌の取材でコメントをする機会はたくさんありましたが、ハチミツのお酒に関しては今回が初挑戦。
事前にテイスティングをした際、ハチミツもお酒にした時、これほどまでに「テロワール」、つまりその土地や採取した先の個性が現れるということに驚きました。
いわゆる「ハチミツ」の香りだけではなく、自然界のさまざまな香りがそこに感じられる。ワインを表現する時のコメントが、このミードに対しても当てはまるのです。ということは、やはりフードペアリングの理論もそこには存在する。
低アルコールによる近づきやすさと、ほのかな甘味とスパークリングの心地よい飲み口、食事との相性。さらにテロワールによる個性の存在。これらを加味して考えた時、今の日本においても充分にブームの可能性を秘めていると言えるでしょう。
機会がありましたら、ぜひ一度お試しいただければと思います。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。また次回の記事でお会いできるのを楽しみにしています。
ワインディレクター 田邉 公一
最後までご覧いただき、心より感謝いたします🥂