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100円のワインと100万円のワイン

はじめに

「どんなワインでも、なかなか手に入れることができない高級ワインだと思ってゲストにサーヴしよう」

かつてレストランで共に働く後輩のソムリエにそう伝えたことがあります。

理想と現実の中、ソムリエ資格を取得した時のモチベーションを保ち続けることは思っている以上に難しい。

レストランのスタッフにはもちろん、ワインスクールの受講生には、合格するかだけを目標にするのではなく、その先を常にイメージすることを伝え続けてきた。そこをきちんと意識することができた人が合格する可能性は限りなく高く、その先へ進んだ時のモチベーションも維持しやすい。

ワインの知識や経験が本当に生きるのは、試験の先の世界にある。世界のワイン産地のことやレストランでのリアルを知らずして、受験対策的なテクニックを中心に伝え続けることは、本当の意味でその人のためにはならない。そのために現場に立ち続け、国内外を旅する。

新鮮な気持ちというのは、いつにおいても原動力になる。その気持ちを保ち続けることができた者が、真にその道を愛している者であり、成果を残せる存在にきっとなれる。試験は入口。その先には楽しみがいっぱい広がっている。

常に好奇心を満たしてくれて、人を生き生きと若々しくい続けさせてくれるのが、ワインという存在なのです。


意識の重要性

冒頭のセリフが意味するのは、仮に一杯のグラスワインをサーヴする時でも、「一生に一度しか飲むことができないワインを注いでいる」という意識を持っていれば、その意識はきっとゲストに伝わり、同じ一杯のワインでもその価値を向上させ、満足度を高めることができるということ。実際にこの一杯と全く同じ味は、この先の人生で二度と経験することはできないのも事実。

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