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学徒たちへの言葉

「もう大学生になったのだから、ゲームなど止めて、本を読みなさい。」
以上は、私の大学の入学式で、学長が新入生に向けて語った言葉であるが、当時、私はこの言葉に共感し、周りの大学生が遊び惚け、同じ学生寮の寮生達が二〇一〇年代にも関わらず、何故かNINTENDO64に興じる一方、学長の言う通り、大学図書館と寮の自室で愚直に読書に励む日々を送った。
丁度、民主党政権最後の年で、一ドルが七〇円前後の円高であった為、輸入品の紅茶や洋書が通販で安く手に入り、洋菓子をつまみながら、語学書や社会科学に関する書籍を中心に濫読をしていたが、地方都市在住の大学生故か、二十世紀以前の古典が多かったと記憶している。地方の国立大学であっても、当然の事でもあるが、大学図書館の蔵書は極めて水準が高く、自らの興味の赴くまま個人研究をするに当たって非常に重宝した。また国立大学については、私の学生時代と同様、今尚、貧困学生の為に入学金と授業料の免除制度が存在し、私自身、大学一回生の頃に授業料の全額免除を受けている。成績が優秀であれば、奨学金に頼らずとも大学に通う事は可能である。時代状況に応じて紆余曲折はあるだろうが、今後も国立大学の知の伝統が存続される事を密かに願って止まない。今は丁度、国立大学の受験生たちが合格発表を目前に控えている状況であるが、無事に、大学への入学が確定したならば、冒頭の十二年前に老学長が語ったアドバイスを参考に、四年間を学びに費やして頂きたい。

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