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MAツールの哲学とか、流行り廃りについて

元マルケトの福田さんが、The Model Academiaというコミュニティで先生をしてくれたときに、Marketo(マルケト)への転職は製品の哲学が好きだからだとおっしゃっていました。

自分自身、製品の哲学とかなんでその製品がうまれたのか?を知るとより好きになることがあるので、今回はMAツールの哲学的な違いやなんでその哲学を持つ製品が生まれたのか、時代的な背景をさかのぼりたいと思います。

基本的に知ってる範囲で書きますが、使ったことはなく聞いた限りのはなしもあるので、間違ってたらご指摘ください…

※福田さんがThe Modela Academiaに参加いただいたときのURL https://www.trailblazers.jp/event/tma2020special1/

※次回開催のThe Model Academia https://tma2020vol3.peatix.com/view

目次
1.なんで製品や新しい概念の哲学や生まれた背景を知っておくの?
2.BtoBマーケティングの「時代と代表的な手法の話」
 2-1.CRM
 2-2.SFA
 2-3.MA
3.MAの哲学とかの話
 3-1.Marketo
 3-2.Hubspot
 3-3.b→dash
4.まとめ

1.なんで製品や新しい概念の哲学や生まれた背景を知っておくの?
私自身が製品の裏側を知るのがスキ、というのがありますが実務に活きてくる点は、先日、才流さんの「デジタルシフト」というイベントで、LEAPTの戸栗さんが登壇され、そのセッションで聞いた言葉。

・マーケティングはアメリカ、ヨーロッパで生まれたものが多い
・入ってきたものを、そのまま使おうとするとうまく使い切れない
・新規登記数も企業寿命も、大規模なマーケティングカンファレンスの数も桁違いにアメリカが多い。競争のレベルが違う(らしい)

だから海外の製品や概念をそのまま持ち込んでも運用にのらない。抱えていた課題や文化が違う可能性もある。そのため製品の哲学や生まれた背景を理解するようにしましょう。

自分のまとめ記事「https://note.com/koichiro_f/n/n47194ddc3bf5


新しいツールを導入しても活用されない、活かしきれないのは、製品が生まれた背景や狙いと、自社の課題が合致していないこともありそうです。
であれば、製品の背景を捉えようと考えています。

2.BtoBマーケティングの「時代と代表的な手法の話」
まずBtoBのマーケティングにおいて、その次代の代表的な手法となぜそれが生まれたか整理します。


2-1.【CRM】1980~1990年代参考:ノヤン先生(https://marketing-campus.jp/lecture/noyan/093.html

【時代】1980~1990年代 ダイレクトマーケティング
【手法】CRM
【背景】
1980年代~1990年代までは、シェア=市場占有率。
「The One to One Future―顧客リレーションシップ戦略」という本がシェアの概念を変え、市場シェアからLTV(顧客生涯価値)の重要性が広まった。

個人(企業)のシェアをとりLTVを上げるには、ニーズを拾い適切に提案することが必要。そのため、データが必要になり、CRMが生まれ、広まっていったそうな。
現在のABMの広がりも、ターゲティング企業の小さなニーズを発見し、ターゲット企業からの売上最大化を狙うために、CRMによって整理されたデータが大事になってくるそう。

2-2.【SFA】 1990年代 参考:ノヤン先生(https://marketing-campus.jp/lecture/noyan/054.html

【時代】1990年代 データベースマーケティング時代
【手法】SFA
【背景】
1990年代初期に営業活動の可視化のためにSFAが生まれたそうです。
SFAの基本的な役割は営業案件をパイプラインで管理しながら、案件の受注決定率を向上させること、可視化によって売上予測をすることです。
歩合や賞与の割合が多いアメリカの雇用文化的に辞めたあとも商談履歴を振り返るため、また営業活動を効率化するために利用されていたそう。

そのため、案件を創出する機能が弱く、名寄や競合排除などの機能も弱いそうです。

2-3.MA 2000年代 パーミッションマーケティング時代参考:ノヤン先生https://marketing-campus.jp/lecture/noyan/109.html

【時代】2000年代
【手法】パーミッションマーケティング
時代とともに、インターネットの普及で取れるデータの量も増えてました。また、SFAでは商談の創出が弱かった。そのため、商談を創出するためのツールとして、MAが生まれたそうです。2000年代にEloquaが販売されます。

MAはこれまでのCRMやSFAにより顧客データや商談の状況が分かるようになり、顧客に的したコンテンツを届けられるようになってきたそう。そこで、パーミッションを得た顧客に対して、適切なコンテツを届ける際にMAも利用されていったそうです。

製品としては、エンタープライズ向けと言われていたEloquaに対して、Hubspot(06年)とMarketo(07年)が創業されました。中小企業向けの、少数の担当者で使えるサービス、という概念があったと聞いています。05~10年頃までにどんどんサービスが生まれたそうです。

※ちなみに日本で流行ったのは2014年頃から。日米では10年の差が有ると言われていますが、MAも同じですね。この差は、日本語の言語体系や法律へのローカライズに時間がかかること。購買文化もボトムアップなので、時間がかかることなどが合ったと言われています。

まとめると、
①顧客のLTVを上げたい⇒CRM
②営業の商談履歴を残す、商談の歩留まりを上げたい⇒SFA
③商談を生む力がSFAは弱い、データが豊富に、顧客毎に適切なアプローチが必要⇒パーミッションマーケティング/MA

こんな感じで今多くの会社で使われているシステムや概念が生まれ、浸透してきたと自分は理解しています。

3.MAの哲学とかの話
次に、製品の哲学や背景のお話になります。今回は福田さんがおっしゃった製品哲学がMAはぜんぜん違うよ、という話からMAについて。

3-1.Marketo
SalesforceのPardotとMarketoの違いとしてよく言われているのが、Marketoのリサイクルの概念です。

下記がSalesforce(Pardot)のThe Modelは下記。ファネルを一方向に進むイメージです。

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対して、Marketoではファネルからこぼれたリードや失注リード、受注後のリードもリサイクルで、再度商談や受注につなげるという考え方です。
マルケトでは「リサイクル」と表現しています。

画像2

https://jp.marketo.com/content/the-position-of-inside-sales-team-in-marketo.html

The Modelは画像にある通りCSまで一方向的な動きを表現しています。そのために常に新規リードが必要になり、ファネルからこぼれたリードの取り扱いまでカバーしていない考え方、と言われていました。

BtoCのサービス、例えばEC系なら「検索~お気に入り~カート~購買」が高速に、何度も起こるので問題ないかもしれません。しかしBtoBでは新規のリード獲得は、大量に毎月有るわけでもないですよね?
だから、獲得リードの「再利用=リサイクル」という、考え方がハマって売れいるのかなと思います。

また、リサイクルを含めたファネルの歩留まり率と残高(滞留しているリード)が可視化されているため、どのファネルのリードに力を注げばよいか、判断しやすい点もMarketoの特徴的な部分かと思います。

もし導入するなら、新規リードがたくさんあるわけではないからリサイクルが必要とか、少人数でMAを使って、成果を可視化できるようなサービスが良いというところはMarketoが良いかもしれません。

3-2.Hubspot
こちらもEloquaのエンタープライズに対して、SMB層に向けてマーケ担当が様々事を一人でできるよう、機能が充実しています。

なかでも「インバウンド」という哲学がHubspotの特徴だと思います。マルケトがリサイクルや歩留まりの可視化、ナーチャリングの際のリードの管理に強みがあるとしたら、Hubspotはインバウンドで獲得し育てるための機能が充実しています。

Salesforceが「The Model」、マルケトが「リサイクル」で表現されるファネルですが、Hubspotは「インバウンド」を成立させるために「フライホイール」という考え方を持っています。これは、顧客を中心に「Attract」、「Engage」、「Delight」してもらい顧客を成功に繋げるという考え方です。

顧客は営業に会う前に、60-70%の情報を獲得していると言われています。
それまでに、顧客に必要な情報届け、魅力的に感じてもらい購買につなげ、成功に乗るように作られてるようです。

もし導入をするなら、インバウンドで顧客を獲得、育成したい、そしてインバウンドのためのコンテンツはこれから作っていく企業やCRMも導入していないようなところは課題にマッチしそうな気がします。

画像3

3-3.b→dash
最後にb→dashです。
・CRMのデータにパーミッションを取って、ナーチャリングするマルケト
・インバウンドマーケティングを行うための機能が多いHubspot

上記の製品とは全く違う概念で生まれたように感じるため取り上げてみました。b→dashは、「プラットフォーム」として、社内のデータをつなげたり、必要な機能だけを必要な分購入し利用するサービスです。
CDP(Customer Data Platform)とも言われ、データの連携から活用までマーケだけでも運用できるようにしてくれるツールです。

様々なシステムやデータのプラットフォームになり、また多くの機能をもつプラットフォームサービスのプラットフォームとして利用されているようです。

導入するなら、MAそれ自体をつかうことが主要な目的ではなく、データの連携や連携したデータの活用を検討されている企業であれば良いかもしれません。逆にすでにデータが整っている企業や、MAからweb接客、SMSなどツールをすでに導入していて金額にも不満がないところは合わないかもしれません。

4.まとめ
CRMやSFA、MAの生まれた背景や、時代の話。
MAのメジャーなサービスのサービスの哲学や考え方の違いについて取り上げました。
・個人シェアを最大化させるCRM。
・営業の案件管理、歩留まりの可視化にSFA。
・SFAが弱い、案件創出や、これまでのダイレクトマーケティングからパーミッションマーケティングに繋がるMA

そして、メジャーな製品の考え方は、
・リサイクルの概念のマルケト
・インバウンド、フライホイールのHubspot
・プラットフォームのb→dash
と製品の考え方で分類をしています。

改めて、もしこれをみた方が何か製品を導入するときに、まずなんでこのサービスや考え方が生まれたのかの理解に繋がったら嬉しいです。
長くて上手く纏まっていない部分が多いですが、、、自分が買わない製品でも製品の作られた背景とか考えるのが好きなのでまとめていきたいと思います。

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