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ぼく(アートディレクター)がBtoCを始めた理由

はじめまして。
有限会社ORYEL(オーイェル)代表・アートディレクターの井上広一と申します。プロジェクト全体をクリエイティブディレクションしたり、企画やコンセプトを考えたり、アートディレクションをしたり、グラフィックデザインをしたりと、シームレスな動きをしていて肩書きが絞れないので、とりあえず前職場のW+K TOKYOからつけてもらった肩書「アートディレクター」にしています。これまでのお仕事や作品はORYELのサイトで観られます。どうぞよろしくお願いいたします。

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クリエイティブの自給自足

さて、本題の「ぼく(アートディレクター)がBtoCを始めた理由」についてです。ぼくらのお仕事って、企業や個人の依頼主(クライアント)がいて、そこからお仕事を依頼されて初めてアートディレクションやデザインという作業に入ります。クライアントがいないと成り立たないBtoBな職業なんです。(実はBtoBとかBtoCとかなどのビジネス用語、かなり苦手なんですが)

とくにコロナ禍になって痛いほどそれを実感しました。クライアントが動かないとすべての仕事が止まってしまうわけです。つまり、社会が如何なる有事状態に陥ってもクリエイティブという職業で「自給自足」できるようになっておきたいと思ったのがBtoCを始めるきっかけでした。

ここで言う「自給自足」とは、畑で野菜を育てて食べるみたいなイメージの自給自足ではなく、「依頼主(クライアント)→請負人(自分)」が「依頼主(自分)→請負人(自分)」になるということです。

要は、自分で企画して、自分でデザインして、自分でPRして、自分で販売する。これです。すべてを自分でやるって大変なことのように思えますが、これまでにシームレスな動きをやってきたからこそ楽しみながらできるのです。(もちろん大変なこともあります)

日本のデザイン文化底上げのためのBtoC

そこで、今まで自分がやってきたことを活かして、とりあえず何ができるのだろう?と考えてみました。まあ答えは単純で「デザイン」です。他のデザイナーさんもオリジナルデザインのグッズなどを作って販売している方もいると思いますが、やはりデザイナーがデザイナー名をあげて限られた場所で販売するとなると、そこに集まってくるのは、デザイン関係者やそもそもデザインに興味がある人々たちです。それはそれでとても大事なことだと思います。でもそれだけだと日本全体において本当の意味でのデザイン文化の発展はあまり期待できず、ただただデザイン格差が広がっていくだけです。

ぼくが前々から思っているのは、「デザインに興味がない人でも、普通の日常で目にしたり感じたりするものが、当たり前のように美しかったら、日本はもっと無意識に美しい国になる」ということです。ヨーロッパの景観が美しかったり、売っているモノのデザイン性が高かったりするのは、ヨーロッパの人々が、昔から素敵なモノに触れている機会が多いからだと思います。日本はいつの時代からか、美しい日本文化よりも「売れれば見た目はどうでもよい」みたいな価値観になっているように思えます。(もしかしたら「どうでもよい」とは思っていないかもしれないけど、結果的にそう見えてしまっている)

なので、どうせデザインするなら日本のデザイン文化の底上げになるような製品をデザインして誰でも簡単に手に入れられる方法で販売したいし、デザインに理解を示してくれる人が増えれば、ぼくらの仕事ももっとやりやすくなるはずです。

自給自足のメリットとデメリット

メリット

  • 企画やデザインを自分で好きなようにコントロールできる

  • デザイン費が必要ない

  • 売れたら嬉しい

始めに書いたように、僕らのお仕事は基本的にBtoBです。だから必ずしもデザイナーのデザインや考えがすべて反映されて、世に出るわけではありません。クライアントの意向にも丁寧に耳を傾ける必要があります。それに対してBtoCの場合は、自分がクライアントなので、すべて自分の好きなようにデザインできますし、それが売れた時は単純に嬉しいものです。

デメリット

  • PRや販売方法を自分で考えなければならない

  • 製品を生産する際のコストはすべて自分持ち

  • 在庫管理をしなければならない

  • 売れなかったときのリスクがある

PRや販売方法をデメリットに入れていますが、いままでにやったことのないことを考えるのは、自分にとってはある意味メリットだと考えています。

じゃあ、何をデザインしましょうか?

当然、じゃあ、どんなデザインをして自給自足するのか?という話になってきます。

3年ほど前、12年間乗っていた車の調子が悪くなってきたので、新しい車に買い替えました。12年間乗っていた車はRenault (ルノー)の2008年製のMEGANE RS (メガーヌ ルノースポール)といういわゆるスポーツカーで、フランスらしい独特なデザインで、スポーツカーなのでやはり少し速そうなリアデザインでした。

12年間乗ったMEGANE RS

新しい車は、乗り心地も快適で運転も面白くまあまあ気に入っていたのですが、なぜか後続車に煽られ気味にピッタリと後ろに付かれることが多くなってしまいました。MEGANE RSのときはそんなことはほぼなかったので、たぶん大人しめの車のデザインだと煽られる確率が高くなるのだろうと思いました。(新しい車はMegane RSと比べてしまうと少し落ち着いたデザイン)

そこで、あおり運転の対策になるようなステッカーを貼ってみたら効果あるかな?と思い、いろいろと探してみたのですが、グラフィックデザインを本業としている自分から見たら、やはり見た目と機能のどちらも両立されたグッとくるようなデザインのものは、なかなかないという問題に直面しました。

ブランドを立ち上げることに

それで、「デザイン性」+「機能性」を両立させたステッカーを創ったら、デザインでの自給自足を成立させられるのではないだろうか、と考えた結果、社会問題などと向き合いながら、発想力とデザインを駆使したグラフィック・コミュニケーションブランド「MOLGRAF」を立ち上げることにしました。第一弾としてデザインしたのは、もちろん、あおり運転対策のためのステッカー です。

つづく



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