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【diary 13】2023/08/05(土)

高校時代のアルバイト仲間であり、3年の闘病生活の末に亡くなった友人の墓参りに行きました。

僕が進学で地元を離れた後、彼は地元に残り、シルバーアクセサリーを作る職人の道を選んだのでした。帰省するたびに彼の店によっては他愛もない話をしました。僕はシルバーについて深い知識は持っていませんでしたが、店の営業の傍ら創作に打ち込む彼の情熱には圧倒されるものがありました。

しかし、いつも日の当たらない作業場に籠っていたのが災いしてか、若くして大病を患い、その治療で受けた放射線が原因で別の病気になりました。難治性の白血病でした。一度、臍帯血移植をしましたが、ほどなくして再発が確認されました。そのときの彼の心境たるや。

再入院をする前に地元で一番高い焼肉屋に行きたいというので、東京での仕事を調整し、新幹線の中で当時のアルバイト仲間にメールで声をかけて、5人で行きました。その次に帰省したときには彼は既に入院していましたが、今度はココイチのチーズカレーが食べたいというので、帰省している間は毎日届けました。僕が彼にしてやれることは限られていましたが、彼はとても喜んでくれました。

彼のお父さんが案内してくれた墓石は、夏の太陽に照らされて、輝いていました。まるで、長年作業場にいて浴びられなかった分も含めて、いま思う存分に太陽を浴びていると言っているかのようでした。

彼はnoteに闘病日記をつけていました。意識がなくなる前日まで毎日つけていました。彼の最後まで生きてやるという気概が伝わる日記でした。僕が最近noteに日記やエッセーを書き始めたのは、彼が書かなくなった分を引き継ごうと思ったからでした。

「17歳のときが一番楽しかった」。日記でも、会ったときにも、彼は折に触れてそう言っていました。彼が最も大切だとした時期を、彼のそばで一緒に生きられたのはささやかな僕の誇りです。

「また来るけえの」。彼の墓石の前でそう独りごちたとき、近くで彼が笑っている、そんな気がしました。

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