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アルコールが無い!そんな時の代用術

ダッシュボードを何気なく見ていたら、2月末に公開した「アルコール以外の消毒方法」が3000ビューを超えていて、僅かながらでもお役にたてたのだなぁと思い感謝しています。

しかしながら、その後緊急事態宣言が出され、自粛期間も長くなり、「いつまで続くんだコレ」という思考から、そろそろ「共存覚悟の長期戦」という肚括りをした生活と思考にシフトされている方も増え始めていると思います。

そうなってくると、日々の予防知識はますます重要性が高まると思うのですが、自粛だとかロックダウンだとか、集団免疫とか言われるように、現時点でできる事は非常に原始的である事も事実です。

しかし、マスク同様、アルコールによる消毒ばかりに頼っていても、そもそもアルコールが手に入らないという事態もあるわけで、先日公開した記事以外の消毒方法も場合によっては必要なのかもしれないなと思い追加でお伝えする事にしました。

基本的には、理美容師が国に定められていて、なおかつ国家試験でも出題される基礎的な消毒方法なので、同業者の方々にとっては取るに足らない情報ですが、理美容資格を持たない一般社会の方々にとっては、何かしらのお役に立てるかと思います。

・服など布類に付着してるかもしれないウイルスの消毒
原則的には日常の洗濯で良いと言われています。手洗いと同じ原理です。しかし、それでもなお不安だという方は、衣類用ハイターを薄めたモノをバケツ等に溜め、一度浸してから洗濯をすると良いです。
ただし、浸し過ぎは衣類の傷みにつながるので、浸し過ぎないように注意してください。

また、布マスク等ごく小さな衣類であれば、充分に沸騰し続けているお湯で煮沸消毒を10分以上行ってから洗濯するという方法もあります。
日常的な服の煮沸消毒…は、できるにはできますが、まぁ現実的ではないですよね…(ドラム缶風呂でも焚けば可能かもしれないですけど…)

・物に付着しているかもしれないウイルスの消毒
これは以前の記事の方法で充分かと思いますが、「ウイルスとの共存」とか「長期戦」となってきた状況においては、「日常的に行う事」という思考のシフトも必要です。

そうなってくると、肌の弱い人においてはやはり不安もあるかと思います。そういう方には、次亜塩素酸水も有効ですが、アルコール同様入手が困難な場合があります。

また、耐熱性の物であれば、こちらも沸騰し続けているお湯で10分以上の煮沸消毒は有効です。

・その他、理美容師が学んでいる(はず)の消毒液
以下にご紹介する消毒液は、理美容師が消毒方法について学んでいる知識ですが、あまり馴染みの無い薬品もあるので、参考までにどうぞ

原液はいずれも薬局やネットにて購入可能です

0.1%~0.2%の両性界面活性剤液に10分以上浸す
0.05%のグルコン酸クロルヘキシジン液に10分以上浸す方法

理美容資格は『公衆衛生のプロ』としての認定資格
それにしても、『なぜ、一介の美容師風情がこんな事を知っているのか』とか、『なぜ、理美容室がこんなに消毒に詳しいのか』といった疑問もあるでしょうが、それには理美容師法が制定された時代背景が関係しています。

現在の理美容師法の原点は昭和22年に制定された理容師法が始まりです。
当時は戦後まもなく、国内の公衆衛生状況は悪く、年間の死亡原因の1位が肺結核、2位が肺炎と共に感染症による死者が大変多い時代でした。

その為、戦後復興における感染症対策は今の状況以上であった事もあり、公衆衛生の向上が急務でした。

そうした社会状況だった事もあり、加えてノミやシラミなど不衛生な状態で当時の理美容室を利用する方も少なくありません。

こうした時代背景によって、公衆衛生に大きく関わる理美容室に対する規制が強まり、広く公衆衛生の向上を目的として、今に至る理美容師の国家資格に繋がっています。

上記に挙げた消毒方法は僕なりに日常生活に落とし込んで書いてみたものですが、原則的には理美容師はこれをお客さん1人毎に行う事になっています。

しかし、ここで、勘の良い人であれば違和感を抱くかもしれないある【疑惑】があるかと思います。

そもそも、これだけ厳しく消毒が定められているのに、本当に【お客さん1人毎に消毒を行っているのか?】という疑惑です。

腰に下げたシザーベルトにハサミを入れ、何人も掛け持ち、消毒を行わず次から次へとカットを行う光景を見たことがある人もいるかもしれません。

残念な事に、時代の流れと共に1部の理美容師たちは自分達が必死でつかみ取った国家資格の本来の意味、意義、歴史を忘れ、消毒に関する意識が低下し、資格取得の為だけの知識となり、現実には実行できていない事実もあります。

『1部の』と僕なりにかなり穏やかに書いていますが、現実にはかなり多くの理美容師が実行できていないかと思われます。

しかし、誤解して頂きたくないのは、『全ての理美容師がそうである』という事ではないという事です。

こうした原点を大切にし、本来の役割を全うしようと地道に日々尽力している理美容師もいます。

だからというわけではないですが、こうした努力をしている理美容師には信頼を置いて頂きたいと僕は切に思います。

かくいう僕も、独立前まではそうした残念なお店にしか出会いませんでした。そして、同調圧力のように変人扱いをされた事もあります。

カッコ悪いからという理由だけで、シザーベルトを強要された事もありました。(腰痛持ちだからとか難癖付けてのらりくらりかわし続けましたが)

しかし、社会の健康意識は今回の新型コロナに関係なく年々高まっており、デザイン重視、スキル重視で本質的な『公衆衛生に役立つ立場』『健康を担う立場』という本来の在り方を忘れた理美容室はいずれ大変な事になると僕は思ったので、独立する要因の1つにもなりました。

これは、個人的な解釈ではありますが、国会等において理美容室が自粛要請の対象から外されたのも、こうした厳しい消毒に関する規制があるからではないかと捉えています。

つまり、『法で定めているんだから、しっかり守っているはずだよね。だから信用しても良いよね』と信頼されているのではないかという事です。

信頼されているなら、それに応えるのは人としての在り方としても僕は大事な要素だと思います。

だからこそ、自分の知ってる知識は実際に行動してこそ真価を発揮するものだと思うので、ただ自分だけが行動するのではなく、実際、3000人以上の方々にご覧いただいている事から、広くこうした消毒方法も知って頂き、この非常時において役立てて頂きたいという想いからお伝えしようと思った次第です。

とはいえ、個人的には年間1000万人が感染し、内1万人が関連死しているインフルエンザは、年間発表とはいえ、現実には12月頃からピークを迎え始め3月頃に落ち着くという事を踏まえると、わずか4か月の間に起きている事でもあり、見方によっては、今回の新型コロナウイルスと同様にあるいはそれ以上の脅威であるとすら見えてきます。

しかも、インフルエンザにおいてはワクチンも治療薬もあるわけで、この数字が意味するところは非常に重要なのではないかなと思えてしかたないです。

だからこそ、理美容室においてはこうした原点に返り、本来の役割を取り戻し、多くの方々の健康を守るプロ意識が求められるのではないかと思います。

正しい情報を得て、適切な行動をすれば、自分だけでなく、大切な誰かを守る事もできます。僕にできる事は、こうした事くらいですが、お互いにできる事を存分に活かして乗り越えていきましょう。

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