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知ってる!環境のこと(第65話)

⁂データや内容は、当時のものとなりますので、ご理解ください。
 
こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?今回のテーマは、「コーヒー」です。現在、タイでも日常的な飲み物となりつつあるコーヒーですが、ご存知のとおり世界中で飲まれており、コーヒー豆は石油に次ぐ取引規模を誇る国際的な商品となっています。コーヒー農園も、世界中で約1200万ヘクタール(3000万エーカー)もあるといわれており、その殆どが開発途上国で栽培されています。コーヒー栽培は、機械化に伴い、栽培地の確保から、多くの熱帯雨林が切り倒され、大量の化学肥料や農薬を投入して生産が行われるなど、森林破壊の元凶の1つとされて来ました。しかし、今、伝統的なコーヒー栽培が見直され、森と人が共生していくための取り組みが広がりを見せてます。そして、そんな取り組みを支えるコーヒー出し殻のリサイクルと共にご紹介しましょう。
 
木を切り倒す必要はない
 コーヒーの木はもともと日陰で育つ性質を持ち、熱帯地域の中でも比較的標高の高い寒冷地で生産された豆ほど品質が高いとされています。そこで本来の森の姿を活かそうと、天然の高い樹木を保護し、化学肥料や農薬を減らした自然に負荷の少ない「栽培方法」への転換が進んでいます。これは、土壌の流出や飲料水の汚染を防ぐことになる他、地滑りなどの災害防止、森林の保水性を維持し、地下水の確保に貢献するなど、地元に暮らす人々の生活環境の向上にもつながります。
 
タイでのコーヒー栽培
1970年頃から、国連やタイの王室プロジェクトが主導する麻薬撲滅と生活水準向上のための代替作物推進事業として、コーヒー栽培が奨励されたのが最初で、現在それらのプログラムは、ステープ山のクンチャンキアン村にあるチェンマイ大学農学部高地農業研究所に引き継がれ、活動が継続されています。当初は、少数民族がコーヒーを飲む習慣がなかったことに加え、タイ国内のコーヒー需要も高いとはいえませんでした。また、無名のタイ産コーヒーが国際マーケットで市場を獲得することが困難であったことから、プロジェクトは下火となりますが、地道な努力が実を結び、多くの少数民族がコーヒーの栽培に着手し、着実に成果を挙げています。
現在タイ国内のコーヒー市場(アラビカ種)は、年間4500トンの需要があり、国内の生産量を大きく上回るまでにななりました。また、生産量、生産面積とも、今後数年間は毎年10%程度の成長が見込まれています。
 
私たちができるコーヒー出し殻のリサイクル
いろいろな使い方があるようです。その一部を紹介します。是非やってみて下さい。

脱臭剤

脱臭といえば、竹炭が人気ですが、これは普通の炭に比べてより多孔質性が高いため、吸着性能が高いからです。焙煎されたコーヒー豆も多孔質性が高く、嫌な臭いを吸収してくれます。水分が残っているとカビが生えることがあるため、出し殻をを電子レンジ(2~3分)などで完全乾燥させてから使いましょう。生ごみ、トイレ、車内、灰皿、靴の消臭などに利用できます。
 

防虫剤

ナメクジとカタツムリは1~2%のカフェインで死に至るようです。インスタントコーヒーに含まれるカフェインは0.05%程度ですが、、レギュラーコーヒーではそれ以上なので、出し殻から再抽出したものを噴霧するだけで効果があります。また、アリ退治にも効果があるようです。

 

猫よけ

猫はコーヒーの香りを嫌うといわれており、猫の現れそうな場所に、出し殻を撒いておけば、水を入れたペットボトルと同様、猫よけになります。また、柑橘系の香りも嫌うことから、オレンジの皮などを混ぜれば、更に効果が上がります。

 

フローリングや靴磨き

コーヒー出し殻には、適度な油分が含まれており、布やガーゼで包んでフローリングの掃除や靴磨きに最適です。

 

染料として使う

コーヒーの出し殻をお湯と混ぜて、生地や紙等の染料として利用できます。アメリカでは、イースターエッグの染料としても使われている他、あのスターバックスもコーヒーの出し殻で染めたTシャツを売り出していたこともありました。
 

肥料にする

コーヒーの出し殻には、植物の成長を阻害する作用(マメ科の植物以外)があり、そのまま土にすきこむには適しません。ただ、出し殻は多孔質形状のためよく水分吸収し、且つ弱酸性であることから悪臭の主因であるアンモニアを吸着して悪臭を防止できるなど、堆肥化の副資材として利用価値が高まっています。また、成長阻害作用もおからや家畜ふん等の窒素成分の多い他の資材と混合して堆肥化することで、無害化することが確認されています。
更に、家庭では、マルチング剤(株元の土の表面をワラや落ち葉、堆肥、ピートモス、ビニールシートなどで覆り、土の乾燥防止や冬には防寒、雑草防止に利用する)として、園芸的な利用が可能です。ただ、あまり大量投入しない方がいいようです。土と混ぜる場合は、2割りまでが目安です。
 
色々な利用法がありますが、最後にはやはり土に返すことになるのでしょう。コーヒーの可能性はまだまだ無限のようですね。

CHAOちゃ~お ちょっとディープな北タイ情報誌
(毎月2回10・25日発行)2010年1月25日第163号掲載

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