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犬のさんぽは、楽しそうなら100点満点


我が家では、アムリタという名のダックスフントを飼っている。
アムリタの詳しい話についてはどうぞこちらの記事から。

さて、大多数の犬たちがそうであるように、アムリタも毎日さんぽをする。
ちなみに先代犬であったはな女史(19歳ダックス、現在は天国に単身赴任中)は根っからの出不精で、生涯通してさんぽはほとんど拒否されてきた。20年近く犬を飼っていたというのに、『毎日犬のさんぽをする』という状況は我が家においては歴史的な変革でもある。
犬って本当に毎日さんぽするのね。都市伝説かと思ってた。


短い脚をちゃかちゃか動かし、しっかり前を向いて歩くアムリタを見ていると、「成長したもんだなあ」としみじみする。
では、アムリタが『飼い主の歩幅に合わせて歩き、常に飼い主と目を合わせながら、何にも気を逸らさず集中してしっかり歩く』みたいな、ドッグトレーナー界隈で推奨している理想的なさんぽができるのかと聞かれると、それはもう、清々しいほど全くできていない。
以下、アムリタのさんぽ中の主な行動一覧である。

・毎秒石を拾い食いする。
・風で飛んでいくビニール袋を猛然と追いかける。
・飼い主の脚にウザ絡みしてくる。「ウェーイw」みたいな感じでタックルとかしてくる。
・突然何かのスイッチがONになり、リードを咥えてダッシュするorその場でものすごいスピードでグルグル旋回しはじめる。

バンビみたい

もうアホ。
まごうことなきアホ。

周りのワンちゃんたちを見ていてもみんなお利口におさんぽを楽しんでいて、目を剥きながらビニール袋を追いかけてるアホなんてどこにもいないのだ。お母ちゃんは大変恥ずかしいです。


そんな“理想のさんぽ”からは対極にいるように思えるアムリタだが、どうか聞いてほしい。
こんな感じでも、彼女なりに一応成長はしているのだ。

さんぽデビューとはつゆしらず、虎視眈々とチューリップ唐揚げを狙う生後3ヶ月のアムリタ


ワクチン接種も無事完了し、いよいよさんぽデビューと相成った生後3ヵ月目。
記念すべき第一回目のさんぽはそれはそれはもう酷い有様だった。

この頃のアムリタはいまよりさらに話も道理も通じず、子犬というより『小ぶりの恐竜』『小規模台風』のほうがイメージが近い、というくらいには手がつけられなかった。正直飼い主を認知しているのかどうかも怪しい。
こんな暴走機関車を、リードで繋がっているとはいえいきなり道路に降ろすなんて恐ろしすぎる。

というわけで、初回さんぽはウチから400mほどしか離れていない、仲の良い親戚宅のガレージを借りることにした。
このくらいの距離ならまだどうにかなりそうだし、親戚宅にさえついてしまえば、門を閉められるのでガレージ内で好きに走り回れるはず。
念には念を入れての安全ルートを選んだわけだが、結果、この判断は正しかったといえる。

まず地面に降ろして歩き始めて早々、前に進まないのだ。
はじめてまともにつけたリードが嫌なのかなんなのか、狂ったようにビョンコビョンコ縦に跳ねながら後退していく我が家の子犬。
このとき私は「もしやこいつには、進行方向に向かって足を交互に出して進むという“歩く概念”から教えないといけないのか……?」とゾッとした。前途多難にも程があるだろ。

リードを嚙み千切ろうとする→縦跳ねしながら後ろに下がるという最悪のサイクルを繰り返しながら騙し騙し進み、歩道橋を抱っこして渡ろうとすればそれも気に入らないらしく激しく暴れ(ところで子犬の乳歯は尖っているのではちゃめちゃに痛い)、目的地の親戚宅に着いたときには人間たちは満身創痍でぐったりしていた。

ガレージに解き放ったアムリタは、それはそれは楽しそうだった。
好き勝手に走り回り、気まぐれに近くにいる人間にちょっかいを出し、落ちている枯れ葉をサラダバーのように食い漁り。きゃらきゃらずっと笑っていた。

ダンスしてるみたい


あの子が楽しいのが一番嬉しい。でもこれから、ちゃんとやっていけるのかしら。

楽しそうなアムリタを愛おしく思う気持ちと、あまりのままならなさに黒く滲む不安。
アムリタの最初のさんぽは、いい思い出ながら、どこかほろ苦い味がする。






そこから比べてしまうと、その場にいる誰よりもアホだろうと、ものすごく成長したなあと感動すらしてしまうのでお得である。
だってまず、前を向いて前に向かって歩いてるし。もうそれだけで飼い主にとっては100点満点なのだ。

アムリタとさんぽをしていると、ときどき上を見上げる彼女と目が合う。
そういうときのアムリタは大概、締まりのないヘラ~とした顔で笑っているので(犬には笑顔という概念はないという人もいるが、絶対あれは笑っていると思うんだよな)、つられてこちらまで表情筋が緩んでしまう。
一時通っていたドックトレーニングでは「アムちゃん、歩くときにヘラヘラしない!」と怒られていたアムリタだが、正直人間サイドとしては、ヘラヘラしちゃうほど楽しいなら本望である。他の人や犬に危害を加えたりもしないしね。
こちとら根っからのインドア派なので、愛犬が喜んでなければ、さんぽなんてようよう行かんのだ。

絶対笑ってると思うんだよな


どれだけアホでも、アムリタが楽しそうなら100点満点。
今日もあの子は楽しそうにヘラヘラしている。

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