No.6 キムタク・ドラマの最高峰『エンジン』が教えること

「のぞみっこ」のおかあさん、おとうさん、そして先生たち、こんにちは!

三週間ぶりの共育応援ラジオ『僕の好きな先生』の時間です。

この間、『園だより』裏面とQ&Aの執筆、「今後の園の方針に関する説明会」の開催、文化の日の「ぴよぴよらんど」などなど、盛りだくさんでした。

『園だより』の裏面復活は嬉しいという声の一方、もっと園の様子が分かる内容にしてほしいという声が寄せられました。

今後は、裏面は園の様子、それ以外はブログという棲み分けをよりはっきりさせていこうと思います。

ただ、今回の裏面で言わんとしたことは、「今後の園の方針」にとってかなり重要なことなので、11/6(日)付の日経新聞の記事と関連づけて、もう一度簡単に。

「やっぱり変だよ、日本の教育」 ルポ迫真まとめ読み: 日本経済新聞 (nikkei.com)(登録すると月10本まで無料で読めるそうです)

これによると「(日本の)教育現場には20世紀型のあしき平等主義が残り、閉じた安定の中にいる教育委員会や教師の多くも変革には及び腰」とのことです。

そして、『園だより』裏面で書いた「二つの戦争」こそが、この「20世紀型のあしき平等主義(≒集団的行動がとれる)」の起源ということになります。

ただこの「主義」には、災害時の対応などとの関係で優れた面もあるので、これからは良い面は残し、「あしき」面は改善し、これからも「自由にのびのび」を通して「とがった人材」=「個性豊かな人材」を育んでいこうというのが主旨でした。

そして、コロナ感染者が再び増加してきた今こそ、世界が賞賛するこの「日本人の優れた面(=「集団行動がとれる」の良い面)」が発揮されるべき時です。

自分と自分の周りの人々を同じように思いやり、コロナ禍を乗り切っていきましょう。
 

IB候補園になりました!

Q&Aでもお伝えしましたが、10月28日(金)にIB候補園になりました。

これから2年後にIB認定園になることを目指し、トライアル期間に入ります。

これもQ&Aでお伝えした通り、今後このブログは基本、「ぼくの好きな先生」がIB教育とは何かを学び、実践するための「レクチャーノート」にしようと思います。

実際にこれをもとに、「のぞみ」の先生たちは園内研修を行う予定です。

つまり、このブログを読めば、今後「のぞみ」で園児たちが、どのような主旨で、何をしていくのかが分かるように書いていきたいということです。

そして出来れば、それをお家でもやってみていただければと思います。

IB教育とは基本、「声かけ」ですので。

「のぞみ」の先生方も同じような「声かけ」をした上で、その成果を記録・精査し、それをもとにさらに良い「声かけ」を探求していきます。

その探求成果もこの「ラジオ」でお伝えします。

究極目標は、「のぞみっこ」が「聞いたり話したりすること」を心底楽しみ、そのなかで大事なことを学んでいけるような声かけや対話の探求です。
 

キムタク・ドラマの最高峰『エンジン』が教えること

突然ですが、私は木村拓哉さんが大好きです。

米国の大学で教え始めたとき、英語で授業を教えた後にヘロヘロになっている私を癒してくれたのが、日本のテレビ番組専門のレンタルビデオ屋で借りてくるキムタク・ドラマとダウンタウンの番組でした(インターネット以前の時代です)。

そして数あるキムタク・ドラマの中でのマイ・ベストが、レーサーである彼と児童養護施設の子どもたちとの交流を描いた『エンジン』です。

毎回エアロスミスの「エンジェル」で幕を開けるこのドラマの中で彼は、幼稚園児にも例のキムタク節で話しかけ、会話します。

これが、私のもう一人のお気に入り俳優である堺雅人(指導員役)の癇に障るのですが、勿論そんなことはお構いなしです。

実は、ある高名なイタリアの教育学者によると、「子どもを子ども扱いしないで話す」ということが、幼児教育において最も大切なことの一つだそうです。

子どもを同じ一人の人間として接していることが本人に伝わるような声かけ。

この教育学者によれば、子どもを子ども扱いする時特有の声かけではなく、子どもの人権・人格を尊重し、一人の「市民」、「研究者」(IBでいうところの「学習者」、「探求者」)として接することが大切だそうです。
 
ただ、こうした「やぼ(野暮)」な言い回しになってしまうところが学者の限界です。

同じことを、「いき」な「ぼくの好きな先生」であるキムタクと、子どもたちとの対話として描いたのが『エンジン』です。

例えば私の最もお気に入りの回である第四話。

第四話
https://www.youtube.com/watch?v=qRoRW2mp7as

この回には、子どもを子ども扱いした声かけが、一歩間違えば子どもの心に深い傷を負わせかねないこと(07:13~)、そして逆に、子どもを一人の敬愛すべき同じ人間として接するということがいかなることか(28:40~)が描かれています。

ちなみに「のぞみ」の先生はキムタクのように、かつ、より優しく上品に「のぞみっこ」に語りかけます。

また、『エンジン』でのキムタクは、幼児教育において最も大切とされるもう一つのことを教えてくれます。

それは大人である自分の悩み、失敗、過ち(嘘をついたことなど)を正直に話すということです(それがまた、例え幼児であろうと、一人の人間として相対するということなのでしょう)。

子どもはそこから沢山のことを、頭ではなく心で学びます。

以下の二つの回のクライマックスは、そのことを特によく表しています:

第二話(30:21~)
https://www.youtube.com/watch?v=4a4HOL4akIQ&t=2368s
第五話(27:00~)
https://www.youtube.com/watch?v=YBzqeRBhK8Q

ちなみに最近発覚し、大変驚いたことなのですが、「のぞみ」の新谷耕平理事長も『エンジン』が大好きだそうです。

キムタク・ドラマのなかではマイナーな部類に入る『エンジン』が一番のお気に入りだなんて、どうりで私と気が合うわけです。

今回は第一回目の「IB講義ノート」になるはずが、中盤から『エンジン』の話に終始してしまいました。

けれど、それが教える二つのことは、IBに限らず幼児教育において最も大切なことです。

ですのである意味、第一回目を飾るにふさわしい内容だったのではないかと勝手に思ったりしています。

(続く)


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