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#49 展覧会 [ i to o ka shi ]

2021年5月11日から16日まで開催した「いとをかし」展は無事終了し、気がつけば一週間経過していました。オーダーを頂いたものを作ったり、つくる環境を整ったりしておりました。

(準備中に適当に撮影した動画をシンメトリーに加工することで、より服の展示を表現できたような気がします。音は、自分で弾きました。)

「一週間」

2020年10月の個展は、中心に知ってる限りの友人知人の住所に(お店や学校などなど)DMを送りつけました。そうしてでもみてもらいたい気持ちがあったのは事実。同様にDMを送らせてもらいましたが、前回の決意めいた「想い」というより、「服」や「活動」を通してどう感じてもらっているかを知る機会。そんな感覚でした。だから準備をしているあいだ、不安な感情が湧き立つことは少なくなかった。でも蓋を開けたら、一瞬で過ぎて行きました。

この日のために
117点の衣服と袋、空間を用意しました。
そして、たくさん旅立っていきました。

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(* 旅立った子たち)

そして会期中、こんなうれしい言葉をいただきました。

「正直使えそうバッグだけと思って展示にきたけど、服がいいなあ」
「自分で糸を染めて織った布をずっと仕立てられずにいたけど、解いて反物に戻るっていいと思って、ワークショップに来ました。」
「noteを深夜ラジオのように読んでました」→  笑
「teiji(bag)想像してたより、いいですね」
「ひゆら(ワイドパンツ)ひらひらと生地が動くのが素敵」
「この家紋、母方と一緒!」などなど

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「意外」

着物という既成概念は、しっかりと日本人の脳内に根を張っています。
THE 和柄のような印象や形を連想して、"自分からは遠いもの""かつての日本の服"というイメージを持っていることは明らか。生地に触れる瞬間に、抱いていた何かが、ほんのりと溶けていくのを感じていました。

その時、印象が崩れて溢れる意外性と着用した時の違和感の無さが更に状況を強めているようにも思えました。

だからへんなことをいいますが、「着物」を使っているけれど、「着物」とは言葉にしないようにつとめていました。捨てられゆく着物たちの居た堪れなさで心を打つより「服」としての魅力が超えていくことを信じたかったからだと思います。

「形」

いとをかし展では、「試着販売/オーダー/ワークショップ」の三つの入り口と五つの形を用意しました。

1_ワンピースの形をした「hiyuru/ひゆる」

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2_セットアップの形をした「hiyura/ひゆら」

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3_羽織りの形をした「tamaki/たまき」

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4_あづま袋の形をした「teiji/ていじ」

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5_タペストリーの形をした「tsuzura/つづら」

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素材感と織り方や染めが醸す着物の印象、解いた時の個体差からなる反物の幅の違いで、たとえ同じ形を作ったとしても別物のような印象があるのが最中/sanakaの服の特徴です。それら全てが一点ものです。

そして、自身の語彙力では伝えきらない。
それらを伝えるには、直接見て触れてもらう他ないのです。

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「オーダー」

会期中、うれしい注文がありました。
「おばあちゃんの着物を羽織り(tamaki)に作りかえて欲しい。」
そのためにこの活動をしているといっても過言ではありません。

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モダニズムな柄のtamakiに生まれ変わりました。

そして着物リメイクとは異なり、この形は4_最中のあづま袋teijiに生まれ変わることができます。更に次の世代を超えて手渡すことができる服です。

どうか、布たちが持ち主のもとでも伝承していきますように。どうか、日本の産地力が伝承していきますように。最中として、日本の服(着物)がもつ仕立て直す概念で、新しい形をつくっていきます。

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「いとをかし」

可笑しみとは、ばかばかしさがあれば、巧妙さからも生まれます。
展示では、その両方を表現したかった。そしてある程度、感触はあります。

撤収後、オーナーの方から「此処ではもったいないね」と言ってもらえて、更に自信となりました。なので急遽ですが、7月頭から福岡市内に持っていこうと決めました。また追って詳細はお伝えします。

宮崎駿氏がアニメは子どもたちが楽しむものだとエンターテインメント性をもたせていることに対し、高畑勲氏に線の絶妙なブレから人の想像力に働きをかけるような本質性をアニメーションで描いた。

最中の「服」や「空間」の可笑しみをたのしんでいただけたでしょうか。
いっしょにあそべるようにたくさんつくります。また会いましょう。本当にありがとうございました。

最中/sanaka (佐藤)

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