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子宮を全摘した話:手術当日はわりと暇

前日さっさと寝たので、当日早くに目が覚めるかと思いきやそんなことはなく、ケータイのアラームが鳴るまで爆睡でした。図太い自分の神経に感謝。
手術当日やることは、
・朝の検温・血圧測定
・浣腸
・回診
・水分を摂る(手術室に行く2時間ほど前まで)
・弾性ストッキングを履く(手術室に行く30分くらい前から)
だけなので、前日の慌ただしさが嘘のようです。
暇つぶしに持ってきた本は昨日あっさりと読み終えてしまったので、Amazonプライムで映画をぼんやりと観たり、腹式呼吸や咳出しの練習をしたりして過ごします。

昼ごろにオット到着。
「午後の手術だから、昼ごろまでに着けば良いんだって」と伝えたところ、ホントに昼ごろに到着するところがオットらしい。
…まぁ、午後の手術は大体時間遅れて始まるから良いのですが。

徒歩で手術室へ

いま、自力で歩ける患者さんの場合、手術室には自分で歩いて向かうのが主流です。
手術室に自力で向かうことで、病気と向き合う覚悟が前向きに形成されるなどの良い効果があるそうですよ。(出典は忘れました)

手術室の外扉の前でオットとはお別れ。
病棟看護師と共に、個室の内扉が中から開けられるのを待ちます。
ちょっと緊張。

手術室の中は、緊張を和らげるために流れている音楽と、準備する音で少し賑やかです。自分は厨房を連想します。
向かってすぐが手術台。奥で麻酔科医がモニターのチェックをしています。
手術台の脇には必要な器材が並んでいて、看護師や婦人科医がスタンバイしています。主治医が「こんにちは!」と声をかけてくれるので、「今日はよろしくお願いします」と返します。
手術室看護師が手術内容の文書を読み上げて、患者−医療者間で内容の確認をします。

確認が済んだら、手術台へ。

麻酔科が左腕に点滴を入れます。(これが地味に痛い)
右手人差し指に、血中酸素飽和度の測定器をつけます。
酸素マスクを軽く顔に当てられ、麻酔科医の
「これから眠くなる薬を入れますので、ゆっくり深呼吸してください」
と言う声を聞きながら、意識がなくなるのでした。

ストレッチャーでHCUへ

意識が戻るのは、手術が終わって少し落ち着いてからです。
麻酔科医の「終わりましたよ、聞こえますか?」の声で、なんとなく目が覚めます。前日に説明された通り、この時点では、気管にチューブが入っているので声は出せません。目を開けることで「聞こえること」の意思表示をします。

この後で気管のチューブを抜くのですが、前回も今回もぼんやりしていてあまり覚えていないんですよね…。
次に意識が戻ったのはHCUでした。
看護師に痛みの程度を聞かれ、「痛かったら痛みどめを点滴するから、我慢しないで呼んでくださいね」とナースコールを握らされます。

うむ、痛くない。
痛みのスケール(平常時を0、人生で一番痛かった時を10の11段階で伝える方法)で2〜3。
痛くなくはないけど(お腹切ってるしね)、全然許容範囲。
むしろ、眠い。超眠い。…この眠気は寝て良いものなのか、寝ちゃダメなものなのか。痛くなくて眠いってどうなの? わからないから、とりあえず頑張って起きていよう。けど、眠いんだパトラッシュ。

ベッドサイドにオットが来て労ってくれます。
「終わった、痛くないよ」的なことと「なんだかすごく眠いんだ。寝て良いのかな」的なことを不明瞭に喋ると、看護師に通訳してくれたらしく、看護師から寝て大丈夫、と声かけが。ここで安心して、少し眠りました。

(麻酔からの覚醒の流れには、多少個人差があるようです)

当たり前なんですけど、手術中は全裸で腕には点滴が刺さっていて、肋骨のあたりには心電図のモニターが貼られ、お腹にはポビドンヨード(≒イソジン)が塗りたくられているんですが、意識戻るとお腹は肌色だし、点滴やドレーンが刺さっているけどちゃんと服(術後に着る、あちこち開きやすい服)も着ているし、看護師の技術ってすごいなぁと思います。

うとうとしたり、起きたり、オットに「帰るね」と言われ「気をつけてね」と返したり、看護師に「うがいしたい」「ちょっと横を向きたい」とお願いしたり、また寝たりしながら一晩過ごしました。
前回は一晩寝ていたので、人と意思疎通がはかれることに、少し感動していました。痛みもほとんどないので、モニターにうつる自分の波形を眺める余裕すらありましたが、モニターの時間が見えず(表示が小さいから)、今何時なのかが気になりました。
特に明け方、意識がはっきりしてくると、仰向けに飽きてきて(笑)

車椅子で病室へ

朝、検温と採血があります。
採血の看護師から
「吼さん、一晩痛みどめ無く過ごしたんですよ。こんな患者さんはあまりいないです」
と褒められ(?)ました。てへ。
本当は寝ぼけている間に点滴してくれと頼んでいたから痛くないんだと思っていましたが…。自分がやったこと/やっていないことがイマイチわかりません。夜中に変なこと口走ってないと良いんだけど。

検温が終わったら、ケータイ解禁です。
気持ち的にはもう8時ごろでしたが、まだ6時30分でした。

体を拭くために、ベッドを起こしてもらい



気持ち悪い。。。
前日の昼から横になっていたお陰で、わたしの心臓は、「高いところに血液を送る」と言う大事な役割を忘れたようです。くらくらします。
朝から飲水が解禁されているので、お水をもらい、看護師主導で体を拭いて着替えます。
その後、9時過ぎまで「片手に点滴、片手に吸い飲み」で過ごしましたが、ふらつきが治らず、車椅子で部屋に戻ったのでした…。
自分の予定では溌剌と歩いて部屋に戻るはずだったのに。ちぇ。

立て、立つんだ

車椅子からベッドに移り、上半身部分を起こして座る体勢をとります。
安全のために、ベッド柵が付けられるので、なんだか病人のようです。
こんなこともあろうかと、枕元にペットボトルの麦茶とストローキャップを用意していたので、看護師にセッティングしてもらいます。こんなしょーもない雑用もにこやかに対応してくれる看護師、神…。
なんでこんなにふらつきが治らないのか、いつもの起立性低血圧か脱水だと思ったけど、貧血なのか? それとも、今一番避けたい副作用、脳梗塞か?…いや、やっぱり脱水してる気がするな…、などとぐるぐる考えながら、麦茶をちびちび飲みつつ小一時間過ごします。
術後、早くに立って歩くことはけっこう大事で、動くことで内臓の癒着や筋力の低下、血栓の形成が予防できるのです。それ以前に、立たないとトイレに行けない。→ 尿道カテーテルが入ったまま → 不快。

これ以上ベッドの上で座っていても何も進まないので、覚悟を決めてナースコールを押します。
そう、術後初めて歩くときは、看護師の立ち合いが必要なのです。
患者が転ぶと一大事なので。

看護師に見守られながら、立ち上がって少し歩き、椅子に座る…用を足す動作が一通りできたので、晴れて、尿道カテーテルを抜いてもらえます。

身軽

あとは昼食(写真)を半分以上食べれば点滴も外れるので、回復する一方です⭐︎(ポジティブ)
40時間ぶりくらいの食事は全粥。お粥にシチューってあまり自分ではやらないけど、病院ではよく見かける気がするわ。。。

無事に食べ切って、点滴からも開放されました。

身軽!(2回目)

お腹もほとんど痛くないし、食べたら元気出てきたし、あとは回復するだけ。

結局、自分の場合痛みはほとんど無くて、頓服で出された痛み止め(痛くなりそうな時に服薬する)も3回しか服用しませんでした。服用の理由も「動くと痛みそうで怖いから」だったので、手術翌々日には飲むのをやめました。
トイレに座る(腰を落とす)動作と、洗顔(前屈みになる)動作、低い椅子に座る(お尻が沈み込む)動作が、きずに圧がかかる感じで少し怖かったくらいです。

なるべく室内で動くようにアドバイスされたものの、部屋をぐるぐる回っても目が回るだけなので、ベッド柵や壁に掴まっての片脚立ちやかかと上げをしたりして、下半身の筋肉がこれ以上落ちないように気をつけました。
上半身はタオルを使ってラットプルダウンをしたり。
人間、一日寝込んでいると1〜3%の筋肉が落ちるそうです。特に歩く/姿勢を保つ筋肉が落ちやすいらしい。また、食事をしないでいても、動くための筋肉は分解されてしまいます。手術は「食べない・動かない」なので、筋肉減る要素しかない。
ただし、入院中の体操はやりすぎないことも大事だそうです。切ったところ、まだちゃんとくっついていないしね。

怯えていた貧血ですが、後で聞いたところ出血量は50ccでした。素晴らしい。

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