歴史と文化のまち、古河市に根付く「小さな」アートプロジェクト 山口 健氏より
小生、恒星とヨシズミ トシオは2004年からアートプロジェクト「a ri A Ru Creationz」(以後ありあると記述)を始動しました。メンバーの個展を軸に、総合パフォーマンス公演やワークショップ、異業種交流会、海外のアーティストの展覧会を茨城県古河市の文化施設を中心に埼玉県立近代美術館、北関東に於いて70回開催してきました。今書きながら気がつきましたが、今年は20周年目でした。そんな節目にたいへん有り難く貴重な出来事が起きましたので、ご紹介したく筆をとっています。(出来事自体は去年の3月末です)
なんと、ありあるの活動がとある芸術大学の卒業論文で取り上げられたというものなんです。
今までも少しばかり奇跡が起きてきましたが、極小ながら地道に活動し続けてきたことが報われた瞬間でした。感謝の最上級、感代謝※そのものになった貴重な出来事でした。(※感代謝は、恒星の造語。「世の中、社会の流れを自ら感じ考え、皆んなと良い流れを作っていこうう。すると内から生きる活力と感謝がわいてくる」という意味。)
その大学は開設10周年を迎えた京都芸術大学芸術教養学科です。その中でも通信教育課程芸術教養学科WEB卒業研究での論文です。執筆者は山口健氏。以下、その論文です。
先ずは、山口氏との出会いから触れておきたいとおもいます。
コロナ禍において、芸術家繋がりのzoomミーティングで画面越しにお話したのが初めでした。主催は舞踏家の石井則仁氏(山海塾、舞踏石井組)またコミュニケーションデザイナーの荒谷健道氏(SEAinc.)もいらっしゃいました。両氏ともありある企画にも出演して下さった面々です。荒谷さんは古河市で開催したありある企画に何度も出演下さいました。
そんな現代的な出会いの後、実際に山口氏が私どもの個展や古河へも足繁く何度もご来場、取材に訪れて下さったという流れで完成したのがこの論文なのです。完成度の高い論文にただただ感謝の念でいっぱいで御座います。感涙。。。
氏との交流を深めるにつれ、氏の洋の東西を問わず文化芸術、歴史、政治経済、音楽とさまざまな見識を備えた人柄に、旧知の友人のようにと言ったら大先輩にたいへん失礼ですが、フランクに接して下さり恐縮するばかりで御座います。氏も元々バンドマンであり特に音楽への愛、造詣の深さは群を抜いており、マイルス・デイヴィスを改めて聴く機会を下さったのも氏でした。マイルスの表現から「間」を改めて探求する必要性を実感する転機ともなっております。ありあるの活動も人と人の間を繋げる役割を担っていますし。時空間、間合い、感覚など、表現者ならずとも散々耳にする「間」ですが、とことんまで追求出来ているのかといえば、なかなか難しいところ。これからも素直に変わりなく「間」への考察と表現への昇華を試みざるを得ないことをここにも付け加えておきたいと思います。
さて、論文にも論述下さったように、ありある単独(共催は除く)の公演や催し物は全て自主財源で賄っており、公的資金を一切使っておりません。もちろん、活動をしながら文化活動への援助申請も考えましたが、あえてそこは一線を置くことにし、助成金などは一切受け取らず開催して参りました。活動継続には論文でも書いて頂いたように、大変厳しい現状は変わりありません。これから続けていくにあたって、援助申請も検討に入れていく可能性もゼロではありません。しかし、変わらない姿勢でこのまま行く可能性の方が高いと思います。
自主財源での活動継続のきっかけのひとつは、ブルガリア出身のアーティスト、クリスト氏(クリスト&ジャンヌ・クロード)が自分のプロジェクトを実行する際、その費用を自前で賄っていると聞いたことが起因してもいます。聞いた場所もブルガリアのVARNA市でのクリスト氏のリトグラフが主に展示された個展でのことでした。同時期にヨシズミトシオが、VARNA国際版画ビエンナーレでのグランプリ受賞し、個展も併せて市内で開催した縁で非常に印象に残っています。
現地のアート関係者がリトグラフなどを販売して費用を賄っていると言及されていたのです。昨今お金とアート関連の著書も多数存在しますが、世界のアート業界を見れば、オークションや投資目的で作品をコレクションする方や、NFTという概念も加わってより複雑な様相を呈していますよね。
最近驚かされたのが伊藤若冲氏が23〜40歳頃、実家の京都・錦市場(にしきいちば)の青物問屋「桝屋」を切り盛りしていた頃の年収が今の価値で約5億円もあったらしく、桁違いの額に衝撃を受けたのはご想像の通り。
個人、団体を問わず、ありあるの活動に少しでもご興味をもって頂き、ご支援下さいます奇特な方がいらっしゃいましたら、自選他薦問わずご連絡くださいますと幸甚です。
世界のグローバリゼーションの流れをしっかり精査し、良い意味で「際」や「境」は、コロナ禍でも重要であったと思います。衣食住足りてこその文化芸術であることは変わりないですが、世界的な都市化、意識の世界、同じにする世界が広がる中、目の前の違いを見極め、認め合える社会へと進んでいけるように、私たちありあるのメンバーも意を同じくし今後とも活動してゆく所存です。
ここでコアメンバーを紹介致します。
ありあるでは、いくつか総合パフォーマンス公演を所要コアメンバーである音楽家のBo-z EXP、ダンサーの齋藤英恵、パフォーマンス・アーティスト、インスタレーションのKana、コミュニケーションデザイナーの荒谷健道、舞踊家・俳優 + 生躰研究家のYASUCHIKA、インディアンフルートのiritena、またフライヤーデザインのナオといった面々。Kanaには、ありあるでもたくさん御尽力頂きました。
ありあるとどら焼きを融合した「あるドラ万葉会」という、飛び入り大歓迎、フリースタイルでの交流会では、間々田の「ドラヤキワダヤ」の店主、染谷典氏が快く古河の支店をお貸し頂きました。毎度参加してくださるお客さまの為になるお話や発表にこの上なく有意義な時間が創出され、本当に楽しい時間でした。また現在は「アユミル」として、またお休み処坂長の前館長として金子典子氏にも共催や古河での様々なイベントで大変お世話になりました。坂長では、日本のアコースティックギターの要でもあるk.yairiの姉妹ブランド、VINCENTとのライブ総合イベントと、そして「ある蔵万葉会」としても開催しました。
ありある搬入出にはSatoshi.Kも加わり、そしてもちろん上記メンバーや快く率先してお手伝いしてくださった皆さまのご協力、ご尽力の元開催して参りました。個々のメンバーのご紹介はまたの機会に譲りますが、彼らなくしてありあるの存在はあり得ません。深く感謝申し上げると共に、引き続き夢のような時空間を創造して参りたいので、何卒今後ともよろしくお願い申し上げます。
さいごに、今後の展開を。現在進行中の恒星の10,000点の絵画を描く一大プロジェクト【万画越境】も8,200点(葉書大の水彩画がメイン、他アクリル画、大作水墨画など)到達し、この展覧会とカタログを実現するのが最大の目標です。またヨシズミトシオ個展、恒星個展の継続が軸ですので引き続き開催致します。また総合パフォーマンス公演も回数は減りますが、質の高い作品を発表出来るよう水面下で進めて参りたいです。しかしながら、目下絵画制作に注力しているのもあり、個展発表という軸をしっかり立て直すのが第一で御座います。
仕事もしながら毎日絵を描くことはなかなか難しいですが、どうにか2024年で6年目に突入しました。8,200点描いたことで分かるのですが、やはり健全な「心身」あってこそだなと痛感しております。ですので、「いかに休める時に休むか」「睡眠・運動」といった当たり前のことが最も大切なことを改めて実感しております。ちゃんと休むことも継続のコツですね。
この度は、改めまして山口健氏のこれ以上ない賛辞を受け止め、真摯に歩みを進めて参りたいと思います。本当に本当にありがとうございました。私の人生において忘れられない、思いがけない素敵な、これ以上ない贈り物を胸に精進あるのみです。このことはきっと走馬燈のように去来することでしょう。本当に極小アートプロジェクトであり、全くもって知名度もなにもありませんが、ひとつひとつ矜持をもって開催してきたかいがありました。これからも変わらず、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
この記事で初めて知ってくださる皆さまへもご挨拶したく存じます。「内から生きる力が湧いてくる」作品制作と、ありあるの活動と邁進して参ります。どうぞお見知り置きを------。
長文お付き合い頂きありがとうございました。
日々の制作のなかに、感代謝のおもいを込めて継続して参ります。
大感代謝。
恒星
《 a ri A Ru Creationz / a ri A Ru records / 星座を歩く(アートクラス)》