舞台の音楽制作がおもしろい
Youtube用の台本を加筆修正したものです。
僕は去年2019年に7本の舞台に関わって、今年もすでに1本の舞台の音楽を作ってます。
舞台って、演者を直接見るという関係上、どうしてもお客さんの総数が少なくなるので、頻繁に見に行ってる音楽家の人も少ないんじゃないかなと。
もっと多くの音楽家に舞台のおもしろさを知ってほしいと思ってます。
僕自身、舞台音楽の仕事をするまで、舞台はあまり見たことがなかったんですよね。
でも仕事をはじめたら、めちゃくちゃおもしろいぞと。
毎回、だいたい本番は見に行くようにしてるんですが、お客さんの中で僕が一番楽しんでるんじゃないかな、という気がしてます。
舞台の音楽制作が他の音楽の仕事と違っておもしろいところ3つ
1、演者さんからのフィードバックがある
ドラマとか映画とかの劇伴だと、映像を撮って編集したものに音楽をつけるわけなんですけど、舞台はその場で流しながら演技をする。
そうすると何が起こるのかというと、演者さんは音楽を聴きながら演技をするので、演技が音楽に影響される瞬間というのがあるわけです。
そうやって音楽と演技の呼吸が合った瞬間というのがものすごく気持ちいい。
これは後から音楽をつけてるドラマとか映画だとこういうことはほとんどない。
ダンスもそうですね。どういう音にしたら入りやすいかなとか、踊れるかとか、そういうのを考えるのがたのしい。
2、色々な音楽を作れる
これは他の劇伴と似てるんですけど。
ここ数年だけでも、ファンタジー、和風、ケルト、ロンドン、中国、シルクロード、60、70年代、などを作らせてもらいました。
いろんな場所や年代、ジャンルもクラシック、ロック、エピック、ダンス、パロディ曲など、ありとあらゆるものを作ります。
もちろん楽器もピアノ、ギターなどのベーシックなものから民族楽器まで。
もともといろんなジャンルが好きなので、毎回テーマが違って、新しく勉強しないといけないのが楽しい。
3、まとめあげるのがおもしろい
いろんな音楽を作るんですが、それをどうまとめるのか、というのを考えるのが面白い。
例えば、1つのフレーズをモティーフ的に使ったり、1つの楽器を複数の楽曲で使用して統一感を出したり。
曲そのもの以外にも考えることが多い。「これはどういう演出なんだろう」とか「仮の曲があてられてるときに選曲の理由」とか「どの曲が重要度が高いのか」「スケジュール的にどの曲から仕上げた方がいいかな」とか。
情報が少ないので、読みの力が必要になる。
本番まで最終的な雰囲気や、どういうふうに曲が使われるのか、というのが完全にはわからない
毎回本番を見にいって、読み通りとか、保険をかけておいてよかった、とか、ここは読みが外れたな、というのがあるんですけど、公演中や、次の作品でそういうのを修正したりするのも楽しい。
その3つが舞台の音楽制作が他の音楽の仕事と違っておもしろいところです。
おまけ
・現場の人はみんなやさしい
昔、演出家の蜷川幸雄さんがよくテレビに出てるのを見てて、舞台って、灰皿を投げられて怒られる、みたいな、怖いイメージしかなかったんですけど、全然そんなことなくて、みんなやさしいです。
音楽家っていう僕の立場の問題もあるかもしれないですけど。演者とはちょっと違うので。
稽古も見させてもらってますが、和気あいあいとやっている印象です。
・舞台はVRと似ている
僕はVRも好きなんですけど、舞台はVRと似てます。
平面のディスプレイじゃなくて、その場に行って没入して体験しないと良さが全く伝わらないというところとか。
なので、機会があったら是非舞台を見に行ってほしい。
見に行くときのオススメは
「新しめの大きな会場でやっている舞台」
なぜかというと、音がいい。
小さな会場はシステムもこじんまりしてて、音量や低音がしっかり出てなかったりする。音量や低音がしっかり出てないと音の気持ちよさが半減しちゃう。
他にも、大きなところだと照明や舞台装置の演出の幅が広い。ということはおもしろい可能性も高い。
舞台のおもしろさを理解するために、一度大きなスケールの場所を体験してほしいです。
ではまた!
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