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日記|くたくた

いくらでも替がきく仕事をして疲れる。それを埋め合わせるみたいに料理をしている。麻婆豆腐、焼き鯖とピーマンのエスニックサラダ、空芯菜の卵炒め。息子が食べ終えるまではそばにいる様にしているのだけど疲れに耐えきれず横になって気づいたら午前2時だった。
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いただき女子りりちゃんの手記がツイッタに流れてくる、なんだろう、彼女に対して抱く感情をまだ整理できないし深く情報を追う時間もないのだけど、言葉を綴る感覚が瑞々しくてずっと残る。リプライをしたところで本人には届かない。一方的に孤独を眺めている、こちらもまた苦しい。苦しさと苦しさで見えない手を繋ぐような感覚。
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13歳ぐらいの頃に読んでいた小説を図書館で取り寄せて読んだ。小嶋さちほさんの「背中のラブソング」。当時はティーン向けのファッション雑誌に連載されていたのを毎月楽しみにしていたのだった。あれは確かソニーマガジンズが出していたPeeWeeという雑誌でミュージシャンがたくさん登場していたのです、Cutieよりも音楽寄りでOliveよりもポップだった気がする。単行本を持っていたはずなのだけどいつのまにか手元になくなっていて、約30年ぶりに再会してみるとあれ、雑誌で読んでた時はこんな風に書いてあったっけ?みたいに細部を思い出してくるので人間の脳みそって不思議だ。当時着ていた洋服は思い出せないのに。中年がティーン向けの小説を読むのはさすがにこそばゆい感覚があって、喫茶店でブラックコーヒーを片手に澄ましていたけど胸のうちはたいそう甘かった。13歳ぐらいの頃は読書の世界が急に広がって、中原中也を読んでかっこえぇなと思っていたし、手当たり次第読んでいて出会った谷崎潤一郎の「痴人の愛」は大好きだったけど親には隠していた。本屋のおじさんに睨め付けられながら買った比留間久夫も同じように本棚の奥にしまっていた。あの頃の読書が一番充実していたかもしれない。
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明日も替のきく部品として働く。削られないためにせめて髪をきれいにしていく。満月。


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