見出し画像

【動画制作者向け】制作単価ってどうやって決めるの?

どうも、動画制作とWebマーケ支援をやってる、しかたこうきです。

動画制作のフリーランスにチャレンジする人が増えています。

仮に動画制作会社に勤めていた人であっても、編集者はカメラマンの場合は、見積書を書いたことがなかったり、会社で書いたことはあっても、自分の個人事業の場合はどうしたらいいのかわからなかったりしませんか?

この記事では、動画制作を受託するために必要な、自身の制作単価の決め方について解説します。基本的には、私が実際にやっている手法の紹介です。

物の値段の決め方:顧客の要望に合わせた金額を設定するか、自分のほしい金額を設定するかの2種類

これです。基本的には、どっちの発想から金額を決めるのか2種類あるわけです。

顧客の要望に沿ってしまうと、自分の欲しい単価が得られない可能性があります。例えば

「これ、10,000円でほしい(というか今手持ちが10,000円しかない。増える見込みもない)」
売り手「(本当は30,000円ほしいが、30,000円貰えないにしても、20,000円損したつもりで、10,000円だけでもほしい)はい、承ります」

こういうことになってしまう可能性があります。もっとも、30,000円が妥当かどうかはわかりません。お金を持っている人には30,000円で売れる可能性があるかもしれませんよね。

とはいえ、世の中には相場というものがありますし、ネットが当たり前の現代では価格.comみたいな比較サイトもあるわけで、顧客もある程度の相場感は理解していると考えた方が自然です。

ですから、このケースでは、自分が30,000円ほしいのではなく、コストダウンや低価格の代替品を提案するなどして、顧客の望む金額、あるいは相場として妥当な10,000円に価格に合わせて商品開発する必要があったりします。

ただ、これだと顧客から不当な値下げ要求をされても、それを飲まないといけなくなります。仕入れがある物販や原材料が必要な製造業では「原価割とれ」という概念があります。つまり、これ以上低価格にすると原価割れするので、最低でも◯円頂かないと成り立ちません、みたいなエクスっキューズができるのですね。

しかし、動画制作は、制作に機材は必要とはいえ、これは長期間にわたって使用する物ですので、経費ではありますが、原材料費や仕入れではありません。

強いていえば、動画制作における原材料費は、その制作をする人の人件費です。人件費といえば、会社で言えば給与ですから、給与ベースで考えることになります。

給与ベースで考える単価設定は、つまり「いくら自分が欲しいか」になります。こちらは顧客の懐事情に合わせるのではなく、一体自分の制作物の価値が幾らが妥当なのか、という値決めに直結します。

ちなみに、私の場合は「いくら自分が欲しいか」の給与ベースで設定しています。

では、給与ベースで考える、というのは一体どう計算をすればよいのでしょうか?

単価の基準:自分の給与×3

ビジネスパーソンの世界では「自分の給与の3倍稼いで一人前」というような言葉があります。これは動画制作業界に限りません。

例えば、額面月給が25万円の人で、仕事は営業をしているとすると、毎月75万円の受注を達成して、ようやく会社的にトントン、といったところでしょうか。

これは制作者でも同じです。額面月給25万円の人で仕事が制作の人は、毎月75万円分の案件を制作して納品しなければ帳尻が合わない計算です。

では、なぜ3倍なのか、という根拠です。企業は、人件費以外にも、事務所の家賃、光熱費、コピー機のリース代金や通信費用など、ありとあらゆるコストを支払ってます。

また、人件費は給与だけでなく社会保険など、国に納めないといけないお金もあります。

さらには、間接部門の人の人件費や、役員報酬なども払い、その上で内部留保という会社の貯金みたいなものも蓄えたいよね、将来の投資にもお金は使わないとだよね、と色々と支払う費用があるわけです。

そういうのをマルっと含めると、人件費の3倍稼いでトントン、というのがサービス業の基本的な収益計算になります。

月30万の給与をもらおうと思ったら、90万円売上ないといけない?

基本的にはそういうことになります。

フリーランスの人がよく「月収30万円達成!」と言ってますが、月収=売上だとしたら、少なすぎると思います。会社員だったら、額面給与10万円です。流石に額面10万では生活成り立たないと思います。

それでも月収30万円達成を喜んでいる人がたくさんいるのは、多分、自分の欲しい給与×3を知らないんだと思います。

実際には、企業経営よりはフリーランスの方が経費を圧縮できます。例えば事務所を借りずにコワーキングスペースを利用するとか、自宅兼事務所にしてしまう、とかです。

光熱費や通信費は家庭で利用する分と按分できるので、そこもコストダウンです。

なので、会社員としての額面給与の1.5倍程度でも、最低限生活することは出来ると思います。売上月30万なら、会社員としての給与は20万円ぐらいでしょうか。

確かにこれならギリギリ生活できるかもしれません。しかし、ここから経費と税金、国民健康保険、国民年金などを払うと、残るお金はほとんど無いでしょう。

こうなると、貯金が出来ずに、何かあった時、受注が途絶えた途端に詰むことになります。

先ほど、企業の貯金として内部留保という言葉を挙げましたが、個人が貯金をするのと一緒で、企業もある程度の現金を貯めておくことがあります。余裕のある企業はまずやってると思うのですが、この内部留保があるかどうかで、会社の危機を乗り越えられる可能性も高まります。

フリーランスの場合、安定して毎月売上られるとは限らないため、そのバッファ(余裕)として、自分の給与と税金、経費、さらに上乗せした分を単価として請求します。1.5倍では到底足りず、ここでもやはり3倍程度が妥当かな、というところです。

ここまでの結論をまとめておくと

  • 会社員としての額面給与20万円が欲しいなら、月に60万円は売り上げる

  • 会社員としての額面給与30万円が欲しいなら、月に90万円は売り上げる

こういう考え方でいきましょう、ということです。

人日単価を設定しよう

ここで、月90万円欲しいなら、1日の単価はいくらに設定しようかな? という話になります。

一般的には土日祝日をお休みすると考えて、月20日稼働するという計算をします。

つまり、月90万円売り上げようと思うと、1日の単価は4.5万円になります。

私の場合、これに機材管理費名目で5000円上乗せして、5万円を人日単価にしています。Web制作会社でも同じような人日単価設定はありますが、動画制作の場合は高スペックなパソコンが必要だったり、撮影機材や照明機材を自前で所有するケースがあるので、その分の費用を上乗せしています。(とは言っても、ささやかな金額ですが…)

ちなみに、人時単価(時給設定)というのもあります。人日単価が5万円の場合、8時間稼働したら8で割ることになるので、1時間6,250円となります。

例えば私の場合、2時間のスポットコンサルなどがあれば、1回の請求は12,500円ということになります。

この案件、自分なら何日で作れる?

例えば、企画撮影編集、全部自分一人で手がける案件の見積もり依頼が来たとします。

内容を聞いて、企画の作成、撮影日数、編集にかかる時間をざっくり算出します。機材は、全て自前のもので対処することとします。

  • 企画の作成なら半日でできそうだな… → 0.5人日=2.5万円

  • 撮影は丸1日かかりそうだぞ… → 1人日=5万円

  • 編集は1日半かかりそうだ… → 1.5人日=7.5万円

合計すると、3人日=15万円という見積もりになります。

実際には、ここに交通費やBGMの費用、ナレーションの外注費、進行管理費なども載ってくるのでもう少し高い金額になりますが、自分の純粋な取り分としては15万円、というシンプルな金額になると思います。

また、高価な機材を持っている人や照明まで自前で用意するような人は、撮影の単価をもう少し高くしてもいいでしょう。

3日フルに働いて15万円もらうのは妥当な対価か?

私は妥当だと思いますが、最低ラインでもあると思います。機材負担の大きい動画制作なので、機材費入れても人日5万は安いぐらいです。

もちろん地域差もあります。東京だったらもっと高い単価を取る制作会社もあります。地方だったらもっと安いケースもあるかもしれません。

そこは自分の住まいと力量のバランスで単価設定をすることになると思います。

3日で15万円もらえるのを安いと思うか高いと思うか。高いと思った人は、仕事のない日も、フリーランスにはあるということを頭に留めて欲しいと思います。その分のバッファを考えると、高いどころかむしろ安いと思いますね。

最後に:自分が苦しまない金額=欲しい給与の3倍をきちんと設定しよう

以前にも低単価で苦しむ動画編集者について触れた記事を書きました。

この時は「単価の高い予算で発注できるクライアントを見つけよう」や「下請けの編集から脱しよう」「YouTuber案件を避けよう」といった趣旨で解説しました。

もちろん、その切り口は間違いではないのですが、元を辿れば、しっかり自分の単価設定ができていないに尽きるのではないでしょうか。

人日5万をしっかり貰えない仕事は、そもそも原価割れだと思って手を出さないのが賢明です。(もっとも、そうはいかない事情もあると思いますが、それについてはまた別の機会に…)

自分の単価設定をしっかり行い、その単価に見合った案件を確実に取れるようになりたいものです。

今日はこの辺で。

頂いたサポートはクリエイター活動の主に機材費・出張費に充てます! より良い作品アウトプットのためにご協力よろしくお願いします!