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【動画制作者向け】直販と代理店。商流とクッション数について理解する

どうも、動画制作とWebマーケを支援している、しかたこうきです。

さて、ここのところ連投している動画制作者向けの記事ですが、今回も制作者向けのお話を。

テーマは、直販と代理店。正直、動画制作者の間でそこまで話題にならないのですが、ビジネスとしては結構大事なポイントだと思います。

顧客と直接取引をする=直販

よく、広告業界やWeb業界では「直クライアント」とか「クラ直」とか言われるやつです。

動画制作でもあり得ますが、要は一般の会社(よく「事業会社」などと言ったりします。広告制作とか、デザイン業じゃない、って意味ですね)が動画を作る必要があり、動画を制作できる会社や、フリーランスに依頼する取引のことです。

作る必要があるから、作れる人に頼む。シンプルな商取引の基本だと思います。

顧客との間に別の会社が入る=代理店

業界用語ではあるのですが、代理店というと広告代理店のことを指すケースが多いです。私の場合は、間になんらかの会社が入ればそれはイコール全て「代理店案件」と呼んでいます。

広告代理店は、その名の通り広告の制作を代理するのが仕事なので、大抵の場合はパートナーとなっている制作会社に下請け案件として、制作案件を再委託します。

広告代理店の存在については善悪様々な意見がありますが、基本的に「代理店は受注、制作会社はそれを制作」という役割分担だと思ってるので、良い関係性が築ければ、良質なビジネスパートナーシップが構築できると思っています。

直販・代理店、それぞれの良いところ悪いところ

直販の良いところ

  • 利益を最大化できる

  • レスポンスが早い=納期に余裕ができる

  • 間に入っている人や企業の都合に振り回されない

こんなところでしょうか。間に余計な会社が入っていないと、これらのメリットが大きいんですよね。

直販の悪いところ

  • 新規開拓に手間暇がかかる

  • 動画の場合、リピート性に疑問がある

  • 顧客の規模によっては、社内の水平展開が難しい

私はWeb制作に関しては直販派なのですが、動画の場合はリピート性に疑問があるという点が気になっています。

今のところ、年中を通してコンスタントに動画を発注したいというニーズが事業会社にあるところはまだまだ少ないです。せいぜい自社内でWeb広告にかなりの予算を投じている会社が、動画クリエイティブをたくさん作りたい、そんな需要ぐらいじゃないでしょうか。そんな会社は、まだまだ稀です。

代理店の良いところ

  • 仕事を取って来てくれる

  • 自社の社格では取引できないようなビッグクライアントの案件に携われる可能性がある

  • 営業力がハンパない

  • エンドクライアントとの折衝を代行してくれる

こう言ったところでしょうか。広告代理店は代理と言っている以上、仕事を取ってナンボなので、営業力がハンパないです。営業部隊の頭数も制作会社のそれとは比較になりません。

代理店と良い関係性を保っている制作会社は、仕事を取ることは代理店に任せて、制作会社は作ることに集中できる良い関係だと思います。

代理店の悪いところ

  • 中間マージンが発生するので、利幅が薄くなる

  • キャッシュフローが遅くなる場合がある

  • 代理店の都合で振り回される可能性がある

  • レスポンスが遅くなる

  • 手戻りが発生したり、制作上の混乱が起きる可能性がある

  • 納品した案件は、制作事例として自社のサイトに掲載することができない場合が多い

どっちかといえば、代理店の悪のイメージってこれらのイメージが強すぎるんですよね。

お金の問題はある程度しょうがない部分はあるんですけど、制作上の過程で振り回されることが多いです。

それは、間に1社入ることで、関わる人間の数が増えるから、という点にあります。エンドクライアントがきっと気にいる、と思った案を提出しようとしても、途中の代理店の関係者がNGを出す可能性もあります。

代理店もクライアントですので、NGが出たら修正せざるを得ません。すると、エンドクライアントが気に入ってもらえるだろうと思った案も、代理店の都合で変な方向に修正されてしまうかもしれません。

代理店というか、間に別の会社が入るということは、こういう状況を孕んでいるんですよね。

あとは、間を挟む以上レスポンスが遅くなりがちです。余裕を持った制作期間を設定していても、伝言ゲームで1日が終わるとかよくあります。

  • 制作会社「初校できました。ご確認ください」

  • 代理店「ありがとうございます。内容確認の上、クライアント様に提出します」

  • エンドクライアント「確認しました。修正お願いします」

  • 代理店「かしこまりました。確認して対応します」

  • 制作会社「これから修正します」

これだけで丸1日潰れることなんて当たり前にあります。結局実際に制作にかけられる時間が短くなったり、納期が迫って深夜残業や休日出勤せざるを得なくなります。

ここで上げた例で言うと、代理店案件の負の側面ばかりですが、もちろん上手く調整してくれる代理店の人もいるので、良い関係性が築ければ、代理店案件も悪くないと思います。

ブローカーに気をつけろ! クッション数で地雷案件を回避する

ブローカーというのは辞書を引けば「媒介人」などと出て来ますが、一般的には悪い意味で使いますよね。

動画制作に限らず、クリエイティブ業界にもブローカーは存在します。

代理店の良し悪しは先に語った通りですが、代理店の中には二次請けして、さらに制作会社に再委託する会社もあります。

そうなると、その会社は案件の横流しをしているだけで、ピンハネしているだけ、ということなります。

私は、この手の会社を「ブローカー」と呼んでいて、基本的にブローカーが介在する案件はお断りするようにしています。

クッション数とは、この間に入る会社の数のことを言います。これは私独自の表現です。案件の打診が来たときに「この案件は間に何社入ってますか?」と必ず確認します。

「間はウチだけですよ。1社です」だったら取引を考えますが「あー、あとうちの上にもう1社あります」とか「うち含めて全部で3社です」とかになると、考えるだけで時間の無駄なので、きっぱり断ることにしています。

代理店1社だけでもコミュニケーションコストと利幅が減ることを考えると、間が2社、3社となるとあり得ないぐらい下請けが苦労するので、うちは最初からお断りです。

とはいえ、中には間3社入ったとしても、普通では取引できないようなビッグネーム企業と取引できる! みたいな場合は、検討する制作会社もあるかもしれませんね。(ト◯タとかソ◯ーとか?)でも、うちはそれでもお断りしてます…

最後に:商流は基本的なビジネスリテラシー。直販と代理店の特性を考えて、案件受注の方針を決めよう

というわけで、直販と代理店の違いについて見て来ました。

こういう、仕事の受注と依頼の流れを「商流」と言います。ビジネス用語です。動画制作業界でも営業や経営者は使う言葉です。知っておいて損はないでしょう。

その上で、直販と代理店の違いを認識し、自分の得意な方をやっていけばいいと思います。

ちなみに、私の場合は直販が4、代理店が6ぐらいの割合でやってます。別に、どちらかに全振りしなくてもいいんですよ。バランスよくどちらもやれる人は強いです。片方がダメになっても、全滅しないので。

それぞれの良さをうまく取り入れて、自分の得意な受注スタイルを作っていってください。

今日は、この辺で。


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