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不動産物件の名称を付けるルールとは | 不動産広告と不動産屋

一般消費者を優良誤認させてはならない~東村山の不動産会社

その昔、投機目的で購入されたものの、放置されている分譲地などのことを取り上げる、『資産価値ZERO -限界ニュータウン探訪記-』というYouTubeチャンネル。私(阿部)も興味深く拝見しているのですが、動画の中にいわゆる昔の悪徳業者が、たとえば成田市から遠いにもかかわらず、『成田』の地名を冠して販売した分譲地などが登場します。
 
それは、成田空港が開港するから地価が上がるのではと考える人の気持ちに付け込んでいるわけで、実際には成田空港からはかなり離れているのもかかわらず、ネーミングに釣られて、現地を見ることもなく購入された土地も多いといいます。
 
実際には分譲地と呼べる代物ではない、ただの山というような場所(まさしく資産価値ゼロ)もあり、相続人にとっても、自治体にとってもまさに“負動産”になっているという話です。
 
現在は、『不動産の表示に関する公正競争規約』によって、“遠く離れた『成田』”は規制されます。原則としては、物件名称は自由意志に委ねるべきものですが、その名前の付け方によっては、一般消費者が所在地や環境について優良誤認する恐れがあるからです。

「実態と合致しているか」より大事なこと~東村山の不動産会社

現に『成田』の地名を冠した成田から遠くにある分譲地を、優良誤認してたくさんの人が購入したわけですから。その物件が実際に所在する市区町村内の「町」もしくは「字」の名称、または地理上の名称を用いることはできますが、そうでないと基本はダメなのです。
 
ただし、慣例として用いられている地名や歴史上の地名がある場合、それはOK。たとえば、神奈川の『湘南』。湘南という地名があるわけではありませんが、一般的にこの辺りが湘南と多くの人から認識されているエリアで、湘南というネーミングの物件や分譲地はOKとされます。
 
また、物件の最寄り駅の名称や停留所の名前も使用可です。物件にいちばん近い駅が原則ですが、たとえばA駅は徒歩3分といちばん近いけれど、徒歩6分のB駅のほうが急行も停車するし、2路線乗り入れていて利用者が多いなどの理由があれば、ネーミングにBのほうを採用するのも可となっています。
 
不動産広告の規制はあくまでも、「実態と合致しているか」よりも、一般消費者の不利益にならないことを大前提として考えられているのです。駅徒歩5分を駅徒歩1分と記載するのは違反ですが、駅徒歩5分を駅徒歩9分と記載するのは、事実ではないというだけで、決して規制に違反するわけではないという話です。

【追記】2024/5/8

文中の「徒歩6分のB駅のほうが急行も停車するし、2路線乗り入れていて利用者が多いなどの理由があれば、ネーミングにBのほうを採用するのも可となっています。」について、その理由をジャッジするのはあくまでも首都圏不動産公正取引委員会等(地域による)です。

また、首都圏不動産公正取引委員会に問い合わせたところ、「最寄り駅より利用者が多くても、極端に離れているターミナル駅は不可」とのことでした。

その「極端かどうか」についても、紛争を避けるためにもケースごとに判断を仰ぐのがいちばん安全です。

言葉が足りず、「絶対に大丈夫である」とも取れる表現となったことをお詫びして追記させていただきました。

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