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通りやすい「稟議書」の書き方~思いを実現するためのポイント~

42年間の勤務を終えてリタイアした私が、誰かの役に立ちたいなと書いているコンテンツです。これまで書き溜めたていた文章や経験した事例を書きおこしています。

さて今日は「稟議書」の書き方です。稟議書だけでなく起案書、決裁伺い書ともよばれる文書です。文書としての重要性は言うまでもありません。
たとえ自分には直接関係がないと思われる方も、ぜひ読んでいただけたらと願っています。なぜなら、稟議書の書き方や内容は、仕事への向かい方に役立つ場面が多いからです。


稟議書って何?

「稟議書」を検索すると、さまざまな意味やテンプレートが出てきます。ここの場では詳細については触れません。多くの企業では起案のルールや決裁の基準で書かれています。私が注目したいのは、稟議書を書くという行為が自分の仕事を振り返り、見直すよい機会になるという点です。
だからこそ、稟議書は相手(決裁者)に届く文書、つまり決裁される文書として、丁寧に作成したいですね。

書き方のポイント~決裁者を迷わせない

稟議書を書く上で私が意識していたのは、決裁者が迷わないように書くことです。「何が起案されていて、何を承認すればよいのか」がすぐに分かる文章を書くことが大切です。

<決裁いただきたい事>
***の企画を実施すること。そのための経費として+++++円(見込み)を20**年度広報費予算から支出すること。

<起案の理由>
1)年度計画の********具体化のため。
2)****の状況を*****するため。
3)*************をするため。

<起案に当たって>
1)部内のミーティングで確認し、関係部署(***部***課および***事業部)と調整しました。
2)外部代理店2社に打診し仮見積もりをし、経費金額を試算しています。
3)当日の運営体制などについては別途関係部署で確認し、必要に応じて別途起案し決裁をいただきます。

上記>私がベースにしていた書き方

上の例文を簡単に解説すると、「決裁してほしい事柄は何か」を結論として示しています。次に「起案した理由は何か」を箇条書きで説明し、さらに「実現すると、どのようなプラスがあるのか」を示すという流れです。これにより、決裁権限者は何について判断すべきなのかが明確になり、否決の理由も明確になります。

決裁者が「見やすく」「読みやすく」

決裁者は毎日多くの書類を処理しなければならず、要点を明確にまとめた稟議書が好まれます。
私が見た他の稟議書の中には、状況説明や問題提起をしてから提案をする形式が多くありました。いわゆる「起承転結」の形式と呼ばれ、学校で習う文章の書き方に似ています。しかし、この書き方は決裁者を迷わせるだけでなく、時間も取らせます。「なにを決裁すればよいの?」と最後まで知らせずに長々と読ませるものです。

稟議書を通す最大のポイント

稟議書を書く際には、「否決されない」が重要です。
決裁者は起案された内容を理解し、否決や差し戻しをする際には多くのエネルギーを消費します。決裁者のエネルギーを節約するためにも、起案段階からしっかりと企画を練り、検討や話し合い、準備や相談、根回しを行うことが必要です。この一連の過程が稟議書をわかりやすくし、通りやすくするための重要なポイントです。

稟議書は企業の公文書

なによりも、わかりやすい稟議書が必要なのは、企業においての公文書であるからです。
「誰が起案し、誰が何を決裁したのか」は重要な情報です。稟議書によって、個人の責任なのか企業の責任なのかを判断することができますし、記録として残すものだからです。

毎週一本を目標に「仕事を意識する癖」を

私が新人の頃に先輩から「毎週1本、何でもいいから稟議書を書くといい」と言われたことがあります。
当時は理解できなかったのですが、後に自分の課題として受け止めました。稟議書を書くために考えることによって、前回と違うこと・もっとこうしたら・他にも方法があるのではないか、などの改善や提案の視点が広がりました。
自分の仕事は、案外と見えない部分が多いものです。その見えない部分を「意識する」のは、自分の働き方にも影響します。
稟議書は、自分と仕事を成長させるものかな…と思います。

余談

最近では『ソフト老害』と言う言葉があるようです。経験が参考にもされない時代‥「歴史を学ばない者は、それを繰り返す」…他人の経験は歴史なのだと思うのですけれどね。

◆私の経験が参考になるかも、って方は「スキ」ボタンを押してください・私の励みになります。


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