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『情けは人の為ならず』inビジネス

『情けは人の為ならず』という言葉がある
みなさんはどういうイメージをもっているだろうか
情け、つまり親切心は読んで字のごとく人の為にならないから
厳しくすべきという印象をもっているだろうか
私も初めてこの言葉に触れたとき
そのような印象をもった

しかし、この言葉には続きがあり
「情けは人のためならず」を辞書で調べてみると、このようになる。

情けは人(ひと)の為(ため)ならず

情をかけておけば,それがめぐりめぐってまた自分にもよい報いが来る。人に親切にしておけば必ずよい報いがある。補注:情をかけることは,かえってその人のためにならないと解するのは誤り。出典:「日本国語大辞典 第2版」(平成12~14年 小学館)

辞書にも間違いやすい使い方が指摘されているほど誤用されているのだ。

実はこの「情けは人のためならず」、旧五千円札にも描かれた新渡戸稲造が作った詩の一部分である。

「情けは人のためならず」は、大正4年発売の『一日一言』に書かれています。これは本当によい本で、人生に役立つ言葉が366日分書かれている。しかも、言葉が分かりやすくて読みやすい! 気になった人は是非読んでほしい。

それでは、この『一日一言』の「4月23日“恩を施しては忘れよ”」全文を読んでみよう。

施せし情は人の為ならず おのがこゝろの慰めと知れ

我れ人にかけし恵は忘れても ひとの恩をば長く忘るな出典:『[新訳]一日一言:「武士道」を貫いて生きるための366の格言集」 新渡戸稲造著』

情けは他人のためではなく自分自身のためにかけるものだ。だから自分が他人にした良いことは忘れてもいい。でも、人から良くしてもらったことは絶対に忘れてはいけないよ、という意味である。

そして、人はサイコパスでない限り
なにか親切にされるとお返しをしなければ
申し訳ないと感じる生き物である

まさに返報性の法則
最近、ビジネス界隈で
よく聞くが、戦前から
このような考えは見られていたのだ。

そして、この『情けは人の為ならず』
まさに、ビジネスにおいて
重要な考えであると思う

人間、自分が一番かわいいし
利己的になりがちである

自分が一番であり
自分だけがお金を稼いでビッグになり
可愛い女と付き合いたい
という自分中心な考えだと世界が拡がらないし
稼ぐことが出来ない

お金を使うのは人間であり
以前のnote【マネタイズの本質は本音を捉えること】でも書いたが
人は財布の紐を緩めるときだけ
本音が出るのである

人の本音、本当の欲求
つまり、人の為に何ができるかという
利他的の精神がなければ
人そしてお金は集まってこないのである

自分の趣向、好みばかりでは
世界は拡がらない
自分の世界を押し付けるのではなく
年齢、性別、立場の異なる他者に
想いを馳せパブリックな
視点を持つことが重要である

誰もがスマホを持つ昨今
GAFAをはじめとする
プラットフォーマーは
みんなに便利で使いやすいという点で
究極の利他性といえるだろう

最後にこの国には近江商人の
『三方よし』という言葉を紹介して締めたいと思う

三方よしとは売り手、買い手、世間にとって
いいものがいい商売であるとする考えである
今は、アメリカ、中国に水をあけられている
日本であるが
古くから利他性はビジネスにとって
重要であることをいち早く認識し実行していたのである。

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