歴代米政権の対中政策の大失敗

 政治・安全保障の話は荒れる上に、中国(大陸)の友人も多いので、最近はあまり書きません。が、読売新聞の"中国軍が対台湾の制海・制空力獲得か、関係筋分析…侵攻作戦準備は完成段階へ"という記事を読んだので、それに関する感想です。


 学生時代に1番参考にしていた国際政治学者のジョン・ミアシャイマー氏が "The Inevitable Rivalry"で述べている通り、中国はアメリカが過去戦った国(ナチスドイツ/日本帝国/ソ連など)と比較にならないほどの強力な大国になりつつあります。そうなった理由として、G.H.ブッシュ政権以降の4つの政権が30年近く続けた"関与"政策に因るところが大きいとのこと。最恵国待遇やWTOへの加盟など、中国を積極的にグローバル自由経済に組み入れてきたことで、中国は世界第2位の経済大国にまで上り詰めました。G.H.ブッシュ~オバマまでの4つの政権による、中国の超大国化を助長してしまった政策の数々は、ミアシャイマー氏の言葉を借りれば、現代国際関係史が記録してきた失敗の中でも最大級の失策とのこと。


 本来ならば、米ソ冷戦終結以降(1989年)に、アメリカは中国の台頭ペースを鈍化させる政策を打ち出すべきだったのに、2018年までは実際は真逆の加速化させるような政策に終始してきました。結果として、中国のGDPは対米比で7割程度まで差を埋められてしまいました(ソ連の最盛期でも6割程度)。
質・量共にアメリカのインド太平洋軍を凌駕しつつあるとう自信からか、中国軍は2021年の台湾のADIZへの侵入は過去に類を見ない規模になりました。
ミアシャイマー氏によると、台湾を舞台にした米中戦争の勃発の可能性はかなり高いとのこと。そうなれば、日本は自動的に戦場になるでしょう。


 中国を自制するために日米両国が出来ることは、中国の軍事的野望に対するインセンティブを低下させること。例えば、安全保障専門家のエルブリッジ・コルビー氏の言葉を借りれば、九州からフィリピンまでの広大な範囲に短距離ミサイルランチャーと機雷を無数に配備し、なおかつ、台湾への侵攻が相互確証破壊となり得ることを中国に理解させることくらい。


とにもかくにも日本の安全保障環境は1945年以来最悪の状況。

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