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教義から言語へ〜カルチャーブックシェルフ

「カルチャーブックシェルフ」という概念を提唱したい。

チームのカルチャーや価値観に近い本や、スタッフが興味のある本をキュレーションして本棚をつくる。

みんながそれを好きに手に取り、読み耽ったり議論したりできる。そこにある本の言葉は、議論のための共通の思考言語となる。

やり取りを介してメンバーの思考は変化していく。本は次第に入れ替わり、カルチャーが醸成されていく。

「カルチャーブック」から、「カルチャーブックシェルフ」へ。

本ではなく、本棚をつくる。

ドグマ(教義)を染み込ませるのではなく、言語を育てていく。

カルチャーを策定するのではなく、カルチャーを醸成する。

カルチャーブックの違和感

カルチャーブックの価値は薄れていく気がしている。

企業が宗教的に人々を管理し、効率的に働かせた社会では素晴らしい教典と思う。

しかしニーズが多様化し、正解があるというよりむしろ「どこに向かうべきか」ということを日々考えなければならない時代にあって重要なのは共通の教義を信じ込むことではなく、その教義すらも常に批判的に捉えて新しい価値観を探していくことではないか。

必要なのは教義でなく、からまりしろをもった思考言語だ。

例:SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS

SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSは 本と編集の総合企業だ。そのオフィスの半分は編集部で、もう半分は本屋になっている。

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中央にガラスの壁があり、手前が本屋で奥がオフィス。

ここの本屋の書籍は編集部のスタッフが選んでいるらしい。

残念ながら、僕にはあまり馴染みがない本ばかり。多分好みがあってない。

しかしここの本はすでに読んだものばかり、という人もいる。好みがかなり現れる。

本棚には人柄やカルチャーがそのまま現れる。これは一つのカルチャーブックシェルフだ。

ここに来て趣味が近い!と感じた人は、きっと中にいる社員とも気の合いやすい人々だと思う。

このカルチャーブックシェルフは、公開されていることによってクライアントの獲得や採用にもつながっているといえるかもしれない。

まとめ

カルチャーの醸成と価値観の変化を促すためのコミュニケーションツールとして、カルチャーブックシェルフが必要だと思う。

カルチャーブックシェルフでは、読まれている本だけでなく読まれていない本も十分に価値を持つ。

折り目が付き、誰かが挟んだままの付箋が溢れているような本は、その周りにいる人たちの興味のある本だ。しかしきれいなままの本もまた、「みんながあまり興味を抱いていない分野の本」という情報を持つ。

何度も繰り返すけれど、今の時代に組織に必要なのは教義ではなく思考言語だ。

そして推薦図書100選というような思考の押し付けではなくむしろ、思考が変化し醸成されていくことが必要だと思う。

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