建築とファッションの共犯関係
少し前、あるクラウドファンディングをみました。
それをやっていたのは龍崎翔子さんというホテルプロデューサーで、僕がこれをみて面白いなと思ったのは、このパジャマができれば、ホテルの設計そのものが変わってしまうな、というところでした。
外にも気軽に出れて眠ることもできるようなパジャマがあれば、露店の集合体のようなホテルをつくることができるな、と考えたのです。
こうした気付きをきっかけに、建築とファッションについていろいろ調べてみたのですが、多くは「衣服のように建築をつくる」か「建築をつくるように衣服をつくる」というようなものでした。
けど僕は、衣服と建築のセットでの設計の相互作用のようなもののなかで生まれる体験、つまり建築とファッションが共犯関係を結び、人に豊かな体験を与える設計のほうが、よっぽど面白いなと思ったのです。
そんななかで、ぼんやりとアイディアのきっかけを考えてみました。
スタディ1:ランウェイの空間とファッション
例えばランウェイに窓や腰壁やドアがあったらどうだろう、と思いました。
服は普通歩くだけでなく、直接見るだけでもなく、窓越しにみたり、座っている状態のドレープがきれいだったりします。
だからランウェイはまっ直ぐ歩くモデルを直接見るより、窓越しにみたり、座ってみたりして、そのふるまいのなかで色気がバッとでてくる、みたいなものもいいなあと思います。
聞くところによると、ホテルのなかで普通に部屋のクローゼットに服が展示されていて、その中を歩き回る体験がショーになっていたり、モデルと観客の関係が逆になっているようなショーもあるみたいです。
それならば、僕はその移動に「物語」を編み込みたいです。人が何の気なく歩いていく。窓やドアやソファの前を通ったりする。窓には水滴がついていて、ドアノブは少し壊れている。ソファには男物のパーカーがかけられていて、ランウェイの先には空白の空間だけがある。そんなイメージ。すでにあるのかな。
スタディ2:ホテルとファッション
もう少し建築寄りで考えて、ホテルで支給されるパジャマをスポーツウェアとオシャレウェアの中間みたいなものにしたらどうだろう、とも考えました。
森や池やグラウンドが広がる敷地に、レストランや客室なんかが点在していて。ウェアを着ていると気軽に運動したり身体を動かすことができるし、行った先には常に行為所があれば、いつでも服を着替えることができます。
ホテルだからこその運動体験みたいなものが生まれつつ、そのまま町にもでていって、少し走ってみたりする。
まるでユニフォームのように、仲間は街のなかでみつけることができて、一つのコミュニケーションのきっかけにもなる。
ぼんやりと空間のイメージを探しながら、建築とファッションの共犯関係を設計してみたいと考えています。
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