イイ感じの本は読みたいけど難しすぎるのはご勘弁!というあなたに向けたおすすめ本リスト
「イイ感じの本は読みたいけれど、難解な本はちょっと無理です!」というあなたに向けたブックリストです。
本棚に並んでるとなんか豊かで、ふと思い立った時に読みたくなるような本。読んだあとに、ちょっと賢くなった気になれる本。
そういうのを集めました。
4冊に絞りました。10冊も20冊もあっても、解説も大変だから。
じゃ、はじめます。
1. 日本の色辞典(紫紅社, 2000年)
染色家の吉岡幸雄さんによる、日本の色の辞典。
服を買いに行ったり、雑貨をみたりするとき、「あ、これは何色だ」とさらっと言えたらいいのにな、と思ったことはきっとあるはず。
そんなあなたに嬉しい本です。
書いている方が染色家なので、染めものの素材や染め方の観点から、色について語ってくれる。独特な視点ばかりで面白い。文章がとっても面白い。
日本の豊かな季節の文化や歴史について知れるのもいい。
読んでいてとても楽しいし勉強になる。
泥で色を染める話とか、貝の黄色い内臓で紫を染める話とか、染の素材の変化と回数の変化の組み合わせによって藍の濃淡が生まれる話とか。
「へぇ」となることばかり。
赤といっても、茜色とか緋とか紅絹色(もみいろ)とか韓紅とかいっぱいある。
今では、ディスプレイ上でもプリンターでも、どんな色でも出せるけれど、昔は全然そうじゃなかった。
素材的に少量しか使えない色というのがどうしてもあったし、染めるための材料と染められる素材の相性というのもあった。
だから色の表現は、今みたいに自由じゃなかった。
そういうことを知ると、博物館でみる昔の極彩色の着物が、いかに素材集めから頑張って、一本一本丹念に染めて作られていたのか、みたいなことがよくわかるようになる。
「こんなにたくさん青を使ってたんだ、すごい!」みたいなことに感動できるようになるので、博物館に行ったときに向けた知識としても良い。
なにより読んでて楽しいし図版が綺麗。
「どこから読んでもいいし、気になるところだけ読めばいい」という本は、積読の圧迫感なしに部屋と生活を彩ってくれるので、おすすめ。
2. 絵をみる技術ー名画の構造を読み解く(朝日出版社, 2019年)
2つ目。
「イイ感じな本は読みたいけれど、難解なのは無理」というあなたは、たぶん美術館とかに結構行ったりしてると思う。
で、いろんな絵画をみて、綺麗だなと思ったり好きなのをみつけて喜んだりもするけれど、「もう少し絵画のことがよくわかったらいいのにな」とも思ってたりするはず。
でも分厚い「絵画史」みたいな本は読む気になれない。
そんなあなたにおすすめの本が『絵を見る技術』です。
絵画の構図をどう読み取ればいいのか。色のよしあしをどう判断すればいいのか。
プロは絵画をどう読むのか。
その知識を、たくさんの実例解説をまじえて図版多めでわかりやすく解説してくれる本。
絵画の構図の本は、割とたくさんあって、かなり読んでみたのだけど、たいてい「5つのパターンがあります」と書いてるだけでやたら抽象的で曖昧だったり、単純化しすぎてたり、その構図なのはわかったけどだから何?みたいなのが多くて、読んでもよくわからなかった。
そんな中で、あ、読んでて楽しい、わかりやすい、と思えた本がこれ。
これを読むと、美術館に行ったときに絵画が(歴史とかの知識なくても)かなり深く読めるようになります。
3. 二畳で豊かに住む(集英社新書, 2011年)
部屋がもっと広ければいいのに!ってあなたも繰り返し思ったはず。でも逆に、狭い空間の豊かさにもちょっと目を向けてみませんか(なぐさめに)。
内田百閒、高村光太郎、夏目漱石といった有名な作家たちが二畳の空間で実は暮らしてきた。
そのそれぞれの事例について、昔の資料を引っ張り出し、図面を書き起こし、暮らしぶりを想像し、その詳細をまとめた本。
例えば内田百閒は、二畳の小屋に奥さんと3年間住んだ。どうやって?と気になりませんか。その詳細な暮らしぶりがこの本に書いてあります。
狭さの豊かさに気づかされる本。
読みやすく、さっと軽く読めてとても面白いのでおすすめ。
4. 仏像と日本人(中公新書, 2018年)
最後に、ちょっときちんと読む系の文庫本。でもこれもさっと読めてしまうものでおすすめです。
「イイ感じな本は読みたいけれど難解なのは無理」なあなたは、たぶんお寺も好きなはず。
京都に行って、ちょっとお寺を回って癒されるのは好きだし、仏像をみて綺麗だなと思ったりもするはず。でも仏像の詳細を勉強しようとは思えない。
ですよね。
この本は、そもそもなぜ仏像が美術(古美術)になったのか?ということをわかりやすく説明してくれる本です。
興味ないと思ったあなた。ちょっと待って。
アートでよく扱われる絵画って、そもそもは空間と一体化してたもの。教会の壁にはめこまれてたり。それが次第に空間から遊離して、「モノ」として扱われるようになった。
コンテクストのない真っ白な空間(ホワイトキューブ)の中に並べられて、独立した「絵画」になっていった。
だからそれは商品になるようになった。アート市場が生まれた。
この本を読んでみると、どうも仏像も同じらしい。
仏像はそもそも宗教的なオブジェ。なのにそれがいつの間にか寺から切り離されて、運ばれて、博物館とかに並べられてる。
考えてみれば、わりと不思議な状況。
仏像を並べるのにも、お金がかかる。仏像を借りると寺にお金が入る。経済的に困ったお寺が、いろんなことを仕掛けて仏像をアート(古美術)に仕立てていったりする。そういう色んな事情があって、仏像の文化が育ってくる。
そういう仏像の見方を知れちゃう本です。
仏像の来歴を暗記するより、目の前にある仏像が、どんな時代の動乱に巻き込まれてここにやってくることになったのか、そういうことを想像する方がなんか楽しくないですか。
あ、この仏像って地方巡業して、お寺から出稼ぎにきてるんだ…とか思うとちょっと仏像に親しみを感じませんか。
とても読みやすい本なので、さっと読めるし、充実感もすごい。
カフェとかで、今日はゆっくり本でも読みたいぞ、というような日におすすめです。
さいごに
どうですか。最近読んで、すごく面白かった本をあつめてみたのだけど。
ちょっと偏りすぎかしら?
あと、あなたはたぶん、「古い本とか言われても買うの大変だし、黄ばんだきたなーい感じの本が部屋にあるのはちょっと・・・」という人な気がするので、ほとんどすぐにAmazonで新品で買えるやつにしました。
それならいいでしょ。
(一冊だけはKindleか中古かな・・・)
楽しんでもらえると嬉しいな。
日本の色辞典(紫紅社, 2000年)
絵をみる技術ー名画の構造を読み解く(朝日出版社, 2019年)
二畳で豊かに住む(集英社新書, 2011年)
仏像と日本人(中公新書, 2018年)
(おわり)
サポートは研究費に使わせていただきます。