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監査とは、監査役とは何なのか(初心者向け)

Creemaに入り部門を率いるようになると同時に、大きくなっていく会社としてしっかりとした体制を作っていく中で、「監査」というものに出くわしました。いまいちその位置付けがわからなかったのですが、父親が以前ある一部上場企業で監査室の室長?をやっていたことを思い出し、「監査役ってどういう仕事をするの?」と聞いてみたところ、とってもわかりやすく丁寧に解説してくれたドキュメントを展開してくれました。

良い知見だと思うので、許可を得てここに公開したいと思います!趣旨を変えないようにしつつ僕の補足も入れて、より初心者向けの解説に変えてみたいと思います。(やっぱり監査、ややこしいので、元ドキュメントは難しい言葉が並んでいました。それを無理やりニュアンスで言い換えている部分もあるので、あしからず)

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1.会社法における監査役の位置付け
監査役制度は日本固有のガバナンス形態。ガバナンスってのは超簡単にいうと、組織が悪いことしないようにちゃんとしようね、って話です。

ちょっと難しめの言葉でいうと、監査役という存在は、事業を行う中で守るべき規範や指針を決め、社内に浸透させる管理体制のひとつとして存在しているということです。株主からの負託を受けた会社機関という立ち位置で、経営執行ラインから独立し、広い権限を持っています。具体的には・・・
・取締役や従業員に事業報告を求める権利、業務やお金まわりの調査をする権利
・子会社があればそこに対しての報告を求める権利や調査をする権利
・取締役会の招集権利
・取締役が違法行為をしていたら、それを差し止める権利 などなどです。

2.会社法における監査役の主な役割と監査の種別
事業をするにあたり遵守しないといけない法律のひとつに「会社法」というものがありますが、そこに監査役の役割が定められています。具体的にはこんなところです。

(1)取締役の仕事を監査
取締役には一般的に、法的な義務である善管注意義務と忠実義務(雑に言い換えると一般常識に反する行為)がありますが、それが大丈夫か?!ってのをチェックします。

①適法性:取締役の仕事が法令・定款を遵守して行われているか

②妥当性:取締役の経営判断に不当な点がないか

※この2点については詳細後述します。

(2)会計監査(会計監査人設置会社の場合)
株主総会に提出される財務諸表の適正さや会計監査方法とその結果についてチェックします。また、大会社においてはお金まわりで悪いことが起きないように管理する「会計監査人」という立場の人を置くことが、これまた会社法で定められていますが、会社のもろもろを決める株主総会に会計監査人の選任だったり解任の議案を提出することは、監査役の特権です。そして、会計監査人の報酬は監査役の同意が必要だったりもします。

3.取締役の職務の遂行の監査
前述した取締役の仕事監査、具体的には下記です。

(1)適法性監査

日頃の監査活動、具体的には、重要な会議への出席・内部監査部門や会計監査との連携・役員との定例ミーティングなどを通じて、不正会計、労働問題、贈収賄などの企業不祥事に繋がる予兆がないかを把握しつつ、未然防止に努めます。そして万一不祥事が発生した場合の対応や訴訟に関わる対応においては、監査役の果たすべき役割は結構大きいのです。

(2)妥当性監査

取締役の経営判断に不当な点がないかを確認する妥当性監査において、監査役がどこまで踏み込むかは諸説あり難しいところのようです。

名古屋父的に監査役として普段から心がけていることは、企業価値向上の前に、まずは、会社が間違った方向にいかないようにすることで、その上で妥当性監査のポイントは以下の2点と考えているとのこと。

①内部統制システム(悪いこと起こさないためのルール)の枠組みは適切か、その運用に問題はないかの視点で監査する

☞ どうすれば売り上げが伸びるか、世間からの理解や評価が得られるかなど種々の経営戦略は事業部門が考えること。一方で監査役は事業部門での検討プロセスに漏れがないか、法令や定款に違反していないか、執行部門が考えた戦略や施策にどんなリスクがあり、そのリスクをどこまでとるかきちんと論議されているかなどなどチェックします。

☞ 監査の結果、善管注意義務違反や忠実義務違反が問われることがないと判断されるようであれば、余程のことがない限り、口は出さない。ただし、経営判断にあたっての検討材料や論議が不十分と思われる場合や内部統制システムに問題がある場合は、それを指摘する義務が監査役にはある。例えば、行うべきリーガルチェックが漏れているような場合、これを指摘することにより、事業部側に緊張感を持たせることも監査役が出すバリューの一つですね。

②事業部門が認識している課題を網羅的に把握し、その中でも経営に影響が大きいと思われる課題を自分なりに整理し、経営と認識合わせをする。

☞ そうすることで、経営も取り組み課題に対するプライオリティがつけやすくなり、結果として、監査役も経営に対する後押しができるようになる。なお、認識されている重要な経営課題は事業年度ごとに策定する監査計画の中で重点監査項目として設定し、経営へ報告。事業年度末には監査の振り返りも経営へ報告します。

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どうでしょう。これでその意味や意義がわかったので、今は監査にかなり前向きに取り組んでいます。笑

ちなみに蛇足で、私見として監査役としてやってはいけないこという話もありました。それは、ただでさえ事業部は忙しいのに、業務執行をしない監査役が、監査上必要不可欠なものならともかく、自分の興味で執行部門に対して色々と口を出したり注文したりすることはやるべきではない。ということです。
高い知見を持っている分野ならまだしも、生半可な知識で業務執行そのものに関係することに口出ししてかき回すことは、効率性を阻害する要因にもなり得る。自分で調べればわかるようなことも事業部にあれこれと聞くようなことはするべきではない。

という話もありました。

知見もそうですが、何よりこうやって父親の仕事のスタンスとか聞くのはすごく良い機会でしたし、「一部上場会社の監査役室長をやって、監査役会設置会社から指名委員会等設置会社への移行対応などもやったので、私見とは言え、それなりに信憑性のあるものだと思っていただいて結構です。」みたいな前段もあって、そこからなんとなく感じた執念というかプロ意識みたいなものはきちんと受け継いでいきたいなと思った次第です!

これから監査とかちゃんとしようとするスタートアップの人はじめ、何かの参考になれば!Have A Good 監査!!

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