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写さないこと。

こんにちは、みしぇるです。

水曜日が終わりましたね。
先週も同じことを書いたような気がするのですが水曜日を超えるとほとんど1週間が終わったように感じられるので、ぼくは水曜日が好きですね。
なんか頑張れる気がします。

あとは水曜日はスペシャルスキンケアデイということもあって、ワクワクしながら帰ってます。

きょうは3年ほど前に書いた記事のリバイバルです。
当時の考え方と根本は変わっていませんが、写真を撮り続けて新たに考えるようになったことなんかも加えつつ改めて公開します。

さて、一眼レフカメラを購入してからもうすぐ5年が経とうとしているわけですが、この5年間写真を撮ってきていろいろなことを考えるようになりました。
その中でも今回は、写真を撮るにあたってぼくが大事にしている考え方をお話ししようかなと思います。

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スマートフォンの普及によって誰もがあまりにも気軽に写真を撮ることのできる時代になりました。趣味として写真を撮らないという人も実は、日々膨大な量の写真を撮っているものの、それを意識しないほどに気軽に。
スマートフォンに搭載されているカメラの高性能化も進み、言われなければスマートフォンで撮ったことさえ気づけないほど写真の質が向上しました。

人間が外部からの情報を集めるにあたってその大半の役割を視覚に頼っていることを考えると、まさに視覚に直接訴えかける写真というものは情報の塊と言ってしまっても差し支えがないでしょう。

誰しもが高いレベルの写真を撮れるようになった時代に、ぼくははいかに情報の少ない写真を撮れるか、つまりいかに「写っていない写真」「写さない写真」を撮れるかということが大事なのではないかなと思い始めました。もっと言えば、写真はそこに移る情報が少なければ少ないほどいい写真なのではないかとすら思うようになりました。

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私がこのように考えるきっかけになったのはフィルムカメラを購入してからのことです。マニュアルフォーカス、マニュアル露出のカメラでは白飛び・ピンボケなど一般的には失敗作とされる写真が撮れてしまうことも少なくありません。

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ですが、このような写真すら愛おしいと思える。
このような感覚を抱くのも情報が欠けた写真ゆえではないかと。

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「全然ピントあってへんやん(笑)」「顔しっろw」そんな会話が生まれ、「もっとちゃんと撮ればよかったなあ(笑)」「また撮りに行こ!」なんていう話になるかもしれません。これは写真から得られる情報が少ないために、写っている瞬間だけでなく、その前、その後の時間といった部分にも意識が向けられるからではないでしょうか。
つまり、写真に鑑賞者の感情や記憶などが入りこむ「余白」が存在するということですね。

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情報を多く与えられると人の想像力には枷がはめられてしまいます。「花」という言葉だけでは地球上の全ての花が想像の対象であるのに「赤い花」と修飾語が付け加えられると赤色でない花は想像の対象から外されてしまうことを考えていただければわかりやすいかもしれません。


ぼくは写真に気持ちなんか乗らないと思っています。さらに言うなら気持ちなんか乗せちゃダメだとすら思いますし、撮影者の気持ちなんて見るひとにはどうでもいいんですよ。
写真を通して見ているのは実は鑑賞者自身の記憶やバックグラウンドなんですよね。そして、目の前の写真に「自分」が入り込む隙間が大きければ大きいほど共感できるのだと思います。

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ぼくは写真と撮るときも、編集するときも撮影者であるぼくの存在が限りなく薄くなるように心がけています。ぼくが目指す写真は「誰でも撮り得た景色」なんです。どこかで見たことがあるような風景、鑑賞者が「この写真は自分の記憶だ」と錯覚してしまうような写真。そういった写真が見るひとの内側から普遍的な感動を引き出すのだろうと信じているからです。

個性を消すことで個性が際立ってくる、というお話はまた別の機会に譲りますが、見る人の想像力に働きかける、そんな写真こそがいつまでたっても薄れない思い出というものの形成に一役買っているのかもしれません。

『The Secret Life of Walter Mitty』(邦題『LIFE!』)という映画に登場する写真家がラストシーンで主人公にこんなセリフを語ります。

If I like a moment, for me, personally, I don’t like to have the distraction of the camera.I just want to stay in it.

「撮らない時もあるよ。その瞬間が俺にとって重要なら、カメラに邪魔されたくないんだ。ただじっとしてるだけだよ」と。

写さないという選択、撮らないという選択。
このようなことも意識しておくと、より深みのある写真表現への足がかりとなるかもしれません。

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では、また。


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