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リモートワークの散歩みち

4月17日、非常事態宣言が7都府県からついに全国へと拡大された。名古屋市のある愛知県を差し置いて、当初の7都府県の仲間入り(?)を果たした福岡県では長きにわたる“三大都市圏”という論争に図らずして終止符が打たれたと、にわかに色めき立っていました。そんなことじゃないんだけど…。自身も福岡の出身者としては、バカチンがぁ~と突っ込みつつも、解からないでもない気持ちが複雑でした。

外出自粛期間中も生活必需品の買出しや通院は禁止されておらず、さらに身体を動かし健康維持に気を付けようとのお達しもあり、少しの時間は外に出ることにしている。今年はCOVID-19(あえてこう表記)が桜もビジネスも吹っ飛ばしてしまったが、例年であれば自宅近所の桜の名所、江戸川橋公園に数回出かけ散歩する。週末が2回、曜日回りが良く花が長く続けば3回楽しむことができるのだけど、今年はさすがに人影もまばら。むしろ他の道よりもこの神田川沿いの遊歩道のほうがソーシャルディスタンスを維持できるような人の少なさだった。生活必需品の買出しと言っても、すべてが近くのスーパーなどで済むはずもなく、しかもこういう時に限ってプリンターのインクがかすれたり、廊下の電気が切れたりするもの。マーフィーの法則?オフィスのA4コピー用紙を補充しているのは全部自分じゃないのか?トイレットペーパーはなぜ自分が使うときに必ず無くなるのだろう?とかいうあれです。今は家電量販店なども軒並み休業なので、結果としてかなり細かなものまでweb通販を利用することになる。

こんな環境の生活が続くと、自分が属しているいくつかの社会に対し、これまであまり意識しなかった奇妙な連帯感や新たなコミュニケーションの枠組みが生まれていることに気付く。不便と思われたリモートワークだが、いざ社会がその状況になってしまうと、リモート海苔店(オモシロ誤変換なので残しておく)、リモートの利点もたくさん見えてきた。まず根を詰めてやる系の仕事がはかどる。すごくはかどる。振り返る余裕とかある。メールなんかも少し時間を置いて冷静に見直したりするので誤字・脱字やファイルの添付忘れなんかもなくなる。推敲は崇高なり!Wi-Fi接続候補にいつも出てくる、gorigoriって誰だよ⁈とか思う余裕すらある。素晴らしい。やればできるのだ。

業務を進めるためのメディアの使い方にも変化が現れた。電話やメールなどの従来型ツールから、TeamsやZOOMなどを使った会議や連携、またそれらを補完するLINEなどのツール。この時代に生きていることを実感する。チャットでほとんどの業務がこなせちゃうものですね。果たしてこれらのツールはあからさまな生活効率化をもたらした。空間・移動・時間などの概念を取っ払ったパーソナルスペースとパブリックスペースの融合である。パブリックとパブリックの間にパーソナルが入り込んできたりするので、webミーティングの合間にプリンターのインクを注文したりするようになった。基本家にいるので配達日時指定なんて野暮なことはしないのだ。電話問い合わせの受付が平日9時から17時でも余裕なのである。

もう一つ、実はこれが一番のメリットであると感じているのだが、仕事を進めるうえで相手から受ける印象や、置かれた状況などでいや~な気分を感じることがまったくないのである。自身の時間の調整が利き考える余裕が生まれ、ペースを守れることがプラスに作用しているのだろうが、向こうも同様の状況であろうと自然に相手目線で物事を進められるのが良いのではないか。わだかまりが生まれず、いやなことが少ない。少々時間を持て余すが、こなしている業務量はほぼ変わらない、むしろはかどる。つまり、いや~な気持ちやわだかまりが芽生えているのはコアとなる業務内容と無縁、つまり生産性の上がらない時間に発生しているという証明ができた。スゲ~!これが働き方改革!

1978年、福岡市では前年の記録的な少雨でダムの貯水量が減り危機的な水不足となった。翌79年の3月までほぼ1年間給水制限が続き、1日のうち数時間しか水が出ないので、風呂や鍋など家中の器に水を貯めた。プールの授業はもちろん中止、学校給食もスチロールの使い捨て容器。現在であればエコ推進団体から叩かれそうである。家庭の蛇口の多くは節水バルブに交換され、トイレのタンクに砂を入れたコーラの1リットル瓶(ペットボトルのはるか昔のガラス瓶)を沈めて水量調節をした。しかしこの1リットル瓶は給水制限が解除となった後も取り出される事はなかった。だって流れるんだもの。少ない水で流れるんだもの。かくして福岡市は今でも市民1人当たりの水の消費が一番少ない節水日本一なのである。
(参照: https://ja.wikipedia.org/wiki/昭和53-54年福岡市渇水 )

COVID-19騒ぎはいずれ終息するが、福岡市民が生活インフラ危機から教訓を得たように、これを機にオフィスの在り方や業務プロセスなどを見直す企業が増えてくるだろう。Viva BPR! 飲食や物販など、人と人とのふれあいをベースとした産業も改めてその価値が見直されるに違いない。いやそうであってほしい。

あーなんか良い感じのこと書いちゃった!

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