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私のエーミールは

ヘルマン・ヘッセ
少年の日の思い出』は、
中学校の教科書の中でも、
特にインパクトの強い作品です。
その中でも、

エーミールという少年が印象に残っている方も多いと思います。

あらゆる点で模範少年
非の打ちどころがないという悪徳をもっていた
エーミール
子どもたちはどう読んだのでしょうか。

エーミール視点で物語を書き換える
リライトは、
教科書でも薦められるほどメジャーな手法です。

今回は、
実際の運用と、活動の価値を、
生徒作品を見ながら、
改めて考えてみたいと思います。

今年は、
①感想と語句調べ
リテラチャー・サークル
二項対立
④視点読み
⑤主題読み

をした上で仕上げとして、
⑥リライトを実施しました。

リテラチャー・サークルで班ごとに取り上げられ、
二項対立の中で共有した読みが、
視点読みで学んだことを活かして、
リライトした作品に現れます。

今回、生徒がリライトする前に伝えたことは、
次の5つです。

A:第二場面少年時代を書き換える
B:エーミールの一人称視点で書く
C:原作の文体を真似る
D:400字以上は書く
E:宿題で仕上げ、次回クラスで回し読みをする

書きあぐねている生徒の様子を見て、
書くのが難しいと感じる場合は、
青いコムラサキの場面」や、
クジャクヤママユの場面」など、
エーミールが登場する場面書き換えることを勧めました。

また、創作中に、質問が出て、
「僕」には名前をつけず
エーミールが何と呼んでいたか考えることや、
語り手エーミールが大人か子どもかも考えることなど、
書くときに初めて生徒が気づいた点も、
全体に共有しました。

この生徒の書き出しは、
視点読みの授業で学習した、
大人になった「僕」が語っている
ということから一歩進めて、
エーミールが回想している
という書き出しを採用しています。

こちらの生徒は、
リテラチャー・サークルで盛り上がった
エーミールが「僕」を見下していた
という解釈を採用していますが、

こちらの生徒は、
二項対立可能性に気づいた
エーミールも「僕」を羨むところがあった
という解釈を採用しています。

また、こちらの生徒は、
二項対立で気づいた、
「僕」はちょうを捕まえることに魅力を感じ、
エーミールはちょうの美しさに魅力を感じている、
ということを活かして書いています。

こちらの生徒は、
それをより強調した書き出しにしています。
そして、この生徒は、
青いコムラサキの場面書かないことで
エーミールにとっては、
何ら重要な出来事ではなかったこと
を、
表現しています。

同じエーミールの視点でも
生徒によって捉え方や、表現に差が見られ、
充分、創作活動としての要件満たしているのがわかります。

実は教科書で推薦されているやり方では、
別の人物の視点で書こう」としていて、
「母」の視点なども推奨していますが、
エーミールに限定した方が、
自分の作品と、級友の作品を比較しやすく
自分の読み取りの間違いにも気づきやすくなるので、
エーミールに限定しています。

休み時間になっても、
お互いの作品を見せあったり、
話し合ったりする
活動になりました。

リライトの良さ
①作者になるために、細部まで意識するようになる
②作品に作者の解釈が自然と表れる
③互いの作品を読み比べ、活発に議論するようになる

※今回は生徒の了解を得て、
 掲載させていただきましたが

 作品ですので、画像の転載はお控えください

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