たったひとつを変えるだけ
小さな子どもは質問を繰り返します。
しかし、いつしか質問するのを諦めてしまいます。
授業は、教師の質問(発問)の答えを生徒が考えるもの、
というのが当たり前になります。
そんな中で、子ども達は質問を考える方法を失ってしまいます。
それを変えれば、得るものが増える。
つまり、授業の中で、生徒が質問を考えるようにすれば、
生徒の学びが大きくなるということです。
『たったひとつを変えるだけ』
ダン・ロススタイン、ルース・サンタナ著 吉田新一郎訳 2015年
の中に、この活動を円滑に進め、生徒に技術を身につけさせるノウハウが書かれています。
簡単に言うと、
授業を1時間使って、
生徒たちにテーマについての質問を班で考えさせたら、
授業の効果がすごく高まります!
ということです。
1時間使って質問を考えさせるための、準備、方法は以下の通りです。
【教師の事前準備】
⓪授業で生徒に学ばせたいことを簡潔な言葉にする(「質問の焦点」を作る)
【授業の内容】
①授業で「質問づくり」のルールを確認する
②「質問の焦点」を示し、班でそれについての質問をできるだけ多く作らせる
③質問を「閉じた質問」と「開いた質問」に分類させる
④質問を書き換えさせる(「閉じた質問」⇔「開いた質問」)
⑤質問の活用方法を確認し、質問に優先順位をつけさせる
⑥ベスト3の質問と、それを選んだ理由を発表させる
⑦「質問づくり」を通して得た学びを振り返らせる
⓪の「質問の焦点」の設定がこの活動の鍵です。
例えば、光村図書の1年生の国語の教科書にある「方言と共通語」という単元の前に「質問づくり」をするとき、どんな「質問の焦点」を設定するのか。
「方言」とすれば、方言について様々な質問が作られますが、教科書の記述とはかけ離れたものになっていきます。
「方言の実態」とすると、教科書の記述から読み取ることができる質問が増えるのです。
生徒に「質問の焦点」を与えたときには、それについて説明をしない、という原則があるので、「実態とは何ですか?」のような質問も出てはきますが、それについては生徒の語彙力の把握にも繋がります。
そして、この活動を成功させるには、やはり②の「質問づくり」のルールが重要です。
質問づくりのルールは以下の4つです。
わずか5〜7分の質問をつくるという時間がみのり多きものになるかは、このルールを守れるかにかかっています。
それぞれのルールがどのような効果を発揮するのかは、本を読んでいただきたいと思います。
③④の活動に関わる「閉じた質問」と「開いた質問」とはどんなものか説明します。
「閉じた質問」(CLOSED question)
答えが「はい」「いいえ」「◯◯(1単語)」になる質問。
(例)これはテストに出ますか?
「開いた質問」(OPEN question)
答えるのに説明が必要になる質問(ひと言では答えられない質問)。
(例)テストには何が出ますか?
必ずしも、うまく書き換えられるとは限りませんが、
書き換えることで質問を吟味させ、
自分たちが本当に知りたいことを引き出す質問について検討することになります。
今回は、スカイメニューの「発表ノート」を使ってこの活動をさせました。
質問づくりの②③④をこのシートでさせて、
⑤の優先順位づけも、シートを並び替えることで表現させます。
⑥の発表では、選んだ理由も合わせて発表するので、
優先順位づけも適当にはできません。
ちなみに些細なことですが、
入力する枠の色を変えておくことで、
「青い枠は後で使うので、置いておこう」
など、指示しやすいようにしています。
⑦の学びを振り返らせるシートです。
名前を明示させて、回収した際の評価をつけやすくしています。
初めて質問づくりの授業をしたときの振り返りを見ていただきましょう。
「質問づくり」のルールが効いているのがわかります。
③④の質問の書き換えからも得るものがあったようです。
普段の授業と「質問づくり」の授業を比較して、新たな視点を得ることができたようです。
もちろんこれらは比較的深く考えることのできる生徒の実感です。
お互いの振り返りを共有することで、クラス全体に学びを広げていくことが必要です。
「質問づくり」の授業だけでもこれ以上の効果がありますが、
この授業で作った質問をどう活用して、授業を進めるのかによって、
この授業はより一層有意義なものになります。
次は説明的文章に取り組む前に、質問づくりをしてみようと考えています。
この授業は国語以外の教科や、総合の時間などの調べ学習などにも活用できます。
みなさんも本を読み、参考にしていただいた上で、実施してみてはどうでしょうか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?