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モモ:襲撃予告の結末

10月21日(金)

秋晴れで気持ちが良い。8時28分、小学1年のモモの通学で家を出る時間である。彼は午後にする予定の”Show and Share”ー”見せてシェアする”ー に自分が何を見せるかを張り切って話していた。2つまで紹介していいそうで、自分で選んだゴジラと恐竜をバックパックに入れていた。ゴジラの尾っぽや、恐竜の脚がゴツゴツしていて、背中に当たるはずだが、それも気にせず、歩きながらとにかく話し続ける。

私が帰宅して1時間ほどたったところ、主人から電話があり、市の教育委員会からのEメールによると、私達の地域の他の学校への襲撃予告があり、現在は調査中だから、追って連絡を待てとのこと。その学校は息子のいく学校ではないが、すぐ向かえに行けという。私は、聞いても実感がわかず、「襲撃者が来たとしても学校は完璧に扉を閉じている。部外者には絶対開けないから大丈夫ちゃう?」「襲撃なんか私の子供の学校で起きるはずがない」としか思えず、「OK. じゃ、向かえに行くわ」と快諾するのをためらっていた。が、極度の心配で発作でも起きそうな主人の声の様子に、承知し、家を出た。

学校の正面玄関の前では、子供達がサークルになって軽快なヒスパニック系の音楽に合わせて踊っていた。(写真はその時、飾られていたもの。秋風が優しく吹いていた)玄関は全面ガラス張り。守衛は、私が呼び鈴を押すところを見て、危険なさそうだと確認し(たはず)中へ入れてくれた。彼は、おひとり様受付のデスクに座り、防護ガラスではなさそうなガラス越しに私を見ながら、来校した理由を聞いた。「学校への襲撃予告があったから、子供が事件に巻き込まれないうちに引き取りに来た」とつたえたが、彼は驚きもせず、まるで、他人事のように、何の反応もない。。。このニュースを知っていたのかどうか、、または、パニックを避けるため、口止めされていたのか、、私もどう考えていいかわからなかったが、とにかく、訪問者ノートへ来た時刻と名前、そして、理由を書いて、受付と体育館の入り口の間にあるた椅子に座って待った。

座っている場所から、外にいる先生や生徒たちの様子は見えないが、玄関前で行われているダンスの音楽は、よく聞こえてくる。皆、襲撃の予告のことは知らされていないのだろうか。こんなとてつもなく日常的な場面が、突然、銃声で壊されるとは全く思いもせず、私一人が緊張していた。

待ち始めてから、12-3分たったころ、髪を金色に染めた、背の高いアフリカ系アメリカ人の女性がモモの手をつないで体育館から出てきた。ちょうど昼食中だったらしい。ピザを3口かじって、もう、出てこなければならなかった。と、特に、息子は不満そうでもなく言った。が、彼にとって残念だったのは、「Show and Share」で自分のゴジラと恐竜を皆に見せることができなかったことだった。「なぜ、帰らなければ行けないのか」と何回も聞いてきたが、銃撃者が来るかもしれないということがどうしてもいえず、帰ったらお父さんに電話してみようと言った。帰宅後すぐに主人に電話した。息子は理由を聞いて納得したような顔つきをしていたが、私はあえて「どうやった?」と聞かず、そのまま忘れさせるままにしておいた。

10月25日(火)
襲撃予告の結末が、メールで配信されていた。このN地区の他の小学校で職員が誤って警報装置を作動させ、警察に即座に連絡がいき、全システムが緊急体制になったということだった。恐れが杞憂に終わってよかったのだが、、「起こる可能性は常にある」とういう不安がぬぐえないなあと思っていたところ、昨日、ミズーリ州セントルイスの高校に男が侵入。教師一人と生徒一人が殺されたというニュースをインターネットで知たのだった。

警察との銃撃戦の末、犯人(19才、昨年の卒業生)は射殺されたから、取り調べもなかったのだが、生前の言葉から、その動機と思える言葉に唖然とする。

「友人がいない、家族もいない、ガールフレンドもいない、孤独の生活。。」

暴力や病的なものから身を守る銃の保持を合法化するのか、まるで、携帯電話のように店で購入できる銃が簡単に使われてしまう状態にストップをかけるのか。。









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