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6月17日 おまわりさんに敬礼!【今日のものがたり】
僕は小学生の頃、帰る方向が一緒の奴ら4人でよく一緒に下校していた。
「なぁなぁ、おまわりさんって俺らがこうやって敬礼したら敬礼返してくれるらしいぜ」
そう言ってひとりが、手をおでこの前に持っていって「パトロールお疲れ様です!」とセリフつきでやってみせてきた。
「えーホントかよー」
「じゃあさ、家につくまでにパトカーが通ったらやってみようぜ」
「通るかー?」
「一台ぐらいは通るんじゃね? 4キロあるし」
そうなのだ。あのころ一緒に帰っていたダチはみんな、学校から家までが遠い組で、しかも歩きだったから時間だけはあった。
だから、いつもただ帰るだけじゃつまんなくて、じゃんけんして負けたやつが次の電信柱までみんなのランドセルを持ったりとか、英語禁止トークしたりとか、思ってることと反対の言葉を話すとか、そういうことをして毎日4キロを乗り越えてきた。おかげで足腰は鍛えられたと思う。
「パトカーどころか普通の車も通らねぇな」
「なんかいつも以上に車少なくね?」
「今日ってなんか特別な日だっけ?」
「いんや。ただの平日」
「だよなー」
田舎の道というのはそういうものなのである。今思うと、実に平和な帰り道だったなぁと思う。
「じゃ、また明日なー」
「おう」
そう言って、ひとり、またひとりと家にたどり着き、同志が減っていくのであった。
「結局、今日はパトカー通らずかぁ。試してみたかったんだけど。じゃ、また明日な」
「おう。ばいばーい」
そうして、最後に残るのが僕なのだった。いつものことだったが、一人になるととたん静かになって心許なくなる。なので、ここからは走って帰ることも多かった。でもこの日はもしかしたらパトカーが通るかも、という思いがあったので、気持ちのんびり歩いていた。敬礼のポーズをこっそり練習したりしながら。
(来た……っ!)
自分の家が見えるくらいのところまできたとき、パトカーがこちらへ向かってくるのに気づいた。
僕は立ち止まり、すぐに敬礼ポーズをとった。
(パトロールお疲れ様です!)
ドキドキしながらも僕はパトカーが横切っていくまでそのままの姿勢でいた。
「すげー……本当に敬礼を返してくれた……!」
パトカーが見えなくなってもしばらく敬礼ポーズをくずせないくらい、僕は感動していた。
あいつの話は本当だった。おまわりさんは子供である僕のつたない敬礼にビシッと敬礼を返してくれたのだ。
しかも、そのおまわりさんがすごくカッコよく見えて、僕は家に帰ってからもドキドキしていた。両親にこのことを前のめりで話したことを今でも覚えている。
そう、大人になって子供たちに敬礼を返すおまわりさんになった今でも。
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