4月27日　タッパーのお弁当がつなぐもの【今日のものがたり】

　わたしは、いろは のお弁当を見るのが大好きだ。

　いろは はほぼ毎日、学校にお弁当を持参している。お弁当を持ってくるということは毎朝、それを作るために時間を割いているということだ。朝のとっても貴重な時間を。

　わたしはギリギリまで寝ていたいタイプなので、お昼ご飯はコンビニか、購買部で買うことがほとん
だ。でも、ずーっといろは のお弁当を見ていて、ある日、そろそろわたしも作って持っていこうかなという気持ちになった。
　なってきた、ということは、それはもう大丈夫ってことなんじゃないかと思えて、少しホッとして、少しさびしかった。

　お弁当箱らしいお弁当箱もあることはある。でもわたしはタッパーを選んだ。こっちを選ばないともうずっと選べないような気がしたから。

　わたしが学校へお弁当を持っていかなかったのには理由がある。
　お母さんをどうしても思い出すからだ。思い出すこと自体は嫌なことじゃない。むしろ毎日思い出している。でも、タッパーのお弁当を見ると、台所からリズムよく包丁を刻む音とお母さんの鼻歌が聞こえてきて……うん、うん……思い出すのはここまでにしよう。なんか視界がにじんでくる。

　とにかく！　明日からお弁当を解禁するんだ。いろは がどんなびっくり顔でわたしのお弁当を見てくるかなぁ。それを楽しみにしながら、まずはちゃんと早起きしないとね。