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8月11日 きのこの山にて【今日のものがたり】

「この道の先にぼくたちの未来があるんだ」

 ロビンは自作の魔法ステッキをくるくるまわしながら、誰かが作ってくれた道を歩いている。
 
 でも、その道は永遠には続かない。どこかで道は見えなくなる。そのとき、どうするのか。自分で作るのか、誰かが作るのを待つのか。私はロビンより少し早く生まれているけど、まだ答えは出ていない。未来はわからない。

 わかっているのは学校の課題をこなすこと。そのためにこの、きのこの山にやってきている。

「きのこって言ってもいろんな種類があるよね。魔法との相性がいいきのこを探すって大変だよね」

 ロビンの言うとおり大変だ。きのこは食用もあればそうじゃないものもある。魔法との相性で考えたら食用じゃないものだって場合によっては必要になる。とは言うものの正直な話……

「わたし、きのこは魔法に使うより、食べたいのよね」
「ぼくも! きのこのお料理っておいしいよね」
「だよね! ロビンもきのこ好きなんだ」
「すきー。かたちもかわいいし、おいしいし」

 ロビンは隣家の一人息子で、両親同士が仲良しで、よく一緒に食事をする。そういえば、きのこ料理も食べたことあるなぁ。

「ダメだ、ダメだ。食べることに意識が行き過ぎちゃってる。ちゃんと課題をこなしてからにしないと」
「あはは。おねえちゃんでも、課題にすぐに取り組めなかったりするんだ」
「もちろん。いや、もちろんじゃ良くないんだけど、世の中にはたくさんの誘惑があるからね。それに打ち勝たないと」
「ゆうわくかぁ。魔法の練習してて、眠くなってきてお布団にころがっちゃうのもゆうわく?」
「それ、めちゃくちゃ誘惑」
「そうなんだ。じゃあぼくも気をつけないとだ」

 そう、誘惑に負けずに課題をこなしたら、そこに新たな道が見えてくるかもしれないし。

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