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8月14日 裸足で乗りましょう【今日のものがたり】

「ふわぁ~~!」

 ぼくは今、お姉ちゃんと一緒に絨毯屋さんに来ている。
 学校にも家にもあるのだけど、ここまでいろんな種類の絨毯がどーんと並んでいるのは初めて見た。だから驚いて、ふわぁ~ってヘンな声がでちゃったんだ。

「壮観だよね。これ、刺繍って言って、名だたる魔法使いが手で縫っているのよ」
「えっ、手ぬいなの?」

 学校でぬい方は習ったけど、まっすぐぬうのすらすごく難しくて、お手上げ状態だったんだよなぁ。

「びっくりするよね。私も刺繍は挑戦しているんだけど、これがなかなか……きちんとした形に縫わないと魔力も正しく発揮されないしね」

 魔力。そうなんだ。この絨毯には魔法がかかっている。刺繍に使われる糸には、ぬっている魔法使いさんの魔力が編み込まれているから、できあがった絨毯は魔法使いさんの手を離れても魔力が残るんだ。その魔力の強さで絨毯のお値段も変わるんだって。すごい話だよね。

「どれか気になる絨毯に乗ってみる?」
「乗りたい!」
「わかりやすいものが良いと思うから……これなんてどうかな? 乗ると魔力を回復してくれる絨毯だよ」
「魔力! 今日すっごい魔法を使う授業があったから乗りたい!」

 魔力の回復は、一番は寝ることなんだけど、絨毯に乗って回復できるならそれはとっても素敵なことだよね。

「それじゃあ、裸足になろっか」
「うん」

 ぼくもお姉ちゃんも靴を脱いで裸足になる。これにはちゃんと理由があるんだよ。

「素足で乗ることで足の裏から直に魔法の力を体内に流れさせる! だよね、お姉ちゃん」
「せいかーい! ちゃんと習ってきたことを覚えているね」
「この間テストに出たから」

 お姉ちゃんと一緒に絨毯に乗る。

「ふわぁ~~!」

 またヘンな声が出ちゃった。でも、すごい、わかるんだよ。足の裏からわき上がってくる感じがすごい。魔力が回復してるってわかるんだもん。

「これ、すごい絨毯だ……」
「だよね!」

 お姉ちゃんも感動している。本当にこれは、今からもう一度魔法をたくさん使う授業を受けても大丈夫なくらい、すごい。

 ぼくもいつか、みんなが笑顔になれるようなすっごい魔法を使えるようになって、素敵な刺繍をぬってすっごい絨毯を作れるようになりたいな。
 そのためには、お手上げだなんて言ってられないや。

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