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6月3日 ポンコツじゃ、ない?【今日のものがたり】

「うーん、うまくいかないなぁ」

 ぼくの魔力が弱いのかな。呪文は間違えてないと思うんだけど……。

「どうしたの、何かあった?」

「あ、おねえちゃん」

 声をかけてくれたのは、ぼくの家のおとなりさん。本当のおねえちゃんではないけれど、よく一緒に遊んだり、学校に行ったりしているので、いつのまにかおねえちゃんって呼ぶようになったんだ。

「ドラゴンが動かないんだ」

 ぼくは両手で抱えるくらいの大きさのぬいぐるみを持ち上げておねえちゃんに見せる。

「もしかして、このドラゴンのぬいぐるみに魂を宿そうとしていたの?」
「そう! でも、ぼくの魔力が足りないのかも。よくポンコツ魔法使いって言われるから」
「誰にポンコツなんて言われるの?」
「クラスの子たちに」
「ロビンはポンコツなんかじゃないとおねえちゃんは思うよ」
「本当? でもどうしてポンコツなんかじゃないって思ってくれるの?」
「だって今、このドラゴンを優しそうに持ち上げてわたしに見せてくれたでしょ? いたわる心を持っているロビンだもの。ポンコツなんかじゃないわ」
「……ありがとう。おねえちゃん」
「どういたしまして」
「あ、魂を宿らせる呪文なんだけど、これで合ってる?」
 ぼくはドラゴンを地面に優しくおいて、ポケットから呪文を書いた紙を取り出す。おねえちゃんがどれどれ、と言って紙を受け取る。
 ……あれ? おねえちゃんの表情が……

「……ロビン。これ、まちがってる」
「ええー?!」
 やっぱりぼく、ポンコツなのかも……。

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