儀礼・儀式は現代に必要?~ウポポイ渋谷公演 カムイとアイヌの物語「イノミ」を鑑賞して~
「え、この音は本当に人が奏でてる?」
公演後、一緒に鑑賞してた友人に思わず尋ねた。
素晴らしい発声技法は、耳と脳に気持ちよさをもたらした。
アニメ『ゴールデンカムイ』を観始めて、アイヌに興味を持った。もちろんストーリーはとんでもなく面白いのもあるが、わたしは精神的に豊かなアイヌ文化に心を惹かれていった。
『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』中川 裕 (著)を読み、子どもの名前のつけかたや『イオマンテ』と呼ばれる「飼い熊の霊送り儀礼」があることを知ってますます興味を持った。
そのなかでも自分が自分なりの解釈でGISHIKIをしたことがあることからか(またどこかで書きます!)アイヌの伝統儀式や儀礼をいつか目の前でみてみたいと思うようになってきた。
そんなある日、伝統的な儀式が大都会の渋谷で観れるということが耳に入ってきた。
『カムイに感謝の祈りを捧げ、饗宴を催し、土産を持たせカムイの世界へ送る伝統的な儀礼』ということは理解しつつ、なぜ歌い踊る形式なのか疑問を持った。
現代に置き換えてみたら、祭りなどでは目にすることはありつつも当事者意識もなく「催し」として捉えしまっているところがある。その感覚が抜けないわたしは、「なぜ儀式をする必要があったのか、その効果はなにか」の視点で公演を鑑賞し始めていた。
しかし、公演の最中そんな思考も忘れるほど音とリズムに釘付けになり、終わるころには「儀式の目的」を考えること自体が現代の感覚なのかもしれないと思うようになった。
ただ祈りの心で歌い踊る、精神状態がある種のゾーンに入って大地と空とつながる感覚になるのではないか。ただ観て聞いているだけのわたしでも瞑想状態になったのだから、実際に円を囲みながら歌い踊るとなると通常の意識状態ではなくなりそうだ。
「ストレスには瞑想がいい」ということはよく耳にする。
座禅を組んで目をとじても考え事をしてしまうわたしには、歌い踊る儀式が合っているのかもしれない。
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