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3 カレンの部屋


 皆様こんばんは、今夜もひっそりとお送りいたします。
 radioカレンの部屋へようこそおいでくださりました。
 今宵はわたくしへのお便りを頂いておりますので、お時間の許す限りご紹介、お話をさせていただきます、どうぞゆったりとなさって、共にお時間をお過ごしいただきたいと思います。

 それでは…。
 お便りいただいたことについて、お話させていただきますね。
 「様々な芸術に囲まれるのはどんな気持ちですか?」
 アマガエルの坊やからです。
 たまぁにコッソリいらっしゃったりしてますね、じぃっとして目を凝らしているうちに坊やの色が変わるのを、わたくし存じておりましたよ。
 そうですね、毎回毎回わたくしは、この機会に立ち会えたことを感謝しております。芸術に囲まれて嬉しいというよりは、心がドキドキするので生命に感謝する気持ちが強いのです。

 次のご質問です。
 「お部屋の様子がゴトゴトという音のあと変わってしまいますが怖かったりしませんか?」
 こちらはネズミのお嬢さんからです。
 お嬢さんにとっては、音がしたらすぐお家に帰るように教わっているので、一体何がどうなっているのかわからなくてこう思ったかもしれませんね。
 お部屋の様子が変わるのは、大切なお仕事の為なのです、とても繊細なのに大胆な芸術達の為に、それぞれが居心地良く、また、その魅力を発揮できるように、卓や額なども動かすのですよ。
 そうして毎度、目に入るものの位置が変わったり内容が変わったりします、でもだからこそ、一期一会の出逢いや、時期がズレても巡り逢える、そんな喜びの場所になるのです。
 
 あら…。
 こちらはひまわりさんからのお便りですね。ひまわりさんはご出産されて、育児後はこちらでお客様をお迎えするお仕事もされています。
 ひまわりさんからは…「愛芽さんの紹介をお願いします」と。では、僭越ながらわたくしから、少々ご紹介をさせていただきます。

 愛芽さんは…、ご職業が「愛芽」と、わたくしは思うようになりました。ジュエリーを創っていらっしゃるので「デザイナーであり、アーティスト」であるのも間違いないのです。
 では少し昔話と共に、わたくしがそう感じたお話をさせてくださいね。

 わたくしは、もともと、外の住人でした。青菜をモリモリ食べて、そしてある瞬間に力一杯飛び出した後は、太陽や風に導かれ、生命活動を精一杯したのちは、外の別の輪に流れ繋がる予定でした。なんとなくそういうものだと知っておりましたしそれを誇らしく思いながら空を舞っておりました。
 いよいよその時が来たのだな…となり、静かに次を待っておりました。
 あぁ…光が拡がって…これが別の輪…かしら?!ちょっと想像したのと違ったけれど!でもわたくしは、確かにまた光の流れに乗っているのです。
 さらに、カレン、というわたくしだけのお名前も、愛芽さんからいただいたものです。

 愛芽さん自身のお名前も長い時間で少しずつカタチを変えておられます。そして創るジュエリーも、花や蝶、雫、水、そして形容し難い宇宙…などカタチを変えて。
 カタチを変える事に戸惑いを抱える方や、不変を願う方もいらっしゃるでしょう。
 しかし時間が流れ様々な変化があるのならカタチを変える事はひとつの方法です。

 希む未来や世界、ビジョンがあるのならそれを現実のこの今ある世界に具体化していくならば、愛芽さんはこれからもドンドンと変化を厭わずむしろワクワクと、付け加えると、とても速いです。あれよあれよと走って走って、それこそヒカリの中に融け込んで行く人だと、わたくしは思っています。

 愛芽さんが走っていくあとには光の尾が付いているように見えます。彗星の如く、残像なのかもしれません。
 それをよぉく見ると小さな芽があるように見えるのです。とても小さいので、育つ迄時間がかかるかもしれませんが、大切な種を残してくれます。その種を皆様一人一人が、それぞれのやり方で育ててよいものです、また、その種と似たようなものをもう既にお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
 全て皆様の自由な発想やご経験が栄養素となるでしょう。
 
 
 
 繰り返し繰り返しわたくしたちは、憶い出しては忘れています。
 なにか忘れているなと思ったら、お便りをいただければ、このradioカレンの部屋からほんの少しのお手紙を、お返しする機会もあるかもしれません。
 色々なカタチで。
 それではお時間いっぱいお話させていただきました、また、お会いしましょう。
 おやすみなさい。

  あら?
 最後に、わたくしカレンは何者?
と思われた方々がいらっしゃる…うっかり!
 申し遅れました。
 わたくしは、アトリエ愛芽におります、白い蝶の姿をしております。
  

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