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【悪用厳禁】相手にイエスと言わせる心理学テクニック集

先日イエスセットについて書いて、ほかにもいろいろあるなと思ったので、少しまとめて置きたいと思います。

「そんな相手をだますみたいなことしたくない」

そう思う人が正常ですが、こういったテクニックを悪用しようとする人はたくさんいます。知っておくことで防衛することにもつながりますので、知らない内容があればぜひ覚えていただければと思います。

イエスセット・一貫性の原理

一貫性の原理とは「自分の発言や行動、態度、信念を一貫したものとしたい」と、私たちが無意識に振る舞う心理をさします。
我々は日々選択に迫られています。

例えば朝起きて何をするでしょうか。

トイレに行く?歯を磨く?水の切れた加湿器に水を入れる?着替える?朝食の準備をする?シャワーを浴びる?カーテンを開ける?

このように選ぶことができる選択肢は様々ありますが、毎回選択していては大変です。私たちはそういった煩雑な選択を減らすために「パターン化」しようとするようです。

朝起きて行うこと、通学や駅に向かう道、いつもの定食屋で頼むもの…思い当たる物は様々あると思います。

またこの「パターンを変更する」というのは少しストレスのかかることです。いつもと違う道で通学・通勤をすると少し落ち着かない、心の中で「よいしょ!」と気合を入れてから道を変える、そういった感覚が多少なりともあると思います。
パターン化したものはそのまま継続したほうが楽ですからね。

この繰り返しパターン化するという性質を利用したものが「イエスセット」というものです。

「今日はいい天気ですね」

「そうですね(肯定)」

「久しぶりに晴天で気持ちはいいですが、だいぶ肌寒くなりました」

「そうですね(肯定)」

「気づけばもう12月、今年もあっという間でしたね」

「そうですね(肯定)」

このように、相手に肯定させることを3回以上繰り返すと、肯定がパターン化し、そのあとも肯定しやすくなるそうです。

例えば営業さんとかはよく使っている手段かと思います。アイスブレイクと称して、こういった肯定するような雑談から商談に入る、そんなことは日常的に行われているかと思います。

返報性の原理

人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱く、こうした心理を返報性の原理と言います。

たとえば家電量販店で商品を眺めていると店員さんがすっと近づいてくるかと思います。洋服屋さんでもそうですよね。
店員さんはただ商品について雑談したいわけではなく、この返報性の原理を利用しようとしています。

「商品について詳しく説明してくれた。私のために時間を使ってくれた。気分もよかったし、そのお返しとしてネットで買うよりも少し高いけど、ここで買っていこうかしら」

そんな風に思ったことはないでしょうか。本来店員さんの説明は頼んだわけでもないですし、そもそも店員さんは仕事で商品について説明をしているわけです。それなのに、勝手に「お返しに」と思ってしまう。よくできていますね。

最近私個人としては見なくなりましたが、試食もそう言えるといえます。
当然商品の味を知ってもらいたいという思いもあるでしょうが、「試食もいただいてしまったし、そのお返しに商品を買っていこうかしら」

化粧品のお試しとかもまさにそうですね。時間をかけて丁寧に説明してくれた…。

イエスと言わせるテクニックとは少し異なりますが、恋愛でいう「両想い」についても返報性の原理が働いているといえます。
たまたま、偶然、同時に、互いのことを好きになる「両想い」。現実的には起こりえないでしょう。相手に好かれているからそのお返しとして好きになる。好きまでいかなくても「まぁ良いか」くらいになる。好意に対しての返報性の原理ですね。

コントラスト効果

2つ以上の物事を比べた時に差があると、実際の差より大きな差として感じられるという心理的な現象をコントラスト効果と呼びます。
人は比較しないとものごとを理解することはできません。

たとえば定食屋さんで800円のA定食と1300円のB定食があったとします。

・A定食…800円
・B定食…1300円
この場合安い法のA定食を選ぶ人の方が多いといいます。なんとなくわかるのではないでしょうか。「普段はA定食で、今日がんばるぞ!というときにB定食」といった形になったりもしそうです。
ではこの1300円のB定食を買わせるにはどうすればいいでしょうか。

1800円のC定食を作るのです。

・A定食…800円
・B定食…1300円
・C定食…1800円

こうなると、「A定食は少しさみしい気がするなぁ…。でもC定食はちょっと高いし…。今日は普通にB定食でいいか」そんな感じになりそうではないでしょうか。
実際にB定食の値段も内容も変わっていなくても、購買者の心持とお店の売上は変わってきます。

不動産の賃貸などはこのコントラスト効果をうまく使ってきます。
不動産屋さんに行くとたいてい予算よりも金額が高くならないでしょうか。
「月70,000円までと決めていたけど、75,000円の賃貸を契約した」。あるある話のような気がします。
この時に重要なのが5000円多く予算よりも払うことになったとしても、たいてい「いい契約をした。いい物件を紹介してもらった」と思っているかと思います。
そもそも70,000円という根拠がないのでコントラスト効果によってコロッと考えは変わってしまいます。私もたいてい予算をオーバーします。

楽器、ギターの購入なども大体予算内で収まることはないと思います。ちょっと注意ですね。

プライミング効果

あらかじめ受けた刺激によって、無意識のうちに行動が影響を受けることをプライミング効果と言います。

有名なのが「ピザ」って10回言ってというやつですね。何もなく肘をさして「ここは?」と聞いたら必ず「ヒジ」と答えるでしょうが、「ピザ」と10回行ってから「ヒジ」を指すと「ヒザ」と言ってしまう。

この例のように意識的に与えた刺激ではなく、無意識下での出来事でも人の行動は変わります。
例えば店内BGM。その店の中で流れているBGMによって「店内でゆったり滞在してほしいのか」「早く店を出て行ってほしいのか(回転率をあげるという意味で)」がわかります。コース料理を楽しむようなお店だとゆったりしたBGMなのではないでしょうか。比較的おちついた喫茶店でもゆったりとしたBGMが流れていそうです。マクドナルドのBGMは店舗がいい快活な物が流れていそうです。

またBGMは時間によって異なる場合があります。回転率を上げたい時間帯はテンポの早いBGMにして、ゆったり過ごして満足度を上げたいようなかき入れ時を過ぎたときは店舗を下げる。スーパーの店内のBGMも時間によって異なると聞いたことがあります。

マーケティングなどでは、セミナー終わりのアンケートなどで利用されることも多いと聞きます。
アンケートで「この〇〇を買ったとしたら何をしますか?」とか混ぜておくと、それだけで無意識に購入した姿を浮かべてしまいます。なんとなく「買ってみようかな」という方向に向かってしまいますし、セミナー時点で〇〇の情報は刷り込まれているので、自然と〇〇を買う方向に向かってしまうとか。

CMでヒットソングを使うのもプライミング効果を狙っていたりします。街中でその曲をきいたらなんとなくその商品が思い浮かんでしまう。

皆さんいろいろ考えますよね。

ランチョンテクニック

協力して欲しい相手を食事でもてなし、食事を食べている途中か食後に協力を申し出るスピーチやアピールをする方法をランチョンテクニックといいます。

ランチョンテクニックの前に「連合の原理」というものを説明します。
2つ上の要素が、仮に全く関係ない要素同士だったとしても、結びついて想起されてしまう現象のことを言います。
モーターショーと美男美女はセットです。車と近くにいた美男美女のイメージを勝手にくっつけてしまって、その車も美しい、好感的に思ってしまうんですね。

気分がいいときは悪い時に比べ「いいよ」というハードルが下がるものです。おいしい食べ物を食べている時などはまさにそうでしょう。
楽しく美味しく食事をしているときや、満腹になっていい気持ちで満足しているときに言われたことには、同様にポジティブな印象を抱きやすくなる、これがランチョンテクニックのポイント1つめです。

そしてランチョンテクニックは「食事でもてなす」というところが2つめのポイントです。相手に対して「もてなす」という贈り物をしているんですね。
先ほど紹介した「返報性の原理」が働くわけです。

おいしい食べ物を食べて気分もいい、そしてごちそうにもなっている、頼みごとに対しても「はい」とうなずきやすくなってしまうでしょう。

なので、「商談」や「密会」は「会食」という形で行われるんですね。

頼まれたことと、おいしい食べ物やごちそうになったことは切り離して、例えば「少し考えさせてほしい」などと言って場を改めて冷静に考えたほうがいいかもしれません。

二者択一法(選択話法)

私達は、2者択一で質問されるとついどちらかで答えてしまうという心理が働きます。

食事に誘うときは「食事にいかない?」ではなく「フレンチとイタリアンどっちがいい?」というと断られにくいというものです。
こういった露骨な物はもう知られていて逆に胡散臭いですが、レストランなどでは上手に用いていたりします。

「お客様、お食事の後にコーヒーや紅茶などはいかがでしょう?」

こういったときに「お食事の後の飲み物はいかがでしょう」といわずに、コーヒーや紅茶と添えることで、飲み物を頼むことは前提で、どちらかを頼むという選択を上手に迫っています。

また、この選択話法には「それ以外から視線を外す」という効果もあります。
先ほどのお店にはコーヒーと紅茶以外にも様々なメニューがあります。それでも

「お客様、お食事の後にコーヒーや紅茶などはいかがでしょう?」

と質問した場合、多くの人はコーヒーか紅茶から選ぶでしょう。もしココアを作るのが面倒だったりするときには使えるかもしれません。

フットンザドアテクニック

得や要請のとき、いきなり本題に入らず、簡単な要求から始めて徐々に要求の内容を膨らませていくことをフットンザドアテクニックといいます。
セールスマンは相手の扉に足をかけて少しでも開かせたら勝ち!というようです。

一貫性の原理やサンクコストなどもうまく使ったテクニックですね。

顧客にいきなり商品やサービスの購入や契約を迫るのではなく、無料サンプルや試用期間を設けて、まず商品・サービスを試してもらうのもフットインザドアの手法です。いきなり契約を迫るより、徐々に…という形で、結局契約させてしまいます。

飛び込み営業で「契約するかどうか決めるのは後でいいので、話だけでも聞いて欲しい」「5分だけお時間いただきたい」と言われたことがあるかと思います。
これもフットンザドアテクニックの常套手段です。
たいてい「サンプル商品があるのですが見ていただけないでしょうか」や「試用期間だけでも…」と続くと思います。話を聞くといった手前いきなり無下に断るのも…ともともと興味もなかった試供品を試してしまう。そういった手法をさします。

ローボールテクニック

魅力的、もしくはあまり面倒でない条件をはじめに提示し、受け入れさせた後に、理由をつけて魅力的な条件を取り除いたり、相手にとって都合の悪い行動を追加したりする手法をさします。
最近ネットショッピングでローボールテクニックが使われることが多いかと思います。

(最大)80%OFF!といった広告がまさにローボールテクニックです。
まず80%OFFというのが目につきます。
「80%OFFかぁ…少し見てみるかな…?」と見に行くと一部の商品だけが80%OFFで多くの商品は40%OFFくらいだった。ネットで買い物をしているとこういった経験は日常茶飯事です。
初めから40%OFFと書かれていたら見に行かなかったかもしれない商品ページを見に行き、もしかしたら「まぁ、せっかくページを開いたし」と一貫性の原理やサンクコストに引きずられ購入してしまうかもしれません。

まとめ

ここまでいろいろ書いてきました。ほかにもたくさんあると思いますし、どんどん巧妙に隠しながら我々から「イエス」を引き出そうとしてくるはずです。

こういったテクニックを悪用するのではなく、少なくとも悪用されないように、自衛のためにぜひぜひ知ってほしいと思います!

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