日本企業における「有能さ」の変化
日本企業における「有能さ」の変化
おそらく親世代と現時点で就職活動をされている方で明確に異なる点が「終身雇用」が前提なっているか否かです。
これによって、会社での「有能さ」という観点も異なっているように思います。
終身雇用の時代:新人採用と育成
かつての日本企業は、終身雇用という雇用形態を基盤にして、新人採用と教育に取り組んでいました。
「終身雇用」が前提の場合、企業はポテンシャルのある新人を採用し、長期的な視点で育成が可能になります。たとえば、大手製造業や金融業では、新卒一括採用が一般的であり、新入社員は研修を受けた後、さまざまな部署でジョブローテーションを行いながら経験を積んでいたようです。
現在も名残で新卒の就職活動はこの形式になっていますが、「確実に終身雇用が約束されている」時代ではありません。
現代の状況:即戦力の重視
近年の経済状況や労働市場の変化により、終身雇用は徐々に崩れつつあります。企業は即戦力を求めるようになり、新人採用においても即座に成果を出せる人材が重視されるようになりました。
特にIT企業やスタートアップでは、特定のスキルセットを持ち、入社後すぐにプロジェクトに貢献できる人材が求められています。
終身雇用であれば、23歳くらいで雇用して、10年くらい成長として投資しても、定年退職まで30年程度働いてくれます。
これなら教育したコストが回収できますが、もし35歳で転職されてしまったら、企業としては教育コストが持ち逃げされてしまった事になってしまいます。企業も慈善事業ではないため、これでは困るわけです。
「有能である」とは何かの変化
従来、日本企業にとって「有能である」とは、ジョブローテーションを通じて会社の文化に慣れ、さまざまな部署で活躍できる社員を指していました。これは、企業が長期的な視点で社員を育成し、社内の一体感や文化を重視していたためです。
この明文化されていない企業文化をなんとなく把握し、いろいろな職種に順応でき、立ち回るというスキル=「有能である」だったわけです。
しかし、現代では、「有能である」の定義が変わりつつあります。
たとえば、ある伝統的な製造業の企業では、今でも新入社員が数年間にわたり複数の部署で経験を積むことが求められます。
具体的には、ある大手製造業のA社では、新卒社員は入社後3年間、営業、製造、企画など複数の部署での勤務が義務付けられており、社内の全体像を理解することが求められます。
一方、例えばIT企業では、新卒社員でもプログラミングスキルを持つ者は、入社直後から新製品の開発チームに配属され、即戦力としての活躍が期待されますし、場合によってはすぐにプロジェクトリーダーとしての役割を求められることもあります。
企業文化に順応するといった事よりも、どれだけアウトプットを出せるかという点が「有能である」という形に変わってきているように思います。
まとめ
日本企業における新人採用と「有能である」の定義は、終身雇用の崩壊とともに大きく変わりつつあります。
企業は即戦力を求めるようになり、ジョブローテーションを経て会社の文化に慣れることよりも、特定のスキルや業務経験が重視されるようになりました。
この変化は、企業の生存戦略や市場競争力の強化に直結しており、今後もさらに進むことが予想されます。
そのため、個人的には「ホワイト」「勤務時間が短い」「業務が楽」という点よりも、能力を身に着け、いつ会社を首になっても次の職場を探すことが出来るように頑張った方がトータルとしてコスパが良いのではないかと思ったりします。
(人間関係をおろそかにしろというわけではないです。個人でできるアウトプットなんてたかが知れていますし、アウトプットを出すためには同僚と協力することが必要不可欠です。なので、時には飲み会などにも顔を出し、関係性を保つことはそれなりには必要なのではないかと思います(能力で引っ張っていけるような超有能な方はこの限りではないですが))
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