【要求工学】なぜ人は誤解をするのか、そしてその対処 part.4【要求仕様化】
前回の続きになります。
今回は要求仕様化について触れていきます。
要求仕様化
すれ違いを防ぐためにはすべての要求を明文化する必要があります。日本人は「行間を読む」「空気を読む」という事を好みますが、要求工学に置いてはそういったことは不要です。余計なすれ違いを生むだけです。
何を明文化するか
まず何を押さえておくか考える必要があります。
要求分析で行ったうち、機能要求と非機能要求に分けて記載すると明確になりやすいです。ここを混同して書いてしまうと「なにかたくさん書いてあるが、結局なにを決めたのか、なんの仕様を書き出したのかわからない」と言ったことにもなりかねません。
また記述する際も文章で書く場合と図で書く場合があります。
文章化するときの注意
自然言語で文章化する場合は誤解を生みやすいです。自然言語で書き出す際には誤解が無いように記載することが必要です。
例えば次の文章があるとします。
「ホースから出る水が一定レベルになったら、すぐに水を停止する」
この「それっぽい文章」ですが、あいまいな点だらけで後々問題を生みそうです。
「出る水が一定レベル」とはどの程度なのか
「すぐに」とはどのくらい「すぐ」なのか
「停止する」とは一気に0にしてよいのか、徐々に減らしていくのか
などなどです。
文章するときには「それ」「これ」といった指示語、「最大限」「できれば・可能な限り」「使いやすいインターフェースで」「操作しやすいボタン」といった解釈が人によって異なりそうな項目は絶対に避けるべきです。
定量的に記載できるのであれば定量的に記載するべきですし、「できれば・可能な限り」というのは具体的な条件を記載するべきです。「使いやすいインターフェースで」「操作しやすいボタン」というのも、図に起こして認識を合わせるべきでしょう。
「まぁ、多分分かってくれるだろう」というのは要求仕様化のタイミングでは絶対にしてはいけません。
用語を定義する必要があれば「用語定義書」を作り、お互いがその内容について可能な限り誤解を防ぐような努力をするべきです。
要求仕様化のコツ
ここで様々な事を決定していくことでしょう。
その際にテンプレートやチェックリストを作って作成していくと作りやすかったりもします。
テンプレートはお互い情報が書いてある箇所が分かるので読む際のストレスを減らします。すべての要求が異なったレイアウトで仕様化されてしまうととても分かりづらいです。
また人はつい忘れてしまう生き物です。テンプレートに
「以下を意識して記載・レビューすること」
明確になっているか。
誤解を生む表現が書いていないか。
曖昧な用語は使っていないか。
すべての情報を書いているか。
などを書いておくといいかと思います。
参考:
・要求工学知識体系(REBOK)概説
https://www.ipa.go.jp/files/000005375.pdf
・要求開発の基礎知識 要求プロセスと技法入門
https://nextpublishing.jp/book/10544.html
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