見出し画像

食事介助について



今回は、言語聴覚士さんから学んだ食事介助で大切なことについてまとめていきます✨
これは管理栄養士としても、大切なことで、知っておくべきだと思います。


病院によっては職種ごとで分かれていて、会議では話すけれど内容についてはあまり分からないという人も多くいたりします。
患者さんを不安にさせることは違うと思うので、詳しい説明はしなくても、分かるだけの知識は持っておきたいところ!


介助っていわれると、助けなきゃいけないというイメージを持ちがちだけれど、小さな子・高齢の人関係なく、これはしておくといいというポイントばかりなので、ぜひ参考に✨




【食事介助】



「食事環境を整える」


・軽い嚥下障害のある療養者は、無意識に食べ物を飲み込んで、むせたりすることがある。
 (Think swallow:嚥下の意識化)

・飲み込むことに集中することで、むせなく飲み込むことが出来るようになる。
・特に脳血管障害後遺症の高次機能障害によって注意障害、ペーシング障害がみられる場合には、より集中できる環境を作ることが必要である。
*基本的には、本人の好きな姿勢をとってもらうことが大切!


*ペーシング障害:
行動を意識的にゆっくり行うことが出来ないこと。




【基本的姿勢】


「体幹30~60度仰臥位」


・食べ物の送り込み障害がある人は、起き上がって座位姿勢をとると、食べ物が口からこぼれてしまって思うように食べることが出来ない。


・寝たままでも危険であるため、30~60度の仰臥位の姿勢をとる。
・重力を使って食べ物を送り込むことが出来る。


・食道は気管の後ろ側にあるため、仰臥位では気管が上・食道が下となり、残留物があっても気管に逆流せず、誤嚥は起こりにくくなる。



「頸部前屈」


・嚥下反射時は、喉の筋肉を使う。
・上を向いたり、仰臥位であると頸部の筋肉が進展し、嚥下運動に支障をきたすため、むせやすく・誤嚥しやすくなる。

・軽く顎を引いて、リラックスした姿勢をとり、仰臥位でギャッジアップしながら食べている人は、枕などをおいて頸部の角度を整える。



「麻痺があるときの体位」


・麻痺があるときには、麻痺側の肩にあてがい、健側をやや下向きに軽度仰臥位の姿勢をとる。
・重力に従って食べ物が動きの良い健側に落ちて、嚥下がスムーズになる。


*避けた方がよい介助:

・上方からの食べ物、飲み物の介助は避ける。
・顎が上がると、誤嚥が起こりやすく危険になるため注意する。




【食べる前に準備運動】


・嚥下機能が低下している療養者は一口目に誤嚥し、むせるケースがよくある。
・深呼吸、口の体操などの準備運動をすることで誤嚥予防し、嚥下をスムーズにする。




「嚥下体操」


・毎回、食事前の2~3分間行う。
・症状が改善しても継続して行う。
・嚥下体操は毎食前に忘れずに行う。




「体操方法」


・ゆっくりと腰かけて深呼吸 (腹式呼吸)をする。
・鼻から息を吸い、口をすぼめてローソクの火を消すようにゆっくりと吐き出す。
・呼吸リズムを大切に行う。 (吸気:呼気=2:3の割合)


・深呼吸を繰り返しながら首の運動をする。
・首を左右に曲げて、次に横に向け、大きく首を回す。



肩:


・両肩をすぼめてから、すっと力を抜く。
・身体をリラックスさせる。
・上半身の力を抜いて、上体をゆっくりと左右に倒す。



頬:


・口を閉じて、頬をふくらませたりすぼめたりする。 (2~3回程度)




舌:


・口を大きく開いて、舌を出したり引っ込めたりする。
・舌で左右の口角を触る。




発声:


・パパパ、タタタ、カカカ、らららなどの発音が効果的。
・もう一度、深呼吸をする。
・飲み込む練習も一緒に行う。




【実際の食べさせ方ポイント】



「よく噛んで味わいながらゆっくり」


・よく噛むことによって消化を避け、飲み込むときには、唇を閉じて飲み込むように指導する。
・ムセが起こったり、疲労感を訴える時には少し休憩をする。
・喉に残留物があるときには、水・お茶を飲ませて何度か飲み込みをしてもらう。
・一口量にも気を付けながら、多すぎても少なすぎても良くないため注意する。




「食事は決まった時間に30~40分」


・食事は3食の時間を決めて、30~40分程度が適当。
・いつまでも長引かせないように、1回の食事量が十分でない時には無理せず、おやつなどを別の決めた時間に補う。




「温かいものは温かく、冷たいものは冷たく」


・食べ物の温度が人間の体温に近いと、口腔内の刺激は乏しくなる。
・温度差に変化のある食べ物は、「食べた」という満足感・刺激を喚起する。
・温覚障害などがある場合は、温かい料理でのやけどに注意する。






【会話のポイント】



「食前」


・「今から食事をする」ということを認識してもらう。
・口の中の乾燥を防ぎ、食べ物がすっと通りやすくなるように口の中を潤す。

例:
「お腹すきましたか?」「今日の食事はおいしそうですよ」「お茶を先に飲みましょう」など



「食事中」


・食事に集中できるように本人の好物などを説明する。
・個人の食べるスピードに合わせる。 (ゆっくりが基本)
・一口量は、カレースプーン2/3程度

例:
「大好きなものですよ。」「ゆっくり食べましょう」など




「食後」


・食べ終わったかどうかを確認する。
・口の中に食べ物が残っていないかチェックするためにも水分補給をする。 (口の中を常に良い状態にすることで味覚を刺激して食欲増進を図る。)

例:
「飲み込みましたか」「少し口の中をきれいにしましょうね」など




【食後ケア】



「全部飲み込んだかを確認する」


・右下を向いて飲み込み、左下を向いた飲み込む、という横向き嚥下を食後にしてもらう。
・喉に残った食べ物がきれいになる。




「食後、すぐに横にならない」


・しばらくの間は上半身を高くして、胃から逆流するのを防ぐ。



「食後の歯磨き」


・食後の歯磨きは欠かさない。
・食後の歯磨きでは、小さめの歯ブラシを使うことが1番効果的。
・口の中の食物残渣は、特に麻痺側に溜まりやすいことを覚えておく。


*適切な口腔ケアは、食改善に大きく影響する。
*歯科衛生士による口腔ケア方法なども聞いてもらう。




「入れ歯の手入れは入念に」


・入れ歯の食べかすも、歯周病の原因になる。
・食後、入れ歯を外して歯ブラシでよく磨き、洗浄剤などに浸けるようにする。

*入れ歯は乾燥すると合わなくなるため、寝る時・使用しない時などには、消毒液に浸けておく。





今回はここまで。
基礎的な部分を理解しておくことで、どんなことがみんなの身体で起こっているのか、理解しやすくなります!


まだまだ、在宅での栄養については語りたいことたくさん✨
のんびりではあるけれど、更新していくので
良ければ、また見てください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?