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オールドレンズに手を出した話

今日は雨。
Nikonのミラーレス一眼カメラ Z fcを買ってから晴天の日はカメラを持って外出し、何かしら撮ることにしているのだが、雨だとちょっと難しい。
天気が悪い日なりの撮影方法はあるにせよ、今は光に溢れた写真を撮りたいと思っているので、こういう日は無理に外出しない。
そのかわり、写真にまつわることをnoteに書こうと思う。

Z fcを購入してから約1ヶ月後の2月下旬、秋葉原の2nd BASEでオールドレンズをひとつ購入した。Super-Takumar 55mm F1.8。

はじめてのオールドレンズ

前回書いた私の写真歴に出てくる、90年代前半に使っていた父のお下がりレンズ達だってまあまあオールドレンズと言えたかもしれないが(多分70年代製)、私にその認識がなかったのでノーカンとしたい。
そこで今回購入したレンズが、自分にとっての初の「オールドレンズ」ということになる。

Z fcを購入するためのリサーチをしていた際、YouTubeでオールドレンズの楽しみ方を知った。
どの作例も霧がかかったように美しく光が拡散し、独特のフレアが生じており幻想的だ。
もともとややローファイな写真が好みなので、おおいに惹かれた。

90年代初頭に父から写真を教わった私は、当時こういうフレアやゴースト、周辺減光が出るレンズを「よくないレンズ」だと思っていた。父がそう言っていたからだ。
実家には大量の『アサヒカメラ』があり、子供の頃からよく父と一緒に眺めていた(ヌード写真が出てくるとちょっと気まずい)。
ある時父は、掲載されていた一枚の写真を見て「こういう、昔のレンズは四スミが暗くなってダメ」「今のいいレンズはこうならない」というようなことを言った。
また「ゴーストを防ぐためにはフィルターが必要」と、KenkoのPLフィルターを私に買い与えたりもした。
そうなんだ、わかった!と何でも師匠=父の言うことを吸収していた私の価値感も、しっかりその方向性で形成されていった。

しかしその後自分なりの好きなものがたくさん増えていき(写真に限ったことではないが)、ファッション、音楽、60年代のカルチャーetc…総じてちょっとざらついた世界のとりこになっていった。
作品の方でも、少しでも紙焼きにクラシカルな雰囲気を出したくて、使っていた印画紙をGEKKOの光沢紙からイルフォードのセミマットに変え、引き伸ばしのときに敢えてイーゼルでマスクせず縁を焼きっぱなしのように仕上げたり(あれ何て言ったっけ?どうググっても出てこない)。あとセピア調色もやったような気がする。
正統派の父が、いわば小細工に走った私の写真をどう思っていたかわからないけど、それなりに面白がって都度アドバイスをくれたのはありがたかった。

オールドレンズを購入したお店


また導入が長くなっているが、ここでスーパータクマーを購入したお店について書きたい。
YouTubeで知った秋葉原の2nd BASE。

iPhone撮影。
2nd BASEはJR高架下のモール、SEEK BASE内にある。

YouTubeで店内の様子はある程度把握していたが、一歩踏み込んで「やばい、ここは魔境だ」と思った。
店内撮影OKだったので何枚か上げる。

美しい作例付きで並ぶお手頃価格のオールドレンズたち。
ネットで見たことあるアレやアレもある…!こんなの買ってしまう。恐ろしい。
ケースの中にはやや価格帯が上(でもすごく高いわけではないような気がする)の名玉たちが。
陳列台にずらっと並ぶオールドニッコールも試したくなるものばかり。

店員さんやお客さんも若い人が多く、この日は連休初日だったせいもあり、次から次へと若者が来店し、いつの間にかレジが行列に。これには驚いた。
「中古レンズ店」なんて昔はおじさんしかいない場所だったのに(偏見)、今はこんな感じになってるのか。
フィルムの在庫が豊富なのも理由の一つかもしれない。

値付けも安いとフィルム写真をやってる友人が言っていた

それから、特に人気なのはオールドコンデジの棚だった。オールドと言ってもデジカメ登場以降のプロダクトなので私から見ると全然オールドではないが。
とにかく、2000年代のコンデジが流行ってるらしいという噂は聞いたことがあったものの、熱量を目の当たりにして「本当だったんだ…」と実感するに至った。
私が店にいる間も何組かの若い男性や女性客のグループが、店員さんにコンデジについて質問したり実際に購入していた。
活気があってなんだかこちらまで楽しくなってくる。

私も店員さんにスーパータクマーに興味がある旨を伝えてみた。
「今日カメラはお持ちですか?」と聞かれ、「持ってます」とマフラーの下にぶら下げていたZ fcを見せると「試してみますか?」と言われる。
そんなことができるのか。
試してみたいと答えると店員さんはさくさくと店内用のマウントアダプターを用意し、奥の作業台でレンズを付け替えることに。
というかマウントアダプターも使わせてもらえるのか。すごい…至れり尽くせりである。
そこで店内のドライフラワー(造花?)を被写体に、試し撮りさせてもらった写真がこれ。

うつくしい…

あ、買いますってなりました。
店内にはいくつかの同モデルレンズが在庫として並んでおり、状態と価格もいろいろ。とりあえず予算を伝えて、在庫の中から状態がいいものを選んでもらった。こういうところ、専門店はやっぱりいい。

店員さんがとても詳しくて相談しやすかったので、ついでにMF時の合焦方法について聞いてみることにした。
というのも、この時私はまだピーキング機能を知らなくて、スプリットイメージの代替機能はないものか?ともやもやしていたので。
そして店員さんの教えにより、無事にフォーカスピーキング機能を使えるようになり、オールドレンズへの不安感(そこだけ不安だった)も解消されたのだった。

えへへ。嬉しい。
もちろんマウントアダプターも同時にお買い上げ。
さっそく付けてみた。
マウントアダプターもそこそこ重量感ある。

帰宅してから改めてZ fcに取り付けたら、びっくりするほど重くなった。お店ではフレアを出すのに必死であまり感じなかったけど、ずっしりという擬音がぴったりのこの懐かしい重量感。金属の冷たい感触も久しく忘れていた。
軽い装備を考え抜いてZ fcとNIKKOR Z DX 24mm f/1.7を買ったというのに、早くも脱線している私の写真ライフ。
好奇心には勝てなかったんだ。

購入したレンズ「Super-Takumar 55mm F1.8」で何枚か撮ったので作例を上げる。
全てRAW撮影、Lightroomで現像。

なんだこのボケは。
後ろにシュッとした植物があるのでそのせいなんだけど、謎の躍動感が生じていて面白すぎる。
玉ボケとフレアもいい感じ。
雨上がり、近所の生垣
盛大なフレアがたまらない。
父は苦笑いしそうだなーと思う。
お気に入りの一枚
蔵前神社のミモザ
光がやわらかい。
が、焦点距離1.5倍なので室内では厳しいと悟った一枚でもある。
何も入らない。
ただの三角コーンが西陽に透けてエモいことに
こういう写真が撮りたかった

想像以上に自分好みで大満足。このノスタルジックな写りを一万円くらいで得られるなんてコスパが良すぎる。
(フリマサイトなどではもっと安いものもたくさん出ている。今回はオールドレンズ専門店でなるべく状態のいいものを選ぶという体験自体にも興味があった。楽しかった)

しばらくこのレンズで遊び倒そうと思う。

おわり

※ミラーレスで逆光を撮影するとき、あまり深追いするとセンサーに焼けや溶けなどのダメージを受けやすいようなので気をつけようと思う


2nd BASEと同じフロアにはクラフトビールのお店もある。
半日遊べる大人の隠れ家って感じで最高です🍺
(これはNIKKOR Z DX 24mm f/1.7で撮影)

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